15.だから死んでないって
「クレオム君、無事でよかった……」
町の門にたどり着いた俺は、心配そうな顔のフィグと鉢合わせた。
俺がいつまで経っても戻らないのでギルドに捜索を依頼しようと思っていたが、捜索隊を組むとしても明日以降になる、とのことで装備を整え、再度「腰抜けの迷宮」に戻ってくるつもりだったらしい。
謎の骸骨騎士についても、ギルドに報告しておいてくれたらしい。一応撃退はしたと伝えると驚いていた。
「倒せてはいないからな。また現れる可能性があるし、早急な対応は必要だと思う」
「何にせよ、無事でよかったよ。今日は私の部屋のベッド、半分使っていいからね」
「自分の部屋で寝ますよ……」
フィグは眉間にシワを寄せる。なんで不満げなんだ。
「骸骨騎士の特徴と使ってきた攻撃の種類だけ伝えますんで、それだけ報告お願いしていいですか、もうへとへとで……」
「もちろん。あとリスティマさんにもクレオム君が無事だったこと、伝えておかなきゃね」
「うわ、忘れてた……どう誤魔化そうか……」
「まあ…けっこう何とかなりそうだけどね。自分の目で見たほうが早いと思うから、楽しみにね。あ、あと明日も起こしに来てね」
何やら意味深なことを言い、フィグは去っていった。
宿屋。ボロいベッドと荷物置き場があるだけの、狭い部屋。零細冒険者の住居だけを補償してくれる、ありがたい施設だ。利用料も足元を見てきている。
「ああ、クレオムさん。おかえりなさい。ご無事で何よりです」
なぜか俺のベッドの上には、リスティマが横たわり、くつろいでいた。
「汚い部屋ですが、上がって差し上げています。シーツとかもっと頻繁に洗ったほうがいいですよ」
余計なお世話だ。誰だこいつを通したの。
──フィグだな。
「何があってここにいるんですか?」
「話せば長くなりますが、まあ教団から破門されまして」
「破門!!!???」
「独断専行でダンジョンに潜ったのが良くなかったですね。女神を見たと報告しましたがけんもほろろで」
多分余罪がいっぱいあったのだろう。
「この優秀な私を破門とは、ずいぶんと教団も余裕がありますね。今度忍び込んで女神像の顔に落書きでもしてきて差し上げましょうか」
破門されて当然だと思うが。
「で、破門されたあなたがなんでここに」
「残念ながら破門されて一文無しなので。フィグさんに泊めてもらえないかと頼み込んだら、クレオムさんの泊まってる宿を紹介されまして。丁寧に部屋番号まで教えてくれました」
心配してくれていたんだかくれていないんだか、どっちなんだ、フィグ。
「衣食に困らなくなったら出ていきますので、しばらくよろしく。床で寝てくださいね」
「最悪すぎる……」
リスティマをベッドから引き剥がし、倒れ込む。
なんかもう。疲れた。本当に。




