10.なるべくうまく誤魔化さなければならない
第三層。B級パーティの荷物持ちとしてならまだしも、駆け出し二人と信頼の置けない聖職者一人ではあまり行きたくない場所である。
「第二層まででは生態系以外の異常は見つからず、何かあるなら第三層以降となるはずなのです!」
リスティマが一人づく。
「何故俺達が同行しなきゃいけないんですか」
「そうそう、こんな駆け出し二人をとっ捕まえて」
フィグと二人でぶうたれるが、首根っこをつかまれている状況ではある。
「何か大きな「歪み」の気配を感じるのです。一刻も早く解決しないといけないほどの……」
「だからって、俺たちまで巻き込むことないでしょう」
「解決できる可能性を少しでも高くしないと……」
話にならない。
「リスティマちゃん、私たち、この層の探索が終わったら帰るからね」
「それはもう、存じておりますわ。また楽しくお茶でもしましょう」
その後、三時間ほどかけ三層を半ばまで探索した。出てくる魔物は二層より強力ではあったが、俺とフィグ戦闘経験も増えていたこと、そしてリスティマの的確なサポートによって、ここまで大きな怪我もなく来れている。
彼女はおそらく有能ではあるのだ。変な奴なだけで。
「さて、半ばまで来ましたが収穫は無さそうですね。今日は一旦ここで──」「待ってください」
リスティマが帰ろうとする俺を遮る。
「歪みの気配がします」と。
通路に身を隠し、息を潜める。
足音が聞こえる。鎧を着込んだような重たい足音が。
そして、その足音の主の声が。
「あー、そっちのほうじゃなくてさ。今ちょっと拠点を建てたばっかで予算も苦しいんだから、もう少しね。いやいや、ちゃんと追加予算の申請はしとくよ」
誰かと電話をしている。剣と魔法のこの世界で。
「もう攻撃しても構いませんよね?」
リスティマが杖を構える。
「待てって、なんか話してるだろ?話せるなら、話し合いで……」
「言葉……?あの唸り声が?」
リスティマが怪訝な顔をする。
あの声が言葉に聞こえているのは俺だけ。
ということは。
どういうことだ?
「フィグ、あの声って」
「普通に唸り声か、異国の言葉みたいに聞こえるよ」
「なるほど」
フィグにも何を話しているか分からないらしい。
なるほど。もしかしたら俺の前世の世界絡み何じゃないのか?前世の言葉だからわかる、みたいな。
何にせよ話しかければ……いや、本当に話してわかる相手か?
悩んでいる間に、足音が近づいてくる。
「先手必勝!ホーリー・ブラスト!」
悩むことがなかったリスティマの杖から聖なる光弾が放たれた。全弾命中。土煙が上がる
「おバカ!!!」
なんでそう思い切りがいいんだ!
次回更新日未定。早ければ今日となります




