4【エドワルド視点】
【エドワルド視点】
全く、最悪だ。あの、我儘姫のせいで、俺もアガルト様も謹慎だなんて。
あの姫様から遠ざけるって意味ではあるんだろうが、謹慎って事になってるのが解せない。姫様の自業自得なのに。
まぁ、俺達のせいではないと分かっているから、謹慎とはされているが一緒に西の塔にいるのだろう。
「エド、ごめん」
俺のイライラが伝わってしまったのか、アルに謝られてしまった。
「アルのせいじゃないんだから、謝るなよ」
「うん、でも僕の妹のせいでこうなってしまったから……」
こういうところだ。自分は悪くないのに、謝ってしまう。次期国王となるのに、こんなに弱気で大丈夫なのだろうか。
まぁ、俺もアルもこの見た目だから、そうなってしまうのもわかる気はするが。
アガルト様と初めて会ったのは、5歳の頃。
この頃には何となく家族や領地の人たち以外の“貴族”達から、遠巻きにされているのに気づいていた。
何故だろうとは思っていたが、身内の者たちはとても親切にしてくれるからそこまで気にしていなかった。
ある日、父親からいきなり城へ行くぞと言われて、あれよあれよと支度をされて、一人の男の子に会った。
初めて見る城はとても大きくて綺麗ですごかったし、初めて会う王様には緊張した。王様の傍らにいた男の子はオドオドしながら、「アガルト・フォン・シュツットです」と自己紹介してくれた。
自分も、「エドワルド・エイガです」と習ったばかりの礼をとる。
お互いの父親たちは、うんうん。と頷いている。
あとは、二人で遊んでいなさいと中庭へ連れて行かれた。
中庭で二人きりにされたアガルト様はどうしていいのか分からないようで、モジモジしている。二人きりと言っても、護衛の騎士二人が、少し離れた場所に待機している。
「アガルト様は……」
何か話したほうがいいかと話しかけると……
「アル、でいいよ」
「アル、様」
「ううん、アル」
「うん、じゃぁアル。僕のことはエドって呼んで」
「うん!」
それ以来、二人きりの時はアガルト様のことをアルと呼んでいる。
「エドは、僕と一緒にいるの嫌じゃない……?」
「? 嫌じゃないですよ。ひどいことを言われてないし、殴られたりしたわけじゃないし。どうしてですか?」
「僕はみんなに嫌われてるから……」
「王子様なのに?」
「うん、だって、ほら。僕たちの見た目って、嫌がられるでしょ……」
「??? 僕たちの見た目?」
「あ、あの、エドの顔が変だとは思ってないよ! ただ、僕たちの顔って、目がおっきいし、鼻も高いし……だから、みんなが、その、あまり側に来てくれないとかあるでしょ……」
「目が大きかったり、鼻が高いとダメなのですか?」
「ダメってわけではなくて……主張しないお顔のほうがみんなから好かれるでしょ」
俺はそこでようやく、自分の見た目が良くないのだと認識した。
我が家の領地は、王都に近いにも関わらず魔物がよく出る森があるため、父上や騎士たちは魔物が村に現れたら討伐しに行く。
そのため、父上や騎士たちは武に優れたものばかり。俺も五歳の誕生日に小さな剣をもらって、稽古をしてもらっている。
領民は、魔物がでたら助けに来てくれる父上達を感謝し、尊敬しているから外見のことなど特に気にしていない人が多い。
エイガ家で働いている者たちも、父上を尊敬しているから、その子どもである俺にも良くしてくれている。
俺の大きな目と黒髪は父上譲り。褐色肌と高い鼻は、遠方のとある国から留学に来ていて、父上の剣に惚れて嫁いできた母上譲りだ。
そう考えると、俺って両親の見た目の悪いとこばかりを集めてできた顔だな。
だから、他の貴族の人と会うと変な態度をされていたのかと気がつく。
俺はこの見た目でも、両親から愛されているのを分かっていたし、使用人や、領民たちからも大切にされてきた。
でも、アルはそうではなかった。
王様にも、王妃様にも似ていなくて、この容姿で生まれてきてしまった。
そのせいか、お父様やお母様は僕にあまり会ってくれないんだ……妹には会っているみたいなのに。と、寂しそうに言っていた。
周りの者たちからも遠巻きにされ、クスクス笑われたり、雑な扱いを受けていたせいで、アルは気弱な自信のない男の子になってしまっていた。
この日以来、俺達はよく遊ぶようになった。今では、親友だと思っている。
俺が、アルに対してクスクス笑ったり、顔のことで嫌なことを言ったりしないから、アルは少しずつだが明るくなったようだった。
昔のことを思い出していると、コンコンとノックの音がした。
アルがどうぞ、と声をかけるとあの我儘姫が部屋に入ってきた。
俺ももう10歳。あれから、色んな貴族の大人や子どもたちと会って、嫌なことを言われたり、態度に出されてわかった。あぁ、アルはこの中でずっと生きてきたのか。アルがあんなに自信のない子になるのも仕方がない。
勉強も、剣の腕も優秀な王子なのに。
その自信を無くさせるような事を言ってくる筆頭が、この姫様だ。
アルのことは好きだが、アルの妹のこの王女は好きにはなれない。
いつもアルに会えば、「そんなお顔でよく外に出られますわね」や「そのお顔を私に見せないでくださいな」とか、まぁ、とにかくよく突っかかってくる。
俺としては、じゃぁ近づいて話しかけてくるなよ、とは思うが。
確かに姫様の顔はいい。今まで出会ってきた、どの女の子より一番可愛い。だが、性格があれだからな。正直、関わりたくない。
でも、アルはたった一人の妹だからと無碍にできない。
今回だって、姫様の自業自得なのに、俺達はこんな罰を食らっている。
さて、どんな嫌味を言いに来たのかと、アルと姫様の様子を見ていると、いつもの我儘姫と違って、アルに泣きながら謝っている。
なんだ? 何があった?
てっきり、俺達のせいで魔法が暴走したとか、私は悪くないのにとか、お兄様のせいで、とか言いに来たと思ったのに。
あまりにいつもと違うミリアリア様を見て、きっと何か裏があるんじゃないかと考えていると、ミリアリア様がこちらに気づく。
その途端、ギャーーーーーーーーと言って、また倒れてしまった。




