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失恋癖旅情探偵と異世界から来た100人の探偵助手!  作者: 夜野舞斗
1人目 異世界の純水ポンコツ捜査官

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8.抹茶のカフェの悪夢(5) 悪夢からの

「に、しても何か気になるんだよなぁ……何で将棋の桂馬を指し示したりなんてしたんだろ? 犯人が桂馬さん……なんて偶然なことあり得るかなぁ……」


 ぶどうさんも推理を進めている。どうやら女子高生三人共、将棋については詳しくないようで。首を横に振っている。

 「何か手掛かりはないの?」と。


「俺が見た時は……確か、確か、そうだ。胸に手を当てていた」

「ってことは、そのおっさん、もしかして君に告白を!?」

「何でそーなる!? 胸に手だけど、桂馬も当てていたんだ」


 少しだけ、何か気になるというような顔をしていた。彼女だからこそ、見えるようなものがあって。


「……桂馬……桂馬って確かチェスだと、ナイト。英訳でもナイトっていうことが多いの! ナイトっていうメッセージを残したんじゃないの?」

「そういや、ぶどうさんチェスが好きだったけど……確かに被害者も好きだったけど……そっか! 胸ってチェスト……つまり、チェスで変換できるってことか……!」

「そうそう! となると、この中に内藤さんか、ナイトさんって方がいるんじゃないの!?」


 その推理で彼女は早速動いて聞いていくも、状況は変わらず。その颯爽な感じにレモンと呼ばれた女の子がポツリ。


「あ、慌ただしいなぁ……少し休まない?」

「大丈夫大丈夫!」


 茶々と呼ばれた子も「あんな子と一緒に何してんの」と言っていた。あんな子で悪かったな、と。

 ただぶどうさんはすぐに戻ってくる。


「残念だけど、この人達……誰も内藤さんも……ナイトさんって人も……ついでに桂馬って関係のありそうな名前もなかったよ……」

「そっか……」

「でも、ナイト……ナイト。何か気になるけど……何だろう。そっか……! 飴ってことで、ナイトアメ、いや、違う! ナイトメア、これは悪夢!」

「最初っから悪夢だけどな」


 被害者が最後に言い残したかった言葉は悪夢、なのか。ナイトメアと言いたかったのか。絶対に違う。

 それにまだ品書きを読んで驚いていた理由が分かっていない。あれもメッセージの一つだと考えると意味が分からない。驚くことがメッセージなのか。それとも品書きで思っていたものが見当たらなかったからの驚きか。

 となると、ふとあの話を思い出す。


『じゃあ、このカフェのおすすめメニューは推理できる?』


 リヴィアの声。そう、あの声を聴くと共に何だか胸の高鳴りが。

 この先にある真実に胸が揺れ動く。


『ここの抹茶や玉露、煎茶や深入り煎茶も美味しいみたいなんだけど、アレンジメニューが特におすすめなんだよ。抹茶オレや抹茶ココアは苦いのが嫌な人にも子供にも大人気! ここの看板メニューと言ってもいいかも』

『ないけど、そんなメニュー』


 確か、この話で驚いて。逆に驚かされた。

 そうだ。そういうこと、だ。頭の中に閃きが舞い降りた。何だか刺激がこちらの頭を貫いた感じ。


「そっか……つまり、これは悪夢なんかじゃない。素敵な夜を過ごすってものなんだ」

「……探偵くん、それってどういうこと?」

「ごめんなさい。ぶどうさん……お願いしたいことがあって。茶々さんとレモンさんの動画履歴を調べてもらえるかな? まぁ、だいたい分かってるけど」


 彼女は何だか汗ばんだ状態でこくりと頷いた。彼女にとっては良い夢でないということは、間違いないと思われるが。

 だから俺は女子高生三人の前に立たせてもらう。


「……何? 何よ……」


 最初に反応したのは茶々さんだ。やはり、俺のことはだいぶ警戒しているよう。そりゃ、女の子に対してスパイ行為をしているようなものだから疑われて当然、だ。

 それに彼女は疑われている状態。


「さっき飴玉とか何とか言ってたけど……それってうちを疑ってるってこと? お茶の飴だったんでしょ?」


 俺はこくりと頷いた。三人の様子は不安そうで不安そうで堪らない感じ。レモンさんも。


「嘘だ……嘘だ……」


 小さな声を何度も繰り返していて。


「そっ、その子の言う通り、お茶の飴に関しては真っ赤な嘘だ」

「えっ?」


 ぶどうさんはそれを頼りに推理を進めていたみたいだが。


「なんたって、茶飴に関しては全体が丸い。丸いのに血が付いていて。落ちて転がったら……。どうなると思う」

「そりゃあ、血が点々と……。ちょっと待って。血塗れの状態で転がったとしたら、点々とじゃなくて線上になるはずだし……そもそも血が全体についてるっていうのもおかしいよね? 落としただけでそんなに付くってなるし」

「そう……混乱時の乗じて、まるで犯人が被害者のメッセージだったかのように見せかけたんだ。飴に関しては常連の貴方達なら良く知っていたよね。売っていることもあるだろうし、持っていることもあるだろうね」


 すぐに反論したのが茶々さんだ。彼女は俺に牙を向けてくる。


「勝手に話を進めないで! 何でこっちが犯人になるって訳!? そんな茶飴、従業員が転がした可能性だってあるし、うちらがやったとは限らないでしょ!? ぶどうも何か言ってやんなよ! それともうちらよりあの、おっさんの言うことを信じるのって!」

「それに関しては被害者のメッセージ全否定になっちゃうし……あれが本当に示してたの? 探偵くん」


 俺は首を縦に振って、肯定する。


「もう一度振り返ろう。あの時は入ってきて、こちらに歩いてきた。犯人は貴方達の方を指差してから、将棋の桂馬を取った。まぁ、これに関しては被害者もよく利用するみたいだったから、知ってたのかもしれないね」

「その後に胸に手を当ててお品書きを読んで、倒れたって感じでしょ? どういうこと?」

「まぁ、ぶどうさんとさっきした推理、ナイトの部分は間違っていないと思う。首を斬られて喉が使えなかった被害者。声を出さずに。それでメッセージを送りたいって時はぶどうさんはどうする?」

「……血文字で何かを書くか……」

「うん。でも、元々五十音表とかが置いてあったら」

「……? それだったら、指差した方が速いでしょ?」

「そっ。被害者にとってその五十音表がお品書きだったんだよ」


 しかし、レモンさんが小さな声で抵抗を。


「……でも、何処を差したの?」


 品書きを読んでいても分からないだろう。永遠に。


「いや、だってたぶん被害者の方が示したかったのは前のメニュー表だったんじゃないかな。そこに言葉を残そうとしていたから。そのメニューが無くなっていて、驚いたんだと思う」

「昔のメニュー……?」

「ああ! 特に気になったのは抹茶オレ、抹茶ココア。ナイトに抹茶やオレ……? その中で言葉を組み替えて、一番この状況に適しているのは……」

「何……それって、何……!?」


 これは被害者の伝えたかった、一つのメッセージに違いない。


「ナイトコア! アップテンポ調。速さが特徴的なリミックスの……音楽ジャンルだよ」

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