誰かの優しさに救われることもある
小さなことから自分を褒めるって大事ですよね
明日か明後日の投稿で次のシーンに移れると思います。
「でもねエマ、私どうしたら自分に自信が持てるか分からないの」
そう話して思わずうつむく。自分の自信のなさは今に始まったものではない。幼い頃、たくさんの人がいる中で笑われたのがトラウマとして私の心の奥底に刺さってる。作法も服装も問題なかったとお父様やお母様も言ってたけど、その慰めを私は素直に受け取れなかった。多分惨めで悲しくて、辛かったことで頭がいっぱいだったんだと思う。どうして笑われたのか、原因は今でも分からない。でも私に原因があるんだろうな。
そう考えると婚約者に選ばれたのはある意味すごいと思う。エドモンド様はどうして私を選んだんだろう。知らない方がいいのかな。知ってしまったら今度こそ私は壊れてしまいそう。
でも、もうあんな思いはしたくない。婚約破棄をきっかけに変わるのは独特かもしれないけど、私は他人に振り回されたくない!
だから私が変わるしかない。私を私としていられるように。
婚約破棄されるその時まで、エドモンド様の傍で笑えるように。
「……だけど、自分に自信が持てないまま生きて他人に振り回されるのはもっと嫌。ねえエマ、私は自信を身につけるために何から始めたらいいと思う?」
顔を上げ、エマを見つめる。一緒だった彼女なら何かいいアドバイスをしてくれるのではないか。エマは私をじっと見つめたあと、口を開いた。
「そうですね、まずは自分を大事にすることからでしょうか」
「……自分を大事に?」
「はい、小さなことから自分を褒めていきましょう。例えば朝起きれてえらい、とか苦手な物を食べれるようになった、とか」
「……」
「今小さい子に向けてするものではと思いましたね?」
「うっ、そ、そうだけど……まさかそういう回答が来るとは思わなくて」
「お嬢様」
手を優しく握られる。彼女の温もりに泣きそうになったが堪える。
「お嬢様がどうして自信を持てなかったかは私もよく存じております。だからこそ、小さなことから自分を褒めるのは大事なんですよ」
「……」
「大丈夫です。変わりたいと強く思うのならお嬢様は今以上に輝くことができます。慌てず、ゆっくり変えていきましょう」
「……ええ、ありがとうエマ」
そう言うとエマは手を離す。私の手に残ったかすかな温もりにエマの思いを感じて、強ばっていた私の心が少しほぐれていく。
「今日はもう遅いので、ゆっくりおやすみください」
「ええ、そうするわ。……ねえエマ」
「はい、なんでしょう?」
「明日、予習を兼ねてこの本を読もうと思うの。その時にエマに理解できてるか確認のために説明をしたいから聞いてくれる?」
「大丈夫ですよ。メイド長に話しておきますね」
「ありがとう。……おやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
エマが部屋から出ていくのを見送って、私はベッドに入りこんだ。ずっと悪夢を見ていたけど、なんだか今日はいい夢が見れそうな気がする。枕に頭をうずめ、ほのかに香るオレンジに身を委ねるように私は眠りについた。
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