嵐が吹き荒れる
ついに、ついに来てしまったわ放課後が。どういった話をするのか分からないけど、メリューさんがいるから大丈夫。エドモンド様には事後報告の形になってしまうのは申し訳ないけど、きっとわかってくれる、はず……と、思いたい。
とにかく!まずはカタリナ嬢と話をしなくては!
そう意気込みながら二人で向かうと、どうやら先に着いたようで彼女の姿はなかった。メリューさんには東屋の裏側にある茂みに隠れてもらい、彼女を待つ。呼び出した本人より先に来るとは思ってなかったので、今のうちに聞きたいことをまとめておく。
……と、言っても何を聞こう。まずは私のことを睨む理由でしょ?あと香りのことで注意されたのに改善しなかった理由でしょ?あとは、なんだろう。何聞いたらいいんだろう。エドモンド様につきまとう理由?いやでもさすがにこれは聞いたら嫉妬深い女みたいになりそうな……でも気になる。それに私の婚約者につきまとうのはいただけない。嫉妬とからかわれてもいいから言ってやるわ。
「おまたせしましたアリシア嬢。本日は私のために時間を割いてくださり、ありがとうございます」
甘い香りが広がる。ああ、彼女が来たのね。そう思い顔を上げれば、廊下で話した時と同じ笑みを浮かべていた。
「……香りはつけたままなのですね」
「あら、いけませんか?今は授業中ではありませんので」
物は言いようと言ったものね、ここまでいくとある意味感心するわ。
「その香りに関してたくさんの人があなたを咎めたではありませんか。自我を貫くのは素晴らしいことだと思いますけど、貫きすぎるのはよろしくないのでは?」
あくまでも冷静に、淡々と話すのよ。相手のペースにのまれてしまっては負け。大丈夫、妃教育の時を思い出して。
「まあひどい、アリシア嬢もこの香りをまとうなと言いたいのですね」
「そうですね、先生の仰っていたとおりマナーに反していなければつけてもよろしいかと」
「私がマナーを反していると言いたいのですね?」
「ええ、私もこの香りをあまり好ましく思っておりませんので」
心臓が、鼓動が速くなる。深呼吸をして落ち着かせようとしても、勢いは止まらない。このまま話の主導権を握ろうと思い彼女を見れば、表情が抜け落ちた顔でこちらを見つめていた。それが人形のように見えて、小さく息を飲む。
ここで飲まれたらダメだ。私はゆっくり息を吐き、話をしようとした。が、その瞬間。
「……悪役令嬢のくせに生意気ね」
「え……?」
「はぁー、もう最悪」
空気が一気に変わり、私はあまりの変わりように目を瞬かせる。さきほどまでかわいらしい声で話していた彼女は長い黒髪を弄りながらこちらを睨みつけていた。
「ねえ正直に言いなよ。あんたも私と一緒なんでしょ?」
「一緒……?」
「しらばっくれないでよ。悪役令嬢のくせにいい子ぶりやがって。いい?エドモンド様は私のものになるの。あんたみたいな冴えないお嬢様には釣り合わないの、わかる?」
「な……」
怒濤の勢いで話され主導権を奪われる。聞きたいことを考えていたのに、彼女の一言で全て飛んでいってしまった。一緒ってなに?悪役令嬢ってなに!?
「悪役令嬢だから断罪される前にエドモンド様を攻略しようって魂胆なんだろうけど、エドモンド様の隣に立つのは私。あんたはおとなしくひっこんでなさいよ。エドモンド様もロナウドもルフレもアンドルーもみんなみんな私のものなの。これ以上近づくって…」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
彼女の発言内容から、私が今まで見ていた悪夢と関係していることは明らかだった。だけど彼女の言う『一緒』とはどういう意味なの?不穏な事を言わせる前に彼女を止める。というか私に何をする気なんですかカタリナ嬢。
「なによ」
「あの、一緒とはどういう意味なのでしょうか?」
「まだしらばっくれる気?」
「いやしらばっくれるもなにも、仰っている意味が本当に分かりません……」
「はぁ?じゃあなんでエドモンド様とあんなに仲がいいのよ」
「それは、婚約者候補なので……」
「嘘よ!本来ならエドモンド様とアリシアの仲は冷えきっているって言うのに!婚約者だからってそこまで仲がいいはずないわ!」
「え……?」
どういうこと?つまり私とエドモンド様は本来希薄な関係だったということ?そうだとしてもエドモンド様の普段の様子から希薄な関係になるようなことはありえないと思うのですが……。
カタリナ嬢が一人で騒いでいる隙に茂みに隠れているメリューさんの方に顔を向ける。私の言いたいことが伝わったのか彼女も首を横に振り肩を竦めた。よかった、カタリナ嬢の言いたいことが分からないのは私だけではなかったみたい。
「ねえ聞いてるの!?」
「はいっ!?」
肩を掴まれ慌てて顔を彼女の方に向ける。彼女の瞳に映る私の顔は困惑に満ちていた。
「あんたも私も同じで転生者なんでしょ!?正直に答えなさいよ!」
「え……」
ええええええ!?なにそれ!?!?!?!?
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