友情の芽は健やかに育つ
さて困りました、どうしたらいいのでしょう。すごく行きたくありませんが、彼女のことだから行かないといろいろと面倒なことになりそう。
エドモンド様に相談する時間があればいいけど、同じクラスだから一緒に行きましょうと声を掛けられる可能性もあるわけで……。今のうちに対策しないと彼女のペースにのまれてしまいそうだし、動くなら彼女がいない今なのよね。
とりあえず授業を受けて一度頭を冷やそう。扉を開け教室に入る。先生は席に座るよう促し、私はそれに倣う。席に着き一息吐くと、背後から肩を優しく叩かれた。振り返ればメリューさんが、一冊のノートを手にしている。
「アリシア嬢、これ板書を写したノートなので、あとで見せますね」
「ありがとうございます。メリュー嬢」
「二ページほど使っているので、今からノートをとるなら三ページから書いてください」
「んんっ」
先生の咳払いが聞こえ、慌てて前を向く。だが先生はこちらを一瞥しただけで何も言わなかった。黒板に書かれた数式を先生が説明していく。私はノートにありがとうと薄く書いて、後ろにいる彼女に見せた。彼女に届いているかは分からないけど、お礼はちゃんとしておきたい。
授業を受けていると次第に頭が冷静になっていく。さてカタリナ嬢に対してどう動きましょうか。一人で行くのは無謀すぎるので、誰かと一緒に行きたい。問題は誰と一緒に行くか、これに尽きる。
こういう時にエドモンド様と同じクラスだったら……と思うけど、今回ばかりは仕方ない。事後報告になったとしても、彼は許してくれる……と思いたいですねぇ……。
そう悩んでいるとあっという間に時間が過ぎ、授業が終わる。先生は復習をちゃんとするようにと言ったあと、教室をあとにした。私はメリューさんの方に体を向ける。
「メリュー嬢、ノートを見せていただいてもよろしいでしょうか?」
「ええ、いきなり話しかけてごめんなさい」
「いえ、お気になさらず!むしろ助かりました」
彼女からノートを受け取り、急いで内容を写す。とても字がきれいで読みやすく、わかりやすいノートだった。
「すごい、とても分かりやすいです」
「本当ですか、よかった」
メリューさんにノートを返し、次の授業の準備をする。ふと、カタリナ嬢の席が目に入った。放課後どうしましょう、準備の手を止め考える。
「……彼女のことですか?」
「え?」
考えているとメリューさんに声をかけられた。
「彼女と関わらない方がいいですよ。今日のお昼休みの時もアリシア嬢とエドモンド殿下の話を盗み聞きしようとしてましたし」
「えっ」
初耳なのですが!?カタリナ嬢そんなことをしていたのね……。ということは会話の内容を知っているから放課後に話をしたいということなのかしら!?
「彼女、話しかけたら顔を真っ赤にしてすごい形相で私を睨んでましたわ。私の事をクラスメイトと認識してませんでしたけどね」
「いろいろとすごいですね彼女」
「ええ、そう思います。だからアリシア嬢、先ほども言いましたが彼女と関わらない方がいいですよ」
「……本当、関わらない方がいいと分かってるのですが彼女の方からやってくるんですよね……」
メリュー嬢になら話してもいい気がする。でも迷惑はかけたくない……。彼女と間接的に関わらせるのも申し訳ないと言うか……。でも一人で抱えておくのも怖いし……。でも私一人だと絶対に不安、協力者が欲しい。
話そうか悩んだけど、私は彼女に放課後のことを話すことに決めた。話を聞いて、メリュー嬢がどう判断するかに委ねてしまおう。
「メリュー嬢、実は……」
私の話を聞いた彼女は眉を吊り上げて言う。
「二人きりで話したい?絶対危ないに決まってるじゃないですか!」
「そうよね、やっぱり危険よね。エドモンド様に話したかったけど時間がなさそうでどうしたらいいか悩んでいたの。それでメリュー嬢がよかったら……その、彼女と私の会話を彼女から見えない位置で聞いてくれたら心強いのだけれど……」
「もちろん、手伝いますわ。念の為会話の記録もとれるだけとっておきます。彼女の事は以前から気に食わないと思っていましたし、せっかく仲良くなれたアリシア嬢を害そうとする可能性があるなら容赦いたしませんわ」
「……メリュー嬢、ありがとうございます」
「それで、実は私の方から一つ提案したいことがあって……」
よかった、メリューさんがついてきてくれるだけですごく安心する。それにしても提案したいことってなんだろう。
「その、アリシア嬢がよろしければなのですけれど、アリシアさんとお呼びしても……?仲良くなれたのに堅苦しい呼び方をするのもなと思っていたので……」
「ぜひ!私もメリューさんとお呼びしても?」
「ええ!ふふ同年代の友人はなかなかいないから嬉しいわ」
よかった、私も堅苦しい呼び方をどうにかしたかったからこの提案はバンザイもの。メリューさんとの距離が縮まったようで嬉しい。しばらく笑いあっていると、メリューさんは真剣な顔つきになる。
「今日の放課後が勝負ですね」
「……ええ、彼女のペースにのまれないよう気をつけます」
彼女が何を話したいかは分からないけど、メリューさんがいるから心強い。今日の放課後、彼女と話をしよう。
私は膝の上で拳を握りしめた。
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