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悪意を向けられた芽

書いててホラーみたいになった気がする

多分

 先生の言われた通りの道順に進む。あの香りから離れたのが良かったのか、アルフさんの顔色が先程より良くなっている。よかった、彼のペースに合わせながら歩いていると、ふと視線を感じた。だが一瞬のことだったので、どこから視線が来ていたか私にはわからなかった。


「ありがとう、助かったよアリシア嬢」

「お気になさらず、ゆっくり身体を休めてくださいね」

「ああ、次の授業には出られると思うから、その休み時間に今日の内容を聞いてもいいかな?」

「ええ、もちろん。ノートも貸しますね」

「いろいろとありがとう。それじゃ、またあとで」


 アルフさんはそう言うと保健室に入っていった。これでもう大丈夫だろう。さてと、早く教室に戻って授業の遅れを取り戻さないと!歩き出そうとすれば、さっき感じた視線をまた感じた。いったい誰が……と言いたいけど、なんとなく分かっている。気になるけど、気にしたら負けだ。ちゃんと教室に戻ろう。視線を無視して歩き出すと、背後から足音が聞こえる。そして香る甘い香り。もしかしなくても彼女だ。寮に戻ったんじゃないの?と思ったけど、もしかして私と二人きりで話せるタイミングを伺っていたのかもしれない。こちらが足を早めれば、向こうも同じようにしている。こころなしかだんだん距離縮まってない?


 あ、これ捕まったらダメなやつだ。早く教室に戻ろう。


 警報が鳴る脳内に後押しされるように、私の体は自然と早く動く。気になるけど振り返ってはいけない。背中越しから伝わる重圧をひしひしと感じながら、それを振り切るように走り出した。本当は走らない方がいいけど、非常事態なので許してください……!


 まっすぐ走っていけば教室の扉が目に入る。大丈夫、ここで中に入れば身の安全は確保されるはず!ドアノブに手をかけたと同時に手を掴まれた。ひっ、と思わず声が上がり、掴んでいる手を辿るように顔を上げれば、にっこりと微笑んでいるカタリナ嬢と目が合った。いや、にっこりといったけど彼女の目が笑ってない。怖い。


「あの、なにか……?」


 声が震える。だって怖すぎよこんなの!手を振りほどこうと腕を動かすが、ガッシリ掴まれているので動かせない。以外と力強いわね?と、軽く現実逃避をしたが、彼女はにこにこと微笑むだけで微動だにしない。え、怖い。彼女が何をしたいのか分からないのでこちらは様子を伺うことしかできない。しばらく互いに黙っていると彼女が声をかけた。


「放課後、中庭にある東屋でお話しましょう。二人きりで」


 すっっっっごく断りたい。丁重に丁重を重ねた上ですっごい丁寧にお断りをしたい。私自身何言ってるのか分かってないくらいには彼女と二人きりで話をしたくない。絶対何かありそうで怖い。未だに彼女の目は笑ってないもの。よしここは断ろう。


「おこと……」

「ではお待ちしてますので、それでは」


 断りの文句入れる前に話し遮られたのですが!?私に拒否権はないのでしょうかカタリナ嬢!言いたいことを言い終えたからか、彼女は掴んでいた手を解き、寮に向かう。怒濤の勢いで、と言うべきなのか分からないけど、あまりの強引さに呆然としてしまう。


「あ、そうそう」


 彼女はこちらに振り返りながら言った。長い黒髪がふわりと揺れる。その姿はとてもきれいなのに、不穏なものを感じ取っているからかどこか不気味に思えた。


「来なかったら平穏な学園生活は送れないものと思ってくださいね」


 人間驚きが勝ると動けなくなるものなんですね。では、と言い歩き出す彼女の背中が小さくなるまで、私の体は石のように重くなり動けませんでした。彼女がいなくなったと同時に力が抜け、その場に座り込む。震える手を見つめながら、今までの緊張を追い出すように、私は口を開いた。


「……既に平穏な学園生活を送れていないのですが……」


 そう呟く私の声は、誰にも届かない。

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してくださったら嬉しさで作者がその場で小躍りします“ᕕ( ᐛ )ᕗ,,


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