不穏の種は残るけど
明日にはキャラ紹介を出せたらと思っています
そしてブクマが20件こえました!皆様ありがとうございます!これからものんびり書いていくのでよろしくお願いします!
「あの、アルフさん」
「どうしたの?」
やっぱり顔色が悪い、あの香りが良くないんだ。もうすぐ授業が始まるし、保健室に連れていくなら今のうち、かな……。
「顔色が悪いですが大丈夫ですか?」
「大丈夫、気にしないで。どうしてもダメだったら保健室に行くから」
「ですが……」
「これくらいは慣れてるから、ね?」
「……無理だけはしないでくださいね。何かあったらすぐに先生に言ってください。お供しますので」
「……ありがとう、アリシアさん」
力なく微笑んでるように見える彼の顔は青く、はっきり言って不安しかない。時々様子を見て、辛そうなら連れていこう。自己満足って思われても仕方ないのは分かってる。でも目の前で倒れるのを見るよりはこっちの方がいいもの!
そうしていると数学担当の先生がやってきた。あ、思わず眉をしかめましたね先生。先生は辺りを見渡したあと教材を教壇に置き、大きく咳払いをして言う。
「この香りの原因は誰かね?」
みんながいっせいにカタリナ嬢を見る。彼女はあいかわらずきょとんとした顔で周りを見ていた。
「君かね」
鋭い声で先生が言う。この一言だけで謎の圧を感じ、背筋が伸びる。
……なぜだろう、妃教育の日々を思い出してしまった。一人の先生がこんな感じで圧を掛けるタイプの人だったのよね。でも厳しさの中に優しさがあったから耐えれた。ただあの時のと比べたらまだこっちは優しい方だけど、慣れていない生徒は怯えてそう……。
「質問に答えたまえ、君かと聞いている」
「香りの原因?確かに私は母の形見の香水をまとっておりますが……」
トン、と小さな音が教室に響く。耳を澄まさないと聞こえないくらいの音なのに、やけにはっきり聞こえた。どうやら先生が万年筆で机を軽く叩いたらしい。彼はカタリナ嬢をしばらく見つめると、静かに息を吐く。そして彼女に目をくれず、一言こう言った。
「すまないが君は教室から退出してくれ」
「え……?」
「理由が分からないのかね?」
「はい……どうして私が教室を出ないといけないのでしょうか……?」
「なに、簡単なことだ」
先生は教壇から降り、窓に向かいながら言った。
「君のその香りはこの場にふさわしくないからだよ」
「なっ……ですがこの香りは……」
「母親の形見だということはよく分かった。だがそれを学び舎で纏うにはふさわしい香りかな?」
「……」
正論だと分かったのか、彼女は口を閉じる。あれだけ言われても動じなかったカタリナ嬢が押されている。それだけこの先生から圧を感じるのだろう。
「社交の場で纏うのであればふさわしいのかもしれない。だがここは学び舎だ。君たちが貴族として、ふさわしい教育を受けるためのね」
「……」
「そのため貴族のマナーに反しているものは授業を受ける資格がないのだよ。君は今、そのマナーに反している」
「なっ……」
「現に、その香りで体調不良を起こしている生徒がいる」
「えっ」
「私はその子が心配だ。学びたいことがあるのにこうして学ぶ機会を奪われてしまうことで意欲を失ってしまうかもしれないからね」
「……」
先生が窓を開け終え、振り返る。逆光のせいか、先生の顔は見えなかった。
「私の言っている意味が分かるかね、ユーグリット嬢」
「……分かります」
「よろしい、ならば君が取るべき行動は分かるかね?」
「……はい」
彼女は席を立ち、扉に向かう。そして一礼したあと、扉に手をかけ教室から出ていった。少しずつ足音が遠ざかっていく。それが聞こえなくなると先生はアルフさんの元に向かった。
「君も今日は保健室に向かいなさい。顔色が悪い」
「ですが……」
「後日君のために時間を設けるから、今にも倒れそうで心配だ」
「……分かりました」
やっぱりアルフさん危険な状態だったんだ。一人で行かせるのも危ないしさっき話したてまえ、私が行こう。
「先生、私がアルフさんを保健室に連れていきます」
「君は……」
「アリシア・シルフィーです」
「ふむ、では君に頼もう。保健室は教室を出て左に真っ直ぐ進んだ先にある。彼のペースに合わせて連れていきなさい」
「はい、アルフさん大丈夫ですか?」
「ありがとう、アリシア」
私はアルフさんを支え、先生に一礼する。そして扉に手をかけ、彼と保健室に向かうことにした。
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