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物語の主人公になれたら幸せなのだろうか

「アリシアはどんな妃になりたい?」


 さて困った。以前の私なら国民の手本となるようにと答えたのだろうけど、婚約破棄が確定しているからどう答えたらいいのか分からない。

 おそらく純粋な気持ちで質問しているから当たり障りない返答でいいのかもしれないが、話すだけこちらが無力に思ってしまうというか、変えられない未来に思いを馳せるだけ無駄というか……。


 そう考えて黙っていると、エドモンド様がまた声をかけた。


「いきなり戸惑う質問をしてすまない。明確な目標があるのか気になっただけなんだ」


 申し訳なさそうに微笑む彼を見て、婚約破棄をするような人には見えない。


 どうして婚約破棄になるのだろう。


 考えてみる。知らない令嬢(仮とする)に惚れるということは、彼女がエドモンド様の好みかもしれない。夢で見た彼女可愛かったからなぁ……。きれいな黒髪で、目はぱっちりしてて……、物語に出てくる主人公みたいな子だったな。


 私は彼女みたいな黒髪ではないし、目は……ぱっちりしてると信じたい。みんなに「優しそう」って言われるもの、きっと大丈夫。


 でも婚約破棄されるってことは私に問題があるのだろうな、例えば性格とか。キツイ性格をしているとは思ってないけど、容姿以外なら性格がダメなんだろうな。

 性格に関してはなんとも言えない。だってふとしたきっかけで変わってしまうものだし。善良な主人公が、最愛の人の死によってくるってしまうのと同じよ。


 ……私もそうなっちゃうのかな。エドモンド様のことを思うが故に、狂ってしまうのだろうか。


 なんか悲しくなってきた。未来のことを考えて自分を卑下しないといけないのか。分からないい未来に思いを馳せたところで意味がないというのはわかっているのに。というか卑下する時間があるなら先を見据えて行動した方がいいに決まってる。頭ではそう分かっていても、悪いことが頭をよぎっていく。


「アリシア?」


 彼が心配そうな顔でこちらを見ている。大丈夫ですと答えたくてもまるで閉じた貝のように私の口が開かない。何も答えないでいると彼が慌てた様子で話しかけた。


「すまない、なにか君の癪に障るようなことを話してしまっただろうか」

「……いえ、違うんです。殿下」

「え……」

「今後のことを考えると、私が王妃になっても良いのかと思ってしまい黙ってしまいました」

「……」


 エドモンド様は悪くない、純粋な気持ちで聞いたのだから。その気持ちをこちらがひねくれた考えで受け取っているのが悪いのに。彼は自身のせいで私がこうなったのではないかと思っている。


「申し訳ございません。エドモンド様の質問に答えることはできそうにありません」

「いや、いいんだ。気にしないでくれ」

「……いつか」

「うん?」

「いつか……いつか質問に答えれると胸を張って言える日が来ましたら」

「……うん」

「その時に答えを聞いてくれますか?」

「ああ、約束する」


 彼は私の言葉が嬉しかったのか、花がほころぶように柔らかく微笑んだ。


 ちゃんと答えることができるのだろうか。今こうして逃げている自身が妃にふさわしいとは思えなかった。

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してくださったら嬉しさで作者がその場で小躍りします“ᕕ( ᐛ )ᕗ,,


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