婚約破棄に向けて動き出す
お話書いてたらスコーン食べたくなりました
まずは情報整理からしよう。
私は婚約破棄をされる。そして両親に見捨てられお家から追い出されそこから先は不明。生きているのか死んでいるのかも分からない。
分かっているのは、それがいつ起こるか分からない未来ってこと。
わぁーまるで突然噴火する火山のようねー(棒)と笑えたら楽しいのだろうけどあいにくそんな余裕はない。私の生死がかかってるのだから。
一度緊張をほぐすためにスコーンを口に運ぶ。咀嚼した瞬間、バターの風味が口に広がり、さらに味わうために目を閉じた。噛めば噛むほどバターの香りが強まり、目を開いた時には口の中のスコーンは無くなっていた。もうひとつ食べたいけど口の中が乾くので、いつの間にか注がれていた紅茶を飲んで口の中を潤す。
バターをふんだんに使ったお菓子は大好き。だって紅茶に合うから。うちのスコーンは少し塩っけが強いけど、これはシェフのこだわりらしい。シェフいわく、この塩っけがクリームの甘さを最大限に引き出す……とのこと。
クリームを塗るのも美味しいけど、私はバターの風味を味わいたいからクリームもジャムも塗らない。たまにクリームとジャムの甘さが欲しいと思ったらつける程度。やっぱり何事も、程よくシンプルなのが1番よ。
話がそれてしまった。私はスコーンの話がしたいわけじゃない。
どこから考えようか、と思ったけどまず婚約破棄がいつのできごとなのかわからないと具体案は見込めなさそう。エドモンド様の姿からかなり成長しているわけだし、おおよそだけでも決めておくのはありかもしれない。
ざっと考えて早くても3年、遅くて5年くらいだろうか。だとしたら15歳の時に婚約破棄の可能性があるのか……。そう考えたら今のうちに婚約破棄されてもいいように準備を始めるにはちょうどいいのかも。
来月から妃教育が始まるみたいだし、これに乗じて婚約破棄されても大丈夫なように備えておこう。家庭教師の方も伯爵夫人と聞くし、家庭教師の道を目指すのもありかもしれない。
私、妃教育で楽しみにしてる科目があるのよね。それは古典文学。本を読むのが好きだから色んな文学に触れることができると思うとすごく楽しみで。古典文学を教えてくださる先生はどんな方なんだろうってすごくわくわくしてる。
反対に苦手なのは数学ね、数字を見るだけで頭がくらくらしちゃう。どうして文学のセリフはすぐに暗記できるのに数式は暗記できないのか。好きな分野に関しては覚えが早いって言うやつかしら?
「アリシア、アリシア」
「! はいお父様。どうなさいましたか?」
「いやなに、ぼうっとしていたから私たちの話がつまらないのかと思ってね」
「いいえ違うんですお父様……。妃教育でどういった古典文学を学べるのか楽しみで、まだ見ぬ妃教育に思いを馳せておりました」
「さすがアリシア。文学に関しては相変わらずだな」
「ふふ、お父様の影響です」
こう話しているけどお父様も結構な古典文学好きで、屋敷の書斎にはたくさんの古典文学が置いてある。環境って大事よね。
喉が渇いたので紅茶を飲む。
「驚いた。もう妃教育のことを考えているのか」
エドモンド様が驚いた顔でこちらを見つめる。私は微笑むとティーカップを置き、口を開いた。
「未来の妃候補として、今のうちにできることをしておこうと思ったまでですよ」
「そうだとしてもアリシアは偉いな、もう先のことを考えているなんて……。僕も次期王として君に負けないよう勉学に励まないと」
「お互いがんばりましょう」
「ああ」
お父様の顔がまたすごいことになってるけどこれは反応した方がいいのかしら?
「アリシア」
「はい、なんでしょうお母様」
そう考えていたらお母様に声をかけられた。
「私たちは仕事が残っているから席を立つわ。あとは2人でお話しなさいな」
なるほど、もっと話をして親交を深めなさいという事ね。私は緩く微笑んで、屋敷に向かう両親の背中を見送った。
両親の姿がなくなると、先程まで賑やかだったお茶会が急に静かになる。一体何を話せばいいのかな?
「なあ、アリシア」
エドモンド様が声をかけた。
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