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これが幸せなお茶会だったらよかったのに

運命に抗う侯爵令嬢のお話です

1日1ページを目安にのんびり書いていきたいと思います

 ──これは、自身の運命に抗う令嬢の知られざる物語。


 うららかな日差し、さえずる鳥たちの声。咲き誇る色とりどりの花たちの香りが、風が吹くたびにこちらへやってくる。自身の目の前にはメイドが淹れた紅茶とパティシエご自慢のスイーツ。

 少し視線を上げれば楽しそうに話す両親と婚約者。三人の談笑に耳をかたむけながら私は紅茶に口つける。ベルガモットの香りにほっと一息をつく。


 そう、これははたから見たら優雅なお茶会。


 ……って思えたら幸せだったのでしょうね!私は煮えたぎる思いを紅茶とともに飲み込んだ。


 私アリシア・シルフィーは幼い頃からとある夢を見ていた。それはもちろん、悪夢だ。


 目の前で知らない男の人に大声で怒鳴られたり、お父様やお母様に似た人に冷めた目で罵られたり、急に頭が痛くなって気がついたらお家から追い出されたり……思い返すたびひどい夢だって思う。そもそもなんでこんな夢を見るのかわからないから、夢を見始めた時はどういうこと!?って混乱してお父様やお母様に心配かけさせたりしたなぁ。懐かしい。


 でも夢にしてはやけに現実味があって、目覚めるたびにエマに泣きついていたっけ。エマが淹れてくれる紅茶好きなんだよなぁ。まあ今飲んでるんですけど……と現実逃避をしてみる。


 これらが夢であればよかったのだけれど、どうやら夢に出てきた内容は現実かもしれない。理由は三つ。


 一つ、お父様とお母様の名前が夢の中で出てくるから。

 お父様はリアム、お母様はイザベルという少し珍しい名前で、私の知る限りで同じ名前の人に会ったことがないから。短絡的と言われたらそうだとしか言えないけど、念のため理由に挙げておく。可能性が少しでもあるのなら考えておくに越したことはない。


 二つ目、婚約者──エドモンド様に婚約破棄をされるから。

 これに関しては現実味が強いと思ってる。だって何回も見たんですもの。口上もそらで言えるレベルには覚えてる。

「私、エドモンド・オルレアンはアリシア・シルフィーとの婚約を破棄し、カタリナ・ユーグリットと新たに婚約するこちにする!」

 いやもう本当に何を言っているのか、そもそもカタリナって誰よ。初めて見た時には訳が分からなかったけど、何回も見ていくうちに察したわ。この婚約破棄は現実になるって。両親が出る夢より多いのだから、現実にならなかったら高笑いしてやるわよ。


 そして三つめ、その男の人がエドモンド様にそっくり。エドモンドって名乗ってるからそう見えるだけと思うかもしれないけど、今まで見ていた夢が私の未来ってことに気づいたのはこの理由がいちばん大きい。


 だってあまりにも男の人とエドモンド様がそっくりなんだもの!


 エドモンド様をはじめとする王族は、金色の髪に紫の瞳を持っているのが特徴で、夢に出てくる彼もその通りだった。

 エドモンド様が成長したらこうなんだろうな〜って想像通りの姿をしていたのよね彼。だから断言できる、あれは大人になったエドモンド様だと思うわ。


 あと断言できる理由がもう一つあって、この国はあと二人の王子がいて、二人とも髪がふわふわしてるの。王子たちの中で唯一ストレートヘアーなのはエドモンド様だけ。私は父に似てふわふわな髪質だから、エドモンド様のようなサラサラヘアーに憧れがあったりする。

 

「どうしたんだいアリシア?」

「いえ、なんでもありませんわ。エドモンド様の髪がとても美しいなと思っていただけです」

「ありがとう、アリシアの髪もとてもきれいだよ」


 社交辞令をサラリと返すのはさすが王族と言うべきか。視界の端でお父様がすごい顔をしてるけど無視一択。本当はここまで見るつもりじゃなかったのでそんな顔で見ないで欲しい。お母様も楽しそうに微笑むんじゃありません。


 紅茶を飲んで会話に入る気がないと意思表示をしておく。これでもう大丈夫でしょう。お父様も意図を察したのか私に話を振らなくなったし、とりあえず一安心。お母様は残念そうな顔をしてたけど気にしない。


 とはいえ、あの夢が実際に起こったら私はどうなってしまうのだろう。婚約破棄されて少し経ったあとか、お家を追い出された瞬間で目が覚めてしまうから私はその先を知らない。


 私は一体どうなってしまうのだろう。

 ただ一つ言えるのはろくな目に合わないということ。素行の悪い令嬢はだいたい修道院送りになるけど、修道院を夢で一度も見ていないから、私の場合はそうじゃない。つまり家から存在を消されるってことで合ってると思う。

 婚約破棄は免れないと仮定して、修道院にいけるようにしないと私の人生お先真っ暗では?修道院で生涯を過ごすならともかくのたれ死ぬことだけは絶対したくない。惨めな思いで死ぬのだけは嫌。


 ……だったら、回避するしかない。


 幸い今まで見た夢はノートに思い出せる範囲で書いてある。夢……ややこしいから未来って言うわ、婚約破棄は抗えないとしても、その他の未来なら抗えることができるはず。もしかしたら家から追い出されることはないかもしれない。


 どうなるか分からないけど、抗ってみよう、私の未来を勝ち取るために。


 決意を悟られるように、私は静かにティーカップを置いた


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してくださったら嬉しさで作者がその場で小躍りします“ᕕ( ᐛ )ᕗ,,


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