繋がった縁を断ち切るのは難しい
あのあと上級生の案内に従い、私たちは講堂へ向かう。教室にはあの甘い香りが残っていた。良い香りと述べる人もいれば、不快だと述べる人もいる。賛否両論だなぁ、入学初日にこれだけ注目を集めるのはなかなかないと思う。彼女は色んな意味で学園の噂になりそう。
メリューさんから聞いた話を踏まえるとエドモンド様の元には行きそうだな……というか夢でも見たから確実になるんでしょうけど。
分かってはいても嫌だなぁ……。胸の辺りがキュッとなるのを耐えるように私は顔を横に振った。
「アリシア嬢?お体がどこか悪いのですか?」
「いえ、大丈夫。心配してくれてありがとうメリュー嬢」
「なら良いのですけれど……彼女の甘い香りにあてられて辛くなったらすぐに仰ってくださいね」
「ええ、ありがとう」
やはりメリューさんは彼女のことをあまり好ましく思ってないらしい。彼女に振り回されないように気をつけよう。そう考えていたら講堂に着いた。中に入ると新入生たちが椅子に座って式を待っている。
私たちも席につく。甘い香りが後ろから香るので彼女は後ろの方にいるらしい。思った以上に香りが近いのでもしかしてすぐ後ろ?と思い隣に座っているメリューさんを見れば、彼女も顔をしかめている。
「もしかして……」
「ええ、彼女私たちのすぐ近くの後ろです」
ちらりと後ろを見れば艶のある黒髪が見える。私が何をしたって言うのでしょう。
もうここまでくると諦めるしかないのかしら。そう嘆いていると式が始まった。学園長の挨拶を終え、新入生代表の挨拶になる。登壇する人物を見て私は目を開く。
新入生代表、エドモンド様だったんだ。あ、だから急いでいたのか!
エドモンド様の慌てように納得していると、背後から声が聞こえた。
「かっこいい……早くお話したいなぁ……」
声の主は言わずもがな彼女である。だが私はその声を聞いて思わず背筋を伸ばした。一見普通に聞こえるのだけど、なにか欲を感じてしまう……そんな声だった。企んでいると言うのが分かる声。初日からこんなに欲をダダ漏れでいいのかしら……。こんなんで貴族社会で生きていけるの……?なんか別の意味で哀れになってきた。
彼女を哀れんでも時間は進む。エドモンド様の挨拶が静かに響き、そろそろ終盤に差し掛かってきたところでまた声が聞こえた。
「…あ…も……いと……」
彼女がなんと言ったか分からなかったが、不穏なものであるのは間違いない。自意識過剰かもしれないけど私のことかもしれない。お願いします私のことじゃありませんように……!
「新入生代表、エドモンド・オルレアン」
そうしているうちにエドモンド様の挨拶が終わる。ちゃんと聞きたかったのに私のおばかさん……。そう思っても時間が戻ることなく、入学式が終わった。このあとは教室に戻り一通り説明を聞いて寮に帰宅し、生活の仕方を教えてもらうだけだ。
メリューさんと教室に向かおうとすると視線を感じる。多分彼女だろう。あまりにも怖すぎるので、私は逃げるようにその場を立ち去った。
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