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それは子犬のような愛らしさ

新キャラ登場

 エドモンド様たちが去っていったので、のんびり校舎に向かうことにする。周りを見れば私と同じように校舎に向かう生徒に溢れていた。校舎に続く道を歩く、革靴が地面を叩く音が小さく響くが、周りの話し声に紛れ消えていく。


 私はどのクラスに入るのかしら?文系クラスだと思うのだけれど、試験の出来によって変わるらしいので不安。と言っても、理系の試験は散々だったので理系ではないと思う。


 騎士専攻もないわね、芸術は……どうでしょう?仮に入ったとしてもついていけるのかしら?


 そう考えながら歩いていると、校舎の入口に着いた。確か入口付近にある掲示板にクラス表が貼られているから、どのクラスか確認した後、教室に向かうのよね。掲示板の周りには新入生と思われる生徒たちしかいない。私も確認しないと。


 と、思ったけど人が多くて見えづらい!背伸びをしてもギリギリ見えない!人が落ち着くのを待つしかないようね……。


「うわっ」

「えっ?」


 不意に視界が暗くなる。その瞬間左肩に衝撃が走り、驚いていると今度は左半身に衝撃が走った。どうやら同じように背伸びをしようとした生徒がバランスを崩し、私の体にぶつかったらしい。そして何もすることができず、倒れてしまったようだ。


「いたた……」

「すみません!大丈夫ですか?」


 幸い大きな怪我はないけど、痛い。そう思っていたら手を差し伸べられた。顔をあげれば赤茶色の髪にヘーゼル色の目をした生徒がこちらを見ている。


「大丈夫です、あなたこそお怪我はありませんか?」

「俺は鍛えてるので大丈夫です。お気遣いありがとうございます」


 彼に支えてもらい、何とか立ち上がる。彼は失礼しますと言うと、私の制服についた土を払った。


「そこまでしていただかなくても大丈夫ですよ」

「いえ、あなたがこうなったのも俺の責任なので、土埃を払うくらいはさせてください」


 真剣な顔で言うものだからどう返答したらいいか悩んでいると彼がしまった!という顔をした。


「す、すみません!この言い方だと他意はあるように聞こえますよね!」

「あ、いえ……あまりにも真剣な顔で言うものですからどう返そうか悩んでいただけです」

「本当ですか、よかったぁ……」


 ころころと表情が変わるから、彼から目が離せない。王宮には彼みたいな人がいないので新鮮と言うべき?黙っているとまた彼が慌てだした。


「あ、もしかして痛むところとかありますか?」


 なんて言うんでしょう、子犬みたいな子?あの、母親が子供をかわいがるような、そんな気持ちを抱いちゃうというか。とにかくこのままだと彼の心配が増えそうなので大丈夫だと伝えておく。


「いろいろと心配してくださりありがとうございます。大きな怪我もしていないのでお気になさらず」

「なにかあったらすぐに仰ってくださいね!保健室に連れていきますので!」

「保健室の場所分かるんですか?」

「あっ」


 どうしようこの子かわいい。私の一言でまた慌てはじめてる。弟がいたらこんな感じなんでしょうね。年上にかわいがられるタイプとみた。


「ふふ、冗談ですよ。仮にそうなったとしても、その時は一緒に保健室を探しましょう」

「そうですね!そうしましょう!2人で探した方が早いですし!」


 私の返事ににこにこ笑顔で返す彼に対してにこにこが止まらない。しばらくほんわかした時間が過ぎた後、彼はあっと声を上げ一礼したあと、こちらを真っ直ぐ見つめ口を開いた。


「申し遅れました。俺はライオネル・マリスと申します。ライオネルとお呼びください」

「はじめまして、アリシア・シルフィーと申します」

「アリシア嬢……で呼び方合ってますでしょうか?すみません、俺は庶民なので貴族の方とどう話したらいいか分からなくて……」

「ええ、それで大丈夫ですよ」

「よかったぁ……」


 彼──ライオネルは安堵した様子を見せる。もう少し彼と話していたいけど、そろそろどこに在籍するのか知りたい。ちょうど掲示板に顔を向ければ先程より人が減っていた。


「ライオネルさん、人も減ったようですし、とりあえずどのクラスに在籍になったか確認しませんか?」

「本当だ……いつの間にいなくなってる」


 2人で掲示板に近づく、名前がはっきり読める場所に立つとお互い自身の名前を探した。うん、文系クラス。予想通りね。そう考えていたら隣でよかったぁ〜という声が聞こえた。声の主は言わずもがな彼である。


「騎士専攻に名前が載ってたぁ」

「ライオネルさんは騎士になりたいのですか?」

「はい!小さい頃に助けてもらってからずっと騎士に憧れていたので!こうして夢に近づけるのは嬉しいです!アリシア嬢はどちらのクラスに?」

「私は文系です。予想通りでした」

「文系ですか、すごい。俺は文字を読むと眠くなるからちゃんと本を読める人はすごいって思ってます」

「それを言ったら夢に向かってひたむきに頑張るライオネルさんも凄いですよ」


 そのまま雑談をしながら校舎の中に入る。彼の話は聞いていてとても面白くて、つい聞き入ってしまう。そうしてしばらく進んでいるとふと彼が立ち止まった。あら?と思っていると彼が話しかける。


「どうやら騎士専攻はこっちで、文系はこのまままっすぐのようです。それでは俺はこの辺で。アリシア嬢、お会いできたらまたお話しましょう」

「とても楽しいお話をありがとう。また会う時があったら今の話の続きをしてね」

「もちろん!では、失礼します」


 一礼して去っていく彼の背中を見送り、私も教室に向かった。

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してくださったら嬉しさで作者がその場で小躍りします“ᕕ( ᐛ )ᕗ,,


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