勝負の時は刻一刻と近づいていく
これにて1章は終わり、明日からは幕間をいくつか投稿していきます
夢を自覚して3年、私も15歳になった。妃教育も年々レベルが上がってきているけど、無事についていけてる。はじめはどうなるか不安だったけど、いざやってみるとなんとかなったりするんだなって思った。
婚約破棄もこのまま何とかなればいいのに……というのが本音だけど、こればかりはどうしようもない。あの後何回か婚約破棄される夢を見たし、変えられない未来であることは間違いなさそう。
ですが皆さまのおかげで婚約破棄されてもなんとかなりそうなんですけどね!本当この3年間いろいろ頑張ってよかった!!
まず婚約破棄されてもいいように苦手教科の経済学を理解できるまでとことん勉強して、その後お父様に無理言って見られても大丈夫な商談の様子を目の前で見せてもらい、交渉はどうやるのかいろいろと考えさせられたわ。お父様には別にそこまで学ばなくていいんだよ、と言われたけど今後のことを考えたらこういった技術はひとり立ちのために必要よ。知識として備えておくのは大事でしょう?って言ったら実践で教えてくれたっけ。どの職に就くかは分からないけど、実際に交渉の席に立ち続けている人のやり方を学べるのはとても大きいわ。
あとはルフレさんの所に行って、宝石の見分け方とか教えてもらったわ。オーナーは貴族のお嬢様になんてことを!ってルフレさんに言ってたけど私が望んだことだから不問にしてもらった。ただ女性で宝石商はなかなかいないせいか分からないけど、最終的にオーナーも本気で教えてたから嬉しかったのかなぁ、なんて。
でもいろいろ学んでわかったの、やっぱり古典文学が好きだしこれを仕事にしたいなって。例えば翻訳家になって、まだ世に広まっていないお話を訳して本にしたり、あるいは古典文学専門の教師になって子供たちに教え、良さを広めたり……とにかく古典文学に携わることができる仕事に就きたい。
そのためにはまずこれから入学する学園で古典文学を中心に専攻しないとね。婚約破棄は怖いけど、学園生活は楽しみ。学園は文系と理系、芸術専攻と騎士専攻の計4つのクラスに分かれているから、エドモンド様とは別クラスになりそう。平穏な日々が送れるとよいのだけど……どうなるんでしょうね。
エドモンド様との関係は……なんて表したらいいんだろう。可もなく不可もなく?今まで通りお互いの分からないところを教え合い、お茶会もして互いのことを知って……うん、可もなく不可もなくだわ。距離は縮まっているとは思うけど、それ以上の進展はない、って感じかしら。この距離感で婚約破棄……?とは思うけど油断は禁物。ふとしたきっかけで変わるものですからね。
「お嬢様、出発の準備が整いました」
「ありがとう。エマ、学園でもよろしくね。紅茶、楽しみにしているわ」
「ええ、お任せください」
エマに呼ばれ席を立つ。学園は寮生活なので、長期休みの時でないと屋敷には戻って来れない。長い時間過ごしてきた部屋を空けるのは少し寂しいが仕方ない。部屋を見回したあと、小さく頷き、私は部屋の扉に手を掛けた。
「行ってきます」
扉を開け、私は部屋を後にした。エマもその後に続く。
どんな学園生活になるかしら、不安と希望を胸に抱き、私は馬車に乗り込んだ。
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