これは夢? 後
明後日あたりにはシーンが一章が終わるかな〜と思います
音楽に合わせてエドモンド様とワルツを踊る。まさかダンスのレッスンの成果がこんな所で活かされるとは思いもよらなかった……。何故かエドモンド様はにこにこしながらこちらを見ているしいったいなんなんだろう。本当に夢、だよね?
何が夢で何が現実なのか分からなくなってきた。こうして華やかなドレスを着てエドモンド様と踊っているのか、どうしてこんな夢を見ているのかも私には分からない。
それにここ最近見ている夢が悪夢じゃないのが気になる。前までたくさん悪夢を見ていたのに、今では幸せな夢──幸せと呼んでいいのかわからないけど、そういった夢ばかり。私が行動を変えることで、夢の内容が少しずつ変わってきているってこと?だとしたら何がきっかけで変わっているの?考えれば考えるほど分からない。
「考え事かい?」
突然の声掛けはやめてください、すごくびっくりしますので!と、言いたいのを堪え眉を下げ微笑み、私は言う。
「え、ええ、少し考え事を……」
「なにか気になることでも?」
「そうですね……気にな……」
突き刺すような視線を感じ、思わず黙る。これはいったいどこから……?視線を巡らせると、人混みの中で一際目立つ女性を見つける。艶のある黒髪をまとめ、自身と同じ色のドレスを着た女性がこちらを──正確には私を凄まじい形相で睨んでいた。
怖い、思わず目を逸らす。だが突き刺すような視線は変わらずこちらに向けられている。いつから睨んでいた?怖すぎて彼女から離れたい。蛇に睨まれたかえるってこういうことなのかしらと変に現実逃避してしまうくらいには彼女の視線が恐ろしかった。エドモンド様もこちらに向ける視線に気づいたのか、上手くリードをして彼女から距離を取った。
「あれは……」
エドモンド様が小さく呟く。何か知っているのだろうか?聞こうとしたが、彼は私に声をかけた。
「彼女が気になったんだね。睨みつけるのはよくないなぁ……。曲もそろそろ終わるし一度バルコニーに行って離れようか」
「そうしましょう、あの形相は怖すぎます……」
手に力を込めると、彼は驚いたようにこちらを見る。何かあったのかな?首を傾げ見つめるが、彼は何事もなかったかのように私をリードした。
最後の一音がフロアに響き曲が終わる。エドモンド様と目が合ったあと、逃げるようにフロアを後にしバルコニーに向かった。
「すぐに気づかなくてすまなかった。怖かっただろう」
「いえ、私も気づいたのはさきほどでしたので……エドモンド様の機転で助かりました」
「……なら、いいのだけど」
バルコニーにたどりつき、息を整える。隣に佇むエドモンド様に目を向ければ、彼は空を見上げていた。釣られて私も空を見る。暗い空間の中、月が柔らかな光を放つその姿はまるで旅人を導く道標のように見えた。
「今日のアリシアのドレスは、夜空みたいだね」
エドモンド様はそう言い、こちらに顔を向ける。彼の金色の髪が月華に照らされ、ヴェールをまとっているように見えた。衣装と相まってどこか神聖さを感じる。
「夜空、ですか、私は海底みたいだなと思いました」
「海底……ああ、その解釈も素敵だね。アリシアが海底なら、私は海面に浮かぶ月といったところかな?」
「あら、私は海底に優しく差し込む月明かりかと思いました」
「……アリシアの表現には叶わないな」
彼の手が私の髪に触れる。硝子細工を扱うように、優しく触れるものだから、思わずときめいてしまった。夢だとわかっていても、心臓に悪い。どうしたらいいか分からず、私はエドモンド様の手を取り言った。
「で、ですが私は夜空という表現も素敵だと思いますよ」
声が上擦ってないか心配。どきどきしながら彼を見ると、花が綻ぶような笑顔を浮かべていた。その笑顔が美しくて、私の胸が高鳴ると同時にこれは夢なのだと理性が告げる。
何故だろう、夢だと分かっていてもこの時間が続けばいいのにと思う私がいる。でも夢はいつか覚めるもの。どれほど幸せな夢に浸っていても、いつかは現実に引き戻されるのだ。分かっている、分かっているのだ、婚約破棄をされることも、屋敷を追い出されてしまうことも。
一時の夢と受け入れられたらどれだけ幸せか、そう願っても現実は変わらない。それでも──
私は初めて、この夢から覚めたくないと思った。
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