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オストメニア大戦  作者: 居眠り
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第7話 煽動者と奴隷

第7話です。

 〈市場周辺〉


「解放の為に!」


「我らに自由を!」


「虐げられる日々に終止符を!」


「進めぇー!!!」


「うぉおおお!!」


 アンカー、イグロレの2人が坂を5分ほどで駆け下り、市場周辺に着いた時、辺りは大混乱だった。

 黒服の憲兵隊と戦っているのはどうやら奴隷だ。

 おそらく主犯と思われる男は奥の方で指示しているようだが奴隷ではなさそうだが、すぐに奴隷達に紛れて見えなくなる。

 とりあえず近くで指揮を執っている憲兵隊長に近寄り近況を聞く。


「おいッ!これはなんだ!?一体どうなってる?」


「誰だ貴様!俺だって分からん!!…だが通報してきた平民の話によると突然奴隷が暴れだしたらしい。それが伝播してこんな騒ぎだ!」


「なんだと!?…おい、そういえば銃声が聞こえたがまさか発砲したのか!?」


「奴らが先に撃ったんだ!」


「後先なんて関係ない!取り返しがつかなくなっちまったじゃねぇか!!」


 アンカーが激昂すると若い憲兵隊長はたじたじになったがイグロレは冷静に最大の危険について問うた。


「先に撃ったと言ったな。憲兵隊長殿。もしや銃器が彼らの手に?」


「…そうだ。ここにいる奴隷共の半分以上がこの先の工場地域から蜂起した奴ららしい」


 それを聞いたアンカーがイグロレを押し退けて再度憲兵隊長に詰め寄る。


「てことは工場地域が本命ってことじゃないか!」


「そうなる…」


「憲兵隊は向かってるんだよな?」


「先程送った部隊から連絡が無い。おそらく…」


「クソッ、…ロックラー大尉。近辺の貴族の家から警護兵をかき集めて、工場地域へ向かってくれ。ライン家の名を出して構わん」


「ハッ!」


「え、ロックラー大尉?ライン家?え??」


 憲兵隊長が混乱する中、アンカーが彼の肩を掴んで援軍の有無を問うと有ると返事が来た。

 ついでに名前と階級を聞き、こちらの身分も明かす。

 大層驚いた彼の名はリンラルク憲兵少尉だそうだ。


「いいかリンラルク少尉。貴官の部隊は何人だ」


「い、急いで来たので20人がせいぜいかと…」


「それと工場地域へ行った部隊の隊長の名と数は?」


「女性の士官で小官の同僚のチャペン少尉です。人数は30人前後ほどのはず…」


「よし、聞いたな大尉。ここは任せろ。行け!」


「ハッ!司令もお気をつけて」


 ロックラー大尉は騒動の反対側へと走り出して行ったと同時に横で戦っていた憲兵が頭を撃ち抜かれた。


「ロシュ伍長!?…よくもッ!」


 そう言うとリンラルク少尉は飛び出した。


「おいッ!…この数で勝てるか!?」


 そう愚痴を溢しつつ、アンカーもライフルを構える。

 だが一応まだ言うことを聞くかもしれない。降伏勧告をしなければ。


「おい!奴隷諸君!武器を捨てろ!今ならまだ間に合う!」


 だが銃声や人々の声にかき消される。

 もう一度大きな声で呼びかけるが返事は左頬をかすめた弾丸だった。


「致し方ない…」


 古傷をかすめた弾丸によって出る血を手の甲で拭いながら、まず市場周辺の屋根の上で銃を構える奴隷達を射殺した。

 苦しまないようになるべく頭から胸を狙って。

 実はアンカーにとってはこれが初の実戦。

 だがもう躊躇いなど無かった上、まだ臣民の避難が完了していない上、奴隷達は銃を多数持っているのだ。

 反奴隷派の立場にいる者としては心苦しい限りだが、この騒動を止めなければならない。

 せめてさっきの主犯格と思われる男を捕らえられれば指揮統制を崩せるかもしれないがそれは現実的ではないので奴隷達の士気を崩すしか無い。

 見た限り銃を持っている奴隷はそう多く無い様で、数は200人といったところか。

 そのうち銃所持奴隷は50人ほど。

 この者らを倒し、さらに一撃を加えれば一瞬で瓦解するはず。


「よしッ!」


 6発入りの弾倉を外し、リロード。

 アンカーは陸軍軍人では無いが試験過程でもちろんライフルの取り扱いには触れている。

 それに射撃場で練習しているので腕には自信があった。

 弓術はからっきしだったが。

 リロードする度にガチャガコン!という個人的に好みな音を出す弾倉を入念に付けてボルトハンドルを引く。

 スコープは付いていないのでアイアンサイトで狙うしかないがそれについては先程6人射殺したから問題ない。

 さて、次の相手だ。

 アンカーは狙いを定め、引き金を引いた。


〈工場地域〉

 イグロレは近隣の貴族の家から警護兵を半ば強引に引き連れて駆けつけた。

 最初は渋った貴族達にはライン家の名と下手をすればここら一帯が焼き払われると脅しをかけた結果、圧力に屈した貴族達は総勢約300の警護兵を貸してくれた。

 なぜイグロレが引率しているかというと立場的に1番上位だからだ。

 到着した工場地域は静寂に包まれている。

 暴動の中心地と聞いたはずなのにおかしいと思っていると何か声が聞こえる。

 女性の声だ。

 助けを求めているように聞こえる。


「ッ!奴隷達め!急げ!急げ!!」


 何が起きているかすぐに察したイグロレは猛スピードで狭い道を進んでいく。

 道端で目も当てられない憲兵の死体をいくつも見たが今は収容してやれない。

 そのことを歯痒く思っていたその時、いきなり鉄パイプが上から降ってきた。

 正しくは振り下ろされたか。

 持っていたライフルの銃身で受け流し、蹴りをかますが見切られて避けられる。

 イグロレは一旦距離をとり、相手の服装を確認した。

 奴隷だ。

 しかしあの身のこなし、襲撃時の雰囲気、そして奴の目からして只人では無いことは明白だった。


「おい、貴様。奴隷では無いな。何者だ?」


「やぁねぇ…レディに名を聞くなら自分が名乗らなきゃ…」


 まさかのオカマ発言に一瞬硬直したが持っている鉄パイプをこちらに投げつけてきたのでライフルで弾いたが中々の腕力だ。

 思わず怯んでしまった。


「くッ!」


 追撃が来ると踏んだがそれはなく、奴の姿は既に失せていた。

 後ろにいた警護兵達に何故発砲しなかったと問い詰めたが彼らは全員驚きの表情を崩そうとしない。


「あの奴隷…物凄いスピードで屋根に駆け登ってしまって…あんなの人間業じゃない…」


「まるで獣だ…」


 そう言って震えていた。

 確かに強敵だった。

 言われてみれば人の目をしていなかった。


「気持ち悪い…」


 蔑むように吐き捨てると今度は本物の奴隷達が現れる。

 数は4人。


「来いッ!全員お縄だ!」


「自由を…ガハァッ!!」


 奴らが叫ぶ前に銃身の尻でみぞおちを突く。

 続いて怯んだ2人目を殴り飛ばす。

 3人目は顎をカチ上げて失神させ、4人目は完全に戦意喪失してるようだったので足を蹴って転けさせる。


「よーし全員捕縛しろ!」


 そう警護兵に命令したイグロレだったが彼らは全員「なんでライフルを使わない…?」という顔になっていた。

 何故使わなかったんだろうと己も分からなかったイグロレであった。


涼しくなったり湿気にやられたり…

そんな現実世界の中、アンカーとイグロレは戦場を駆け回っております。

海軍軍人なのにね。

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