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Catastrophe  作者: 架幸
-Nocturne-
4/20

-Aise Side

ぼくは愛世。

一応、女。

そして人間。

けどワケあって魔界で神をしている。

神って言ったら世界を救う素晴らしい存在。

人間達を導く存在だと思うだろう。

でもぼくは悪の神。

魔王に仕えて悪魔の使命を果たしている。

それにぼくは、神は嫌いだ。

だから正確には、悪魔を率いる魔王の補佐と言っ

た存在だ。

ここの魔王、リュークは命の恩人なんだ。

愛称でリュークんって呼んでる。

独りぼっちだったぼくを救ってくれた…

ぼくに生きる意味を与えてくれたんだ。

リュークんや魔界の皆の為に、日々仕事に勤しん

でいる。

そんなぼくは今、モニターで異世界を見ている。

悪魔の仕事の一つ、異世界の監視だ。

魔界に聳える城の中、そこのロビーにある巨大な

モニター。

そのまんま、異世界監視モニターと呼ばれてい

る。

数え切れない程様々な世界の中から獲物を探す。

悪事を働く人間、死にそうな人間を見つけて標的

にする。

そしてロックオンされたその人は悪魔に狙われ…

喰われるか、生気を吸い取られるか。

残酷な仕事だ。

ぼくは…人間を恨んでいる。

人間なんて大嫌いだ。

僕が辛い思いをしてきたのも全部人間のせいだ。

だからこそ不謹慎だけど、この仕事は快感を感じ

る。

でも苦しくないと言ったら嘘になる。

それでも、リュークんの抱える苦しみと比べたら

優しいものだ。

ぼくよりも誰よりもリュークんは…


「ってぁああ!?」


途端に画面には大きく Delete の文字。


「ぁあぁあでれーと!でれでれ…テヘッ☆」


思いっきりデレるぼく。

違う、そんなことやってる場合じゃなくて。

やってしまったのだ。

モニターのボタンを押し間違えて、纏めのデータ

がふっ飛んだ。

さっきまでの苦労はどこへ…

ぼくはまだ未熟で、ミスをよく起こす。

巨大なモニターの前で呆然と立ち尽くすぼく。


「なになに?なにやってるの…」


叫び声を挙げた途端、黒いフード姿の男が顔を覗

かせる。

幻魔のヘルゼだ。

その顔は見えないが、意外と透き通った高い声が

響く。

これでも性別は男、らしい。

ぼくをよく援助してくれる良い奴だ。


「ヘルたーん…データがぁあぁっ」

「あらー…だからこまめにほぞんしてっていった

じゃない…」

「ごめん…ぼくやっぱり向いてない…」

「まぁまぁしかたないよ。おれにまかせて〜」


絶望しているぼくを他所に、ヘルゼは早速作業に

取り掛かる。

ヘルゼは優しい。

やはりぼくより作業の手際がいい。

ぱたぱたと仕事をこなすヘルゼはカッコいい。

先輩を見守る後輩の気分でその様子を眺める。

やることが無くなってしまい、辺りをそわそわ見

回していた。


「あっそういえばリュークんは?」

「へやにいるんじゃないかなぁ」

「ちょっと呼んでくるよ〜」


手ぶらなのと会いたくなったのとで、ぼくはリュ

ークんの部屋に向かう。

リュークんはよく自分の部屋に篭っている。

城の一番上にある頂上の部屋。

そこには誰も入ったことがない。

ぼくでも滅多に許されない。

この魔界の城の中は亜空間になっていて、とても

高く広い。

その為、移動はほとんどエレベーターか瞬間移動

だ。

頂上のリュークんの部屋は、雲まで届く程高い場

所にある。

魔界で一番高い場所だろう。

見せてくれないけど、そこからの眺めは最高だと

言っていた。

エレベーターに乗り込んで Lyuk と書かれたボ

タンを押す。

ふわっと体が浮く感覚と共に一瞬で着いた。

流石感動するくらい早い。

人間界とは格が違うね。

奥にあるリュークんの部屋を叩き、名前を呼ぶ。

いないのかなぁ…

と思ったと同時にゆっくりとドアが開いた。

ところで、ぼくの身長は145cm。

リュークんはなんと190cm。

つまり、天を見上げる形になる。

うーん…相変わらずカッコいいなぁ…

何度も見てるけれど、その度見蕩れてしまう。

現れたリュークんは何となく元気がなさそうだっ

た。

ふと、微かにその目は潤んでいるように見えた。


「リュークん…泣いてる?」

「…んなわけねぇだろ…」


そう言ってこっそりと涙を拭うのを、ぼくは見逃

さない。

やっぱりぼくにも見せてくれないんだね。

まぁ気にしないよ。

そうやって隠そうとするところも、ぼくは好き

だ。


「あのね、モニターの操作が分からなくなっちゃ

って…」


少し気まずくて、とっさに思いついた言い訳をす

る。

ぼくに出来ることはなんだろう…

何となく考える。

とりあえずにっと笑顔を向ける。

するとリュークんは口元を緩ませ返してくれた。

可愛いな。

そんなリュークんを引っ張って、ロビーに連れて

いく。

チンッと音と共に一階のロビーについた。


「にゃにゃーっ」


ドアが開くと突然、小さな物体がリュークんの顔

面に衝突した。

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