GENJI
おじいさんのありがた~い おはなし。
「ここが、『ほすとくらぶ』ですか。派手ですね。」
小式部と、晴明は「GENJI」と見知らぬ文字が、書かれている、ど派手な店の前に立っていた。
「ふんふん、この人が、トップね。」
小式部は、店の前の、バンタナを巻いた男や、派手なヘアースタイルの男の写真の中から、髪の毛の色が2色になっている男の写真を指さした。
「お金がかかりそうですね。」
「出して」
「そんなに持ちませんよ。」
「あなた出せるでしおょ、作って」
「作れますけど、それ犯罪ですよ。」
「いいの、本当に困ったら、また、朝ぼらけおじさんに払わせるから。」
「かわいそ…、これでいいですか?」
晴明は、懐から分厚い札束を取り出した。
「まあ、元は その辺の葉っぱですけどね。」
「あと、女の子出して」
「女の子ですか?」
「1人だと、警戒されるから、あの狐の子呼んでよ。」
小式部と葛葉が、立派な扉を開けて、店内に入ると、
「いらっしゃいませ、どなたか ご指名は?」
ゴージャスな受付カウンターから、元気な声がする。受付さんもバンタナを巻いている。 小式部は札束を取り出して、
「この店のNO1を呼んで、わたしVIPよ。」
「こちらへどうぞ」
ゴージャスな椅子と、テーブルの席に案内されしばらく待つと
「はじめまして ひかるです。」
「ひかる?」
「ひかるげんじです。」
「げんじさんかぁ。なんかおじさんぽい。」
突然、ちょっと年のいったお姉さんがやってきて
「ちょっと、ひかるは初めから、わたしのものなの。初めて来て、でかい顔しないで!」
「六条さん。落ち着いて」
「こんな小娘より、わたしが大事でしょ。今日もシャンパンタワーやるよ。」
「ありがとうございます!!」
「あの、おばさん。わたしたちが話してるんですけど…。」
「うるさいわね。祟るわよ。」
ひかるは小声で
「あの人、本当に呪いますから、気をつけて」
と言って、テーブルを離れていった。
「お飲み物は?」
「甘茶はあります?」
「信濃三条の上物がございますが、」
「じゃあそれで、」
「こちらの方は」
「わたしは、あぶらげで」
「栃尾産の高級あぶらげがございますが。」
「それで」
二人が注文を終えると、一人の女性が近づいてきた。
「あなたたち、高級なお酒を頼まなきゃ。ひかるは来ないよ。」
「あなたは?」
「わたしは、葵。」
「あなたも ひかるさんを?」
「ええ、でもわたしには冷たいんです。シャンパンタワーできませんし。」
「シャンパンタワー?」
「高級シャンパンを何本も使って、タワーに積み上げたグラスに……。」
「それってどのくらいかかるの?」
「100万ぐらいかな、でも高いものは1億円ぐらいするわ。」
「そんなに出す娘がいるの?」
「それで、売掛とんじゃってる娘もいるわね。」
「それが、あの娘たちね。悪いのはげんじさんか。」
「いえ、ひかるさんは、太いお客さんがいるから、あまり悪くないわ。問題は、NO2以下の人たちかな。毎週、ランキングが出るから、週末に勝負かけてくるの。」
「勝負?」
「最終日に1円でも売り上げが多ければ、1位になれるから、その日に推しを動員するの。で、うまく1位になれれば、1位って看板が出せるわけ。」
「高いお金を出せない娘と、売れないホストってわけね。」
「特にバンタナ組かな。昔は人気あったみたいだけど…、あっ、ステージやるわよ。」
ステージでは、ひかるのためのシャンパンタワーがおこなわれていた。
「あれは、500万はするわね。」
「あれ、全部の飲むんですか?」
「まあ、みんなに配ってくれるかもね。次のステージ始まるよ。」
「ライブ?」
場内にロシア民謡のような音楽が流れる。
ステージでは、バンタナを巻いた男の子たちが、ローラースケートとを履いて現れる。 そして、揃ってコサックダンスを踊りはじめた。
「彼女たち どこから来たの?だれの推し?」
ステージが、大混乱のうちに終わった後、傷だらけのバンタナ男の1人が、二人の席にやってきた。
「おれさー、1番だったんだけど、負けちゃってさ。かわいそうでしょ。」
「はぁ?」
「でさ、君たちかわいいじゃん。おれの推しになって助けてくんない。」
「なんで?」
「だって、おれ元芸能人だし、いけてるし、優しいし……。」
「自分で言う?」
「君だれかに似てるね。ああ、今評判の『小式部内侍』にくりそつ。」
「評判なの?」
「そうさ、今、娘にしたいアイドルNO1さ。」
「褒めことばなんだ。」
「そんな君に、ぴったりのぼく、最高のカップルじゃん。」
「??」
「まあ、飲みなよ。さっきのシャンパンもらってきたし」
「飲めないよ。」
「まあいいから、一気!一気!一気!」
店内にいた他のバンタナ組も、一緒になって盛り上げる。
「はやく酔わせろよ。」「もう一人はおれな。」っていう声が聞こえる。
「あのさ、飲めないって言ってるでしょ。この店は未成年にお酒を飲ませるの?おまわりさーん、犯罪ですよ!」
「なに言ってんだ、ここにはおまわりさんなんか来ないよ!」
そのとき、どーんと、とびらが開いた。
「ああ無事でよかった。パパ心配したよ。」
保昌は、ほっとしていた。
「大丈夫って、言ってたでしょ。もう。」
小式部は不満そうに
「でさ、晴明さんもやりすぎ、十二神将全部出すなんて、やりすぎよ。」
「ほすとくらぶ」は跡形もなく、破壊されていた。
【ごきょうくん】
おじいさんとの約束だよ。
未成年は、お酒を飲んでも、飲ませても犯罪ですよ。
昭和ネタ+源氏物語です。




