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第25話 姫になる3つの方法

 央州の温泉地にある旅館で、黒い武官と赤い監視者、それに黄色い賢者は休息をとっていた。


 露天風呂はゆるい混浴だった。妖異のものには性別はあまり関係ないうえ、ヒトおよびそれに類似した知性体は、性別は自由に選べるため、楕円形の中央部に、敷居と言えなくはない程度の小山があった。


 しーっ、と指を口に当てた監視者は、賢者に自分に従って来い、と、武官には、小山の反対側から回れ、と合図をした。


 夏の終わりの、月の光が乏しい夜だった。秋の虫がちりり、ちりりと鳴いていて、ふもとの旅館の明かりがちらちらと見えた。星は天空の穴のようだった。山の風は風景よりもはるかに秋の爽やかさを漂わせていた。


     *


 露天風呂の小山を隔てた反対側からは、未成熟の女性体特有の、きゃっきゃ、くすくす、はわわ、という声がしていた。その声は3人もしくは3体のものと知れた。きっちり、のんびり、あわあわした声だった。


 どうやら薔薇園で会った吸血姫たちも、この旅館に泊まっているようだな、と監視者は賢者にひそひそ声で話した。


 乳白色の湯殿は、3体の吸血姫のまわりを、薄ぼんやりと同じ色に染めていた。赤、黄色、黒の色は、体の動きに合わせて濃くなったり薄くなったりした。


 なんだ、お前らも一緒だったんか、奇遇だな、と、武官は大声で言ったので、姫たちは一斉に、武官に向かって叫び声を上げながら色の違う湯をかけた。


 いきなり大声出すのは無謀すぎるだろ、と、監視者は武官を叱った。


     *


 ところでお前ら、吸血種ってことは納得できなくはないんだけど、姫ってのはどういうわけなの、と、武官は聞いてみた。


 3体のうちで一番賢そうな黄色い姫、ベルは、姫になるには3つの方法があるのです、と答えた。


 まず、王の娘として生まれること、次に王子と結婚すること、そして娘持ちの平民が王と結婚することなのね、と、おしゃべり好きそうな白の姫、ジゼルは説明した。


 最後の方法は、すこしずるくないか、と、武官は言った。


 わたしはさらに、もうひとつの方法も知っている、と、監視者は言った。それは、つまり、王子のカエルを見つけて口づけをすることだ、と、監視者は赤の姫を指差した。


 赤の姫は赤の色を濃くして怒った。


 えー、そんなカエル普通にいるの、トノサマガエルなら知ってるけど、と、武官は鼻で笑いながら言った。


 とにかく、わたしとカエルを関係付けるのはやめて欲しいのだ、と、赤の姫、ミカエルは言った。


     *


 えーっ、あなたたちも一緒だったの、と、久しぶりに会うネコの姫である(ということになってしまった)ミネコは、中等教育施設で同学年だというふたりと一緒に露天風呂に現れた。

八州とそれに関連した世界が、自分の創作物のすべてに含まれています。簡単に説明すると「すごい人工知能が創造した、ヒトが住んでいる世界」。

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