ホチネの本当はどこに
「首都の農業の町に行く事にしよう!」
俺は一晩中考え朝一番でホチネに伝えた。
冒険者の町はギルドランクを上げるにはいいかもしれないがせっかく旅をするなら魔物と闘うだけでは面白くない。
「いいよ。あたしはフゥに付いて行くだけだから。
そうと決まれば出発の準備をしよう」
いつものホチネの答えに、
「じゃあ俺は知り合いに挨拶して図書館で調べ物をして来るよ。
ホチネは自分の用を済ませてききてね」
その時ホチネの魔法石に連絡が入った。
「ドノボが今日は一日休むって言ってるんだって。
だから二人で森に行く事にしたけどあたしも一緒に行かないって誘われた。
行ってもいい?」
「いいけど準備はどうするの?
今日は一日休みって事にして、明日、準備の日にしようか?」
「そうしよう。
明日なら二人で準備出来るから。
それじゃ行ってきます。」
『ホチネはやっぱりヒタリやヘンゼとパーティーを組みたかったのかな?』
俺はモヤモヤしながらバイテルの店に行く事にした。
『このモヤモヤなんだ?嫉妬?じゃないよね?』
バイテルの店に入ると以前の店員さんに今日は焼き魚定食を注文してバイテルがいるか聞いた。
「あんたバイテルの知り合いかい?
もうすぐ来ると思うけどね。
食事をしながら待ってておくれ」
「はい」
俺は返事をして運ばれて来た定食を食べようとして、
「あの…箸とかってありますか?」
俺は前に思た事を聞いてみた。
「あるよ!
この頃だと箸を使える人は元々この国にいる純粋種の人達くらいかね。
昔はこの国は箸を使う人が多かったって聞くけどね。
エルフ教会が入って来て混血が進んでそれぞれの習慣が違うからだんだん使われなくなったらしいよ。
何千年か昔の話しだから本当かどうか判らないけどね」
「エルフ教会が入って来て混血が進んだんですか?」
「そうだよ。
エルフ教会の教えでね。
その方が丈夫な人種になって寿命も延びるし病気にも罹りにくいからって言ってね。
確かに寿命は延びたけど魔物達の寿命も延びてるからエルフ教会の話しが本当かは判らないけどね。
そんなエルフは自分達は純粋種にこだわっているしね!」
そう言って隣のテーブルを片付けて行ってしまった。
『エルフの目的は何だろう?
自分達が長寿だから他の人種も長寿にしようとしたのか?
それとも何かの実験?』
「フゥ!また来てくれたのか!」
俺がエルフについて考えていると後ろから急にバイテルに話し掛けられた。
「はい。この前食べて美味しくて。
それともうすぐ別の町に行こうかって話しになって。
お別れの挨拶に来ました」
「そうかい。
メチザにも声を掛けて行ってやってくれ君の事を心配していたから」
「はい。そうします。」
俺は食事を終えると、店の裏にあるメチザいる倉庫に寄った。
「メチザいる?」
メチザは倉庫の奥にある部屋から顔を出した。
「フゥか今日はどうした?」
「近い内にこの町を離れて農業の町に行こうと思っているんです。
それで別れの挨拶に寄りました」
「そうか体には気をつけろよ。
それと西は魔物は少ないが最近ゴブリンの盗賊達が出る事が増えてるから夜は特に警戒した方がいいぞ」
「ありがとうございます。参考にします。」
その後、準備に必要な物や森に出るのとは違う魔物の特長を教えてもらいメチザに感謝して別れを済ませた。
その後、俺は図書館に向かった。
あのエルフがいない事を確認し受付でお金を払うと創世記のコーナーに来た。
前回気になっていた本を抱え空いている席で読み始める。
この世界は四柱の妖精の神によって存在する。
妖精の神が何も無いこの世界に昼と夜を創り季節を創る。
そしてエルフを……
突然、魔法石が光りメッセージが流れる。
ホチネからだ。
『フゥ、今日はヒタリ達と食事しよう!
二人にもフゥの事キチンと説明すれば仲良くなれると思うのよ。
フゥにも二人の事知ってほしいから宿の隣の喫茶店で待ってるね。
早くきてよ!』
俺は『フゥー』と一つため息を吐くと本を戻し喫茶店に向かった。
喫茶店に着くとなぜかドノボがいてホチネと言い争いをしていた。
俺はソーッと店を出る。
『ヤバいヤツがいるし!』
店の外で様子をうかがおうとした時、店からヘンゼが出て来た。
「フゥ?フゥだよね。
ごめんね。今ドノボが急に店に来てしまってホチネと喧嘩になっているから」
ヘンゼは申し訳ない感じで頭は下げる。
「いやいいよ。
喧嘩はどんな感じ?」
「ぼく達がホチネと連絡を取って魔物狩りに行った事にドノボが文句を言ってるだけ。
自分で今日は行かないって言っておいていつも勝手なんだよ。
ホチネが居れば俺も行ってギルドポイントも貰えたはずだとか。
ドノボが居たらホチネは来てないってね」
「まぁそうだね」
俺は苦笑いで答える。
「俺達はもうすぐ他の町に行く予定なんだけどさ。
ホチネ本当はヘンゼやヒタリと三人でパーティーを組みたいんじゃないのかな?
ドノボがいなければそうなるはずだったんだよね?」
「そうかな?
元々ぼくとヒタリの二人パーティーだったんだよ。
でも筆頭長老が自分の派閥のドノボに冒険者ギルドランクCを取らせて帰って来てから自分達に都合がいい役職を与える為の条件をクリアさせたくて三人パーティーにさせたの。
ただぼく達二人では足手まといのドノボと三人でランクCは無理な事に気付いてぼく達と仲も良く一人でも冒険者としてやっていけるはずのホチネを一人では冒険者として聖域を出られないようにする為に法律を変えたんだよ。
だからホチネはぼく達のパーティーに入った。
でもフゥがいた事によってホチネはぼく達と一緒に行かなくてよくなった。
ぼくはホチネはその方が良かったと思っているよ」
「そう?」
俺はそれしか言えなかった。
『どの世界も権力争いがあるのね!
俺は関わりたくないよ!』




