久しぶりの休日
カラゴに狩り場を教えてもらってから五日間。
毎日魔物討伐に行きお金もだいぶ貯まりギルドポイントもランクアップまで後二割になっている。
三日月国に来てから八日目。
明日一日たまには休みを取ってそれぞれ買い物などに出掛けることにした。
森に魔物を狩りに行くようになってから初めての休日だ。
その日俺は二度寝をして昼頃に起きた。
ホチネは朝からどこに出掛け既に部屋にはいない。
着替えをして宿の一階に降りていつものホビットの女性に近くでおいしい昼ごはんが食べられるお店がないか聞いてみた。
「それなら……バイテルさんのお店がこの町の名物の新鮮な魚を食べらますよ」
バイテルさん?どこかで聞いたことがある気がする。
ホビットの女性ポリサに教えてもらったお店に向かう。
ポリサと言う名前は今日初めて知った。
今日は朝食を食べそびれたのでお腹がペコペコだ。
ポリサに教えられた店に着くとバイテルの店があの商人の店だと解る。
俺は人の名前を覚えるのが苦手だ。
店の中に入ると、
「いらっしゃい。こちらの席にどうぞ」
俺は案内された席に座る。
「オススメは何かありますか?」
「それなら聖域門の島で取れたおいしい魚の焼き魚か煮付けが人気があるよ」
「それじゃ煮付けをください」
「煮付けだね。今持って来るよ」
店員は元気よく厨房に向かう。
目の前に並べられたのは魚の煮付けとご飯と味噌汁。
日本の定食だった。
俺はフォークとナイフで煮付けを食べ、
『あー久しぶり!日本の味だ!ご飯もうまい。味噌汁がしみる。
でも箸がほしい』
一気に食べ進めおなかいっぱいになる。
会計を済ませ店を出ると丁度バイテルが店に帰って来た所だった。
「フゥ君!食事に来てくれたのかい。料理は気に入ってくれた?」
「はい、とても美味しかったです」
「それはよかった。今日はこれから何か予定あるの?」
「図書館に行ってみようかと思ってますよ。
前回行きそびれたので」
「この町の図書館は世界一の大きさだからね。
だけど禁書コーナーだけは気をつけてね」
バイテルが気になる事を言う。
「禁書?」
「教会が読むのを禁止している本があるのだ。君は竜人達の所で育ったって聞いたから忠告しておいた方がいいと思って」
「竜人の所で育ったら何かマズいんですか?」
「竜人達とそれ以外のほとんどの種族では創成の記述が違うのだよ。
だからエルフと竜人は仲が良くないのだけれど。
この国のほとんどの種族は無宗教が多いのだがエルフ神話を元にした教会の力はそれでも強いからね」
「そうなんですね。ありがとう。気を付けます。」
俺はバイテルにお礼を言うと図書館に向かった。
『この世界でも、宗教対立があるのか』
図書館に着いた。
前回の事があったので少し緊張して中に入る。
前回と同じ人が受付のカウンターにいた。
「こちらにどうぞ。
今日はお金はお持ちでしょうか?」
「大丈夫です。一日パスで銅貨五枚ですよね?」
俺は袋から五枚の銅貨とギルドカードを出す。
「はい、ありがとうございます。
それではどうぞお入りください」
俺は奥に進み広さと本の多さに驚く。
『さすがに世界一の図書館はすごいな!
なんの本を読もうかな?
ここから目当ての本を探すのは大変そうだ』
「何かお探しですか?」
本の多さに呆然としていると後ろから声を掛けられた。
俺は後ろを振り返り、
「いや、本の多さに驚いていただけです。
まだ何の本を読もうか決めてなくて本を読むの初めてなので何かオススメの本とかありますか?」
司書の男性は少し考え、
「初めてなのでしたらお子様向けですと……あちらの絵本コーナーなどいかがですか?」
確かに前世でいえば小学生くらいに見える姿だけど。
心はおっさんだ。
「もう少し難しめの本でこう見えても大人なので」
「失礼いたしました。それでしたらあちらの創世記などいかがでしょう。
エルフ神話を元に書かれた物で初めて読むには丁度よい読み応えになっております」
「参考にさせてもらいます」
『エルフ神話と竜人の聖域で教えてられた事が違うのか?
水龍神が嘘を吐いている?
それともエルフ神話が間違っている?
そもそもエルフとは何者?
他の種族と違うのか?』
俺はエルフ神話に興味が出て来た。
『創世記を読むのもいいかな。
ラィが魔法神だったなら龍神達の方の話しが本当なのか?
妖精神は月にいるって習ったけど妖精族がエルフなのか?
創世記を読んだらホチネに怒られたりするのかな?』
俺は創世記の棚の前まで来ると遠くからこっちを見ている人がいることに気づく。
『何か他の人と違う雰囲気があるな?
あの姿……もしかしてエルフ?』
初めて見たエルフと目が合ってしまった。
そのエルフは驚きつつゆっくりとこちらに近づくと恐る恐る話し掛けてきた。
「ま、魔法神様!」




