初めての魔物討伐
この町に着いて三日目。
「今日は明日からのことを考えないと宿を延長する?
それとも他の町に行く?」
「この町の魔物はどのくらいの強さなのか確かめた方が良いよ。
ギルドの依頼を受けてみてどのくらい稼げるか知らないと宿代と食事だけで十日で無一文になるよ」
俺は魔法石で依頼を検索する。
「その前にパーティー申請してね。
フゥがリーダーだから」
「俺がリーダーなの?
ホチネの方がよくない?」
「あたしはフゥの付き添いなの!
アノ黒猫のラィが来たらパーティーを外されるかもしれないし、ラィとフゥには何か計画があるんでしょ」
『そうか目的達成したら俺は向こうの世界に帰るのかホチネとずっとパーティーを組む訳にいかないな』
「解った。ラィから連絡来るまでの臨時パーティーにしよう。
ラィが来てからまた話し合ってお互いパーティーを続ける気があるか確かめることにしよう」
俺はホチネにパーティー申請を送り直ぐに許可され二人で依頼を選ぶ。
二人での最初に受けた依頼は……。
「本当に大丈夫かな?
ぶっつけで森に行ってみて魔物を倒してから依頼を受注するってずるい気がするしそれでいいならみんなその方法やってない?」
「やってるよ?殆どのパーティーでやってるでしょ!
こんなことよりさっさと出掛けるわよ!」
ホチネは初めての魔物との戦いに向けてワクワクしていた。
北門に着いた二人は門の前で止められる。
「身分証を出して下さい」
オーク族の警備員が門の出入りをチェックしている。
俺とホチネはそれぞれ袋からギルドカードを出して見せる。
「はい。通っていいですよ」
二人はすんなりと通される。
俺は門をくぐり海沿いの北へ延びる街道を歩きながら
「もっと子供は通れないとか、冒険者には見えないとか言われて足止めされると思った」
「ギルドカードがあるからそんなことないよ。
見た目ではどんな強さか解らないからね。
それより街道を歩い行ってるけど冒険者の町まで行くの?」
俺は街道をだいぶ歩いてハッと気がつく。
「向こうに森の奥に続く道があったよね。
なんでこっちの道に来たんだろ」
「しっかりしてよ!
フゥがリーダーなんだから!」
「はい」
俺達は街道からそれて森の中に入って行った。
森は静かでたまに遠くから魔物と戦っているだろう音と声が聞こえる。
二人は当てもなく奥に向かって歩いた。
途中、魔物を解体している冒険者達を見掛けるが全然魔物が見つからない。
「魔物いないね?」
「この辺は低ランクの冒険者に狩られて魔物は少ないんじゃないかな?
もっと奥に行くか道を外れて山の方へ行くかじゃない?」
「山側に行こうか」
道を外れて森の奥に進む。
しばらく進むと二匹のスライムを見つける。
『スライムか!最初に戦う魔物はスライムって決まっているのか?』
心の中で溜息をついて火魔法を放つ。
今回はきちんと魔力を調節した魔法だ。
二つの火の玉が当たるとスライムは小さな魔石を残して消えた。
魔石を拾って袋にしまっていると、
「一匹ずつでしょ!あたしも聖域から出て最初の戦闘だったのに!」
ホチネが怒って駆け寄ってきた。
「ごめん。次はホチネに任せるから」
俺は素直に謝り先へ進む。
『魔物と戦うの意外と平気かも』
更に進むとまたスライムが一匹見つかる。
ホチネは走り出して持っていた槍を突き刺すと一撃で倒す。
どや顔でスライムの魔石を袋にしまうと気分良く森の奥に歩き始めた。
次に出会ったのはイノシシの魔物だった。
「気をつけて!ボアは肉と皮が依頼品だから火魔法は止めてよ!」
二人は突進して来たボアを横に躱すとホチネが首に槍を突き立てて倒す。
「まだまだ余裕ね!」
ホチネが袋からナイフを出すとボアを解体し始める。
「やってみる?」
「解体は習ってないから任せるよ」
『意外とグロいな』
イノシシの解体は俺にはハードルが高かった。
おそるおそるボアが解体されていくのを見ているとホチネが内臓と肉と皮に切り分け魔石を取って大きな袋に分けだした。
「はいこれ持って!」
ホチネはボアの皮の入った袋を俺に渡して来た。
「女の子に荷物全部持たせる気じゃないでしょうね?」
「はいはい」
それを俺はチート袋にしまう。
「前から思ってたけど……その袋に入れたら重さとかどうなるの?」
大きな袋を俺が持つ小さな袋に入れたのでホチネは不思議そうに聞いてきた。
「重さなんて無くなるよ?」
「それなら……これも入れといてよ!」
ホチネは背負っていた肉や内臓の入った袋を渡して歩き始める。
俺は黙って袋をしまうと後を追った。
その後は二匹のボアと八匹のスライムを倒して町に戻って来た。
魔物の血にも少し慣れてた。
町の北門では今日の収穫を申告して中に入る。
生きたままの危険な魔物を町に入れない為だ。
俺達は今日倒した魔物の素材を売りに冒険者ギルドの隣にある換金所に入る。
広い倉庫のような建物だ。
先に帰っていた冒険者達がギルド職員に素材の鑑定をしてもらいギルドカードにお金とギルドポイントを入れてもらっている。
俺達の順番になり袋から今日の戦利品を出した。
「スライムの魔石が十個で銀貨五枚。
ボアが三匹、魔石が三個で銀貨一枚と銅貨五枚。
皮はきれいに処理されているので三枚で金貨六枚。
肉はこの重さだと金貨九枚で内臓は銀貨三枚かな。
ギルドカード出して?」
俺達がギルドカードを出すとそれを受け取り、
「お金はリーダーの方にまとめて入れて措くから自分達で分けてね。
ギルドポイントはスライムが十匹で10ポイント
ボアが三匹で15ポイント。
それぞれに入るから。
あぁ!そしておめでとうございます。
10ポイントを超えましたのでギルドランクEになりました!」
ギルドカードを返してもらい換金所を出る。
「意外と儲かるね。それにもうランクアップしたし!」
俺は今日のお金を半分ホチネのギルドカードに移すと、
「しばらくこの町で旅の資金を貯めるのも良いね」
俺達は宿に帰ると十日宿泊の延長をして一日を終えた。




