変わった依頼
ツラナ視点のその後の話しです。
ボク達はやっと三日月国との国境の町に辿り着いた。
ホチネとの二人旅はこれまでの四人の時と比べて苦労が多かった。
まず、フゥがいない事であの袋が使えない事。
ボクは自分の荷物の中にあるフゥの袋を思い出す。
『この袋が使えたらもう少し馬車も広く使えるようになるのに。
食料や素材も劣化の心配をしなくても良いし。
この袋ボクが預かっててもいい物なのかな?
あの黒猫の魔法神様が来るのかな?』
そんな事を思っているとフゥを思い出し淋しい気持ちになる。
『これじゃダメだ!
気持ちを切り替えないと!』
ボクはホチネの後に付いて三日月国に入った。
まずは町に着いて最初にする事は冒険者ギルドの換金所で魔物の素材等の換金とギルドポイントを貰う事。
ボク達は換金を終えて冒険者ギルドで手続きをしてこの町で数日間過ごす事にした。
もうすぐ赤月から白月に代わる時期だからだ。
「ホチネは前の時の月代わりを見忘れたのでしたよね?
今回は見れますよ。
後五日後ですから」
「そうだった!ツラナが言ってくれなかったら、また見忘れるところだったよ!
楽しみにしてたんだ。
フゥと『今度は一緒に見ようね!』なんて言ってたっけ」
ホチネの笑顔はどこか淋しげに見えた。
宿は前回泊まった所にして、さっそく依頼の情報を魔法石で探す。
「?……これは依頼なの?」
ボクが目を止めたのは依頼とは思えないモノだった。
(一緒に冒険者の町に行くパーティー募集!
詳細は定食屋グフテルにお越下さい)
『これはホチネに聞いてようかな?
前に会った竜人とオーガのパーティーだよね?』
そんなふうに思っていると、
「ツラナ!みてみて!これ!この依頼!」
興奮気味にホチネはボクの前に魔法石の画像を映し出した。
(一緒に冒険者の町に行くパーティー募集!
詳細は定食屋グフテルにお越下さい)
「ああこれ!ボクも今見つけてホチネに言おうと思っていたんですよ!
前に会った竜人とオーガの二人ですよね?」
「そうそう、ツラナも覚えてたんだ。
あたしの知り合いのメチネのパーティーだわ!」
「それじゃ今からグフテルの定食屋に行きますか?
お腹も空いて来ましたし」
「うん、行こう!」
ボク達はさっそくグフテルの定食屋に行く事にした。
「いらっしゃい!
おお?前に来たメチネの知り合いの竜人のお姉ちゃんだろ!」
「そうです。
メチネはいますか?」
「ああいるよ。
メチネ!お前の知り合いが来てるぞ!
今、来るからそこのテーブルに座って待っててね」
「ハイ、ありがとうございます。
注文もいいですか?」
「ああ、いいよ。
何にする?」
「焼き魚定食を」
「ボクも同じ物をお願いします」
「ハイよ!焼き魚定食二つね」
グフテルは厨房に行って入れ替わるようにメチネがやって来た。
「ホチネ!久しぶり。
聞いた話しだと、いろいろやらかしたらしいじゃない?」
「やらかして無いよ!
エルフが変な事言ってるだけだよ。
あたし達はパーティーもバラバラになったし大迷惑だよ!」
「ハハハ、そうだったんだ。
まあ、わたし達竜人族はエルフの言ってる事を信用して無いからね。
で?本当のところは何があったの?」
ホチネがメチネにエルフとの事を説明した。
「ふーん。そんな事があったんだ。大変だったね。
それでこれからどーするの?」
「そうだった。見たよ!あの依頼。
あれ依頼なの?」
「依頼だよ!この町、護衛の依頼は粗無いのよ。
基本的に三日月国と中立国の旅の休憩地だからね。
それにたまに依頼が出ても、わたし達みたいな竜人とオーガのパーティーは面接に行っても大体断られるのよ!
魔物狩りは地元の冒険者が優先でわたし達のような旅の冒険者は許可が無いと狩りも出来ないし、だからこうして定食屋でバイトみたいな事をしてるのよ!」
「そっちはそっちで大変ね。
それでだけど、あたし達と一緒に行かない?」
「アー、それね。
実はわたし達……別の依頼を受けて、月が代わった次の日に農業の町に護衛で行く事になったの。
ごめんね」
「そうなの?良かったじゃん。
あたし達はメチネが面白い依頼を出してるから、冷やかしついでに一緒に行けたらって思っただけだから。
気にしないで」
「ハイ、お待ち。
焼き魚定食二つね」
その時、グフテルが注文した料理を持って来た。
「ああ、わたしそろそろ仕事に戻るわ。
後で……夜にでも念話して」
メチネはそう言ってグフテルと奥に戻って行った。
「食べようか」
「そうですね」
ボク達は食事をして店を後にした。
その晩。
ホチネのところにメチネから念話が来て一緒の護衛依頼に誘われたのだった。




