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ジパンニア戦記 ー奇策士に拾われた俺は召喚ガチャを使い、駒として最強の“変態”騎士となるー  作者: 桜椛 牡丹
牧瀬幸也立志編

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初ガチャは何故か竹刀から!

 「えぇ……」


 何故竹刀なんだ。何故竹刀なんだ?

 この意味を理解することは俺には難しい。前世の知識ですら答えが出ない。


 「そ、そうだガチャ!」


 もしかしたらガチャのボックスに何か説明があるのかもしれない。

 ボックスの正面には中身の説明やら画像やらが載っているはず、それを見ればきっと……!


 「もっかい出てくれるか……? こう中空を摘めば……出た!」


 再度薄ぼんやりと現れたガチャボックス。また消えてしまわないようにハンドルを掴んだまま、ギリギリまで顔を近付けて何か書いていないかと文字を探す。

 ハンドルを掴んでいるのは六台あるボックスの内の一台。さっき回した台と同じだろう。

 それをジーッと覗き込んでみると、思った通りに文字が書いてあるようだ。

 しかも日本語! これはツイてる!


 【ノーマルガチャ】

 【低ランク帯のアイテムが封入されているボックスです】

 【一日一回、無料でノーマルガチャを回すことができます】

 【排出率・・・VR:0.05%、R:14.45%、N:85.50%】

 【一回銀貨3枚】


 「ガチャはガチャでもソシャゲのガチャやんけ……」


 しかもピックアップとか確率アップとかない完全な闇鍋形式のやつ。VR(ベリーレア)が0.05%あるだけ有情なのかもしれないけど。


 「画像系は……ない。中身の説明ないのかよ不便だなこれ……」


 ただまぁこの竹刀だけで終わるような能力じゃなくて良かった。用途不明の竹刀だろうと、一日一回貰える中のハズレアイテムだと思えばまだ納得がいく。


 「ついでに他のボックスも見てみるか。これがノーマルだって言うなら他のは更に高ランクなんだろ?」


 前世でソシャゲを遊んでいてよかった。なんで借金生活なのにソシャゲができるのかって? ソシャゲは課金さえしなければ無料で遊べるからだよ!

 むしろ買切り系のゲームの方が手を出しにくかった。何もかもお値段が高いのに実況動画を観れば内容が分かってしまうからな。俺の経済状況では二ヶ月に一本三千円以内のゲームを買うのが精一杯だった。


 閑話休題。


 【ノーマルガチャボックス】

 【レア物ガチャボックス】

 【レア物ピックアップガチャボックス】

 【能力ガチャボックス】

 【能力ピックアップガチャボックス】

 【SR以上確定ガチャボックス】


 それぞれの箱を見てみるに、ラインナップは以上のようなものだった。

 俺が回したのはノーマルガチャボックスで、それ以外の箱は無料では回せないみたいだ。

 通貨もなんか独特というか、『レア物ガチャメダル』とか『能力ガチャメダル』とか専用通貨を複数枚要求されている。

 こんな俺以外が見えなさそうなガチャボックスの専用通貨とかどうやって手に入れるんだろ、その辺に落ちてたりすんのかな?


 「癖が強くて辛い能力だ……。いやこれ本当にチート能力か?」


 ただただ使いにくい産廃じゃ……いや、きっといつか良いものが当たるはず。まだ能力を見付けて初日なのだ、長い目で見ていこう。


 「単純にこの能力が生まれたころから使えたなら、俺は九年分も無料ガチャを損している事になるんだよなぁ」


 この能力を発見するにはまず前世の記憶を思い出さなきゃいけなかったから、そうするとやはり今日がガチャ解禁日だったと解釈すべきか。いや、そう思おう。そうすれば損をした気分にはならない。


 「とりあえずこの竹刀は隠しておいて、と。何にするにも体作りが基本だからな、最初に訓練に使える物を引いたのならまだ当たりだったのかも?」


 この村に道場はないが寺子屋ならある。当然俺も通っている。そこでの勉強をサボったら親から何かしら言われるだろうし、畑の手伝いだってある。その合間を見て訓練を積むしかない。


 「ちょっと幸也、布団干すのにどんだけ時間掛かってるのよ。終わったならさっさと爺ちゃんの手伝いいきなさい!」


 「へいへーい、分かってるよー!」


 ほらこれだ。しばらくは家族の目を盗みながら毎日ガチャを回し、訓練をしていくしかないだろう。

 いずれは将軍様に仕えるような身分になる為に、今はセコセコと生きるのだ。


 「待ってろよ、俺のハーレムライフ! 絶対素敵な嫁さんを貰ってやるぜ!」


 夢はデカければデカイほどいい。妄想と現実の区別さえ付けられるなら。

 その現実をより良く生きるためにも、今は家族の機嫌を取るべく畑へと走るのであった。



 ◇



 「嘘でしょ……」


 翌日。昨日はこれといって特に何事も起きなかったので割愛したが、今朝はなんだか普段と違う。

 違うどころじゃない、全身が痛い。めちゃくちゃ痛い。


 「こ、これは……筋肉痛……?」


 布団から起き上がることすら不自由するほどの痛み。よく寝ている内に痛みで起きなかったもんだと逆に関心するほどだ。


 「いつまで寝てんの。さっさと仕事しな」


 「へ、へーい……」


 母親にドヤされて無理矢理体を起こす。

 湿布とかない? できれば全身を覆い隠せるほどのサイズ。この世界にあるわけないか。


 「くっそ~、どっちが原因だ?」


 昨日の変化点といえば初ガチャと竹刀のみ。それ以外は普段の日常と大差なかった。ならばどちらかがこの筋肉痛の原因である。

 いやまぁ十中八九竹刀だけど。アレ、軽く振るうだけでものすごく疲れたからなぁ。子供でもどうにか振るえる重さなのに。


 あっ、もしかしてそういう効果持ちのアイテムなのか!?

 トレーニング経験値5倍の振り得竹刀とか、使えば使うほど疲れる呪いの竹刀とか。

 どちらにしても一日や二日じゃ内容は分からない。せめてアイテムの説明くらい出して欲しいもんだ。


 「幸也ぁー!」


 「わーったってカーチャン! 働きます働かせていただきますよ!」


 節々が痛むどころじゃない身体に鞭打って、俺は今日も労働に励むのだった。

 あ、ちなみに無料ガチャは竹刀がダブった。クソがよ。

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