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Lost fragment ーロスト・フラグメントー  作者: Konori
第2章 黒翼島跡地編
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疑念(4)

暗闇に浮かぶ白い回廊で、宵闇(よいやみ)は先を歩く自分を追いかけていた。


「おい待てよ!止まれって!!」


(また、変な夢だ)


 走って追いかけるが、目の前の自分は、まるで蜃気楼(しんきろう)の様に近づけば遠ざかる。


(何なんだ一体)


 これが夢だと言う自覚はある。が、前にあの『俺』と会ったのは多分現実だ。

 例え夢の中であれ、目の前に現れたのだ、聞きたい事は山ほどある。


 不意に前を行く宵闇(よいやみ)の足が止まる。

 走って追い付くと、目の前に巨大な石盤が建っていた。

 真っ白の、真ん中に縦一筋の境目がある、門のような建造物。

 だが、表面に太い血管のようなものがいくつも浮いており、どこか禍々しい。


『まだ、開いていないな』


 ソレに片手をあてながら、自分と同じ姿が同じ声で呟く。


「なぁ、このデケェ門みたいなのは何だよ?

大体お前何なんだ?

何で俺と同じ顔してんだよ?

遺物の事とか知ってんなら教えろよ!」


 苛立ちを隠さずに問いを重ねる宵闇(よいやみ)に、初めて相手が反応を示した。


『俺は、力に残されたただの意思。

これの先がが何に繋がっているかは俺にもわからない』

「はぁ?」

『だがこの門は決して開いてはならない。それは覚えている』

「何で閉じてるのかはお前も知らねーのか?」

『言っただろ?俺は意識の残存。思い出すべきなのはお前自身。』


 指が顔に突き付けられる。


『迷うな。強く強く願えばあるいは…………』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「はい、お礼。

いつも助かるよ宵闇君(よいやみくん)。いっそのことウチの専属にならないかい?」

「買いかぶりすぎですって。俺程度ならいくらでもいますよ」


フェルガリアから少し南東の中規模都市・トゥニス。

満面の笑顔で背中を叩いてくる依頼人の男に、宵闇(よいやみ)曖昧(あいまい)に返す。


「買いかぶり過ぎなもんか。おかげでこっちは安心して仕事ができる」

「ありがとうございます。

でも、獣の巣を見せ物にすんのは危ないから少なくしてくださいよ?」


 苦笑しながらつくづく、得意先からの簡単な仕事でよかったと思う。


 トゥニスの街は移動塔が無いものの、フェルガリアから近く、少し離れた所に港もあるため人の往来が盛んだ。


 そんな中出来たのが金持ちや他島民をターゲットにした観光業、中でも人気があるらしいのは珍獣見物と言う名の獣の巣巡りで、客が危険にさらされないようにするのが宵闇(よいやみ)の仕事だった。

 ぶっちゃけて言ってしまうと宵闇(よいやみ)の場合、客の通る場所の周りに黒線を張っておくだけで事足りる。


(盗賊団とか暗殺者相手だとヘマしてたかもな)


 別に仕事に手を抜いた訳ではないが、気持ちは浮ついていた自覚がある。


 遺物の事とか

 昨日の夢とか……

 原因の心当たりなど、有りすぎてあまり考えたくもないが。


「どうかしたかい?」


 依頼主の不思議そうな視線に、宵闇(よいやみ)は「いえ」と首を振った。


「最近少し忙しくて。一仕事終えたら気が抜けちまっただけです」

「そうかい?無理はしないでくれよ?」

「ありがとうございます」


 雑踏に消えていく依頼人達にひらひら手を振って見送り、足を街の門へと向けた。


「明日はあっちの方だな……何もなけりゃいいけど」



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