フェリオン(1)
話はフェルガリアに戻る。
東塔につながる通路。
風が流れる外に面した場所で、その青年は空を見ていた。
ふと気付いたように通路の内へと視線を向ける。
「やあリーク、久しぶり。
そっちの黒翼っぽい人が宵闇かな?」
……ドクン
短い茶髪、深緑の瞳。
第二翼島の衛師の制服らしい、深い緑色で、肩や胸ポケットに濃茶色の皮装飾がある、かっちりした上下を着込んでいる。
顔の印象的にはアスベルの言った「好青年」と言う表現がしっくり来る。
街中ですれ違っても気付かないだろう、何処にでもいそうな感じだ。
だが何故か彼を見た瞬間、宵闇は視界が揺らぎ、心臓が大きく鳴った。
「どうした?何を立ち止まっている」
先に茶髪の青年へと近づいていたリークが振り返る。
「いや、何でもねぇ。ちょっと立ちくらみがしただけだ」
すぐに返事をして足を進める。
「大丈夫かい?」
「心配なく。
あんたがフェリオン、だよな。こんな所で何してたんだ?」
「堅苦しいのが嫌いでね。風に当たってたのさ。
あと、何処かの誰かがウチの山に大穴空けてくれたものだから、それの事後処理で第二翼島と通信を」
ギクリと宵闇とリークの顔が強ばる。
「冗談だよ」
面白そうに青年が笑った。
「いや、確かにあそこまで山にハゲ作ったら、なぁ」
「本当にすまなかった」
申し訳なさそうな二人に、フェリオンは手を振る。
「いや、君たちがあれをやったのは仕方がない。
悪いのは、遺物に手を出したウェルズ卿だ。
翼島、特にセイン家を嫌ってた爺さんでな。あれでも国の先を決定する円卓の一人だったんだから世も末だよ」
やれやれと首を振り、持っていた投影水晶を回す。
暗闇に浮かび上がったのは近海の地図。小さな島の所に赤い点がついていた。
「これは?」
「あの時使われた遺物の、本体ないし欠片があるかもしれない場所だよ。爺さんの私物から見つかった」
「げ……ってことはーー」
嫌そうに顔をしかめる宵闇に、フェリオンがうなづいた。
「ウチの管理してる領域だから近々向かうつもりなんだけど、君たちにも出来れば来てほしい」




