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Lost fragment ーロスト・フラグメントー  作者: Konori
第2章 黒翼島跡地編
39/40

会合(2)

 数時間後


 フェルガリアから南西にある小さな街。

狭い路地を紺髪の青年は歩いていた。


 黒っぽいインナーに砂色の上着。胸の前に左手で少し大きめの紙袋を抱え、右手は腰のベルトに挿された短刀の柄にあてられている。


(心気臭ぇ町だなぁ)

 そんな事を思いながら歩を進める。


 街と言うより村と言った方がいいかもしれない。

ラグがここに着いたのはついさっきで、外にいる人影ももう見当たらなかった。


「さぁて、と」


 窓から光を漏らす一軒の宿屋に足を運ぶ。


「いらっしゃい。一晩かい?銀十になるけど」


 笑顔で迎えた女将らしき中年の女性に、ラグはへらりと顔を緩めた。


 通常片田舎の宿屋で一泊なら相場は一桁違うが、高いなどとはごねない。


「ああ、一晩泊めてくれ。食い物買ってたら日が暮れちまってさぁ」

「この辺りは夜出るのは危ないからね」

「獣に食われちまうからな」

「夕食、部屋まで持って行こうか?」

「いや、疲れてて寝たいんだ。だから飯はいいよ」


 一言ニ言おかみと会話しながら、差し出された宿泊簿にペンを走らせる


“リック=バートン”


 紙面に残されたのはラグが使っているもう一つの名だった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー


「もっほひんきくへぇ(もっと心気臭ぇ)ごくん、もんかと思ってたけど、そうでもねぇんだな」


 城の一室の端で食べ物を乗せた皿を手に、宵闇は珍しそうに周りを見渡した。


 テーブルクロスの掛かった長テーブルが並ぶ室内で、立食パーティーのような感じになっている。


 来たのは幻将だけではないようで、その場にいる人数も宵闇達や給仕を含めて二十人弱いた。


「食べながら喋るな。あと周りをキョロキョロ見るんじゃない。

公で行う重々しい会議じゃないんだ。当然だろう」


 横で不快そうに眉をよせながら言う白銀髪の青年に、宵闇は首を振る。


「お前にとって常識でも、俺はこんな場所に来た事なんか無ぇんだよ。


あー、落ち着かねぇ」


 言いながら空いている方の手で自分の服をつまんだ。


 ニ時間程前に、「これに着替えておくように」と給仕を介してアスベルに押し付けられたのは、白と青を基調に金の刺繍が所々に入った高そうな礼服。


 因みに髪も城の使用人たちに捕まって、強制的に整えられてしまっている。


「こういう場所ではそれなりの格好をするものだ。凄く意外だが似合ってるぞ?」


 式典用にあつらえてあるのだろう、所々ローブの要素を足したような軽装鎧を身につけているリークが、軽く茶化す。


「嬉しくねぇ」


 重く呟いた宵闇の背中にケラケラと笑い声がかけられた。


「君には窮屈かもしれないねぇ、その格好☆」

「道化か」


 リークが宵闇の後ろから歩いて来た、金髪の少年へと目を向ける。

 フィレットは、流石に先日見た赤い道化服ではなく、薄黄色のローブと、同色の紅玉飾りのついた鍔のない帽子を身に付けていた。


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