強襲(5)
宵闇のこめかみに思わず青筋が浮かぶ。
「この腐れ道化、よくもノコノコとっ」
「あはは、無事みたいでよかったよ。宵闇☆」
言いつつ首めがけて飛んで来た針を避ける。
「そっちの人もやっぱり来てたんだね。
いきなり殺そうとするのはどうかと思うよ?」
「自分の胸に手ぇ当てて考えたら、狙われる理由は出て来るはずだぜ?
その節はどーも」
「文句ならアスベルさんに言ってほしいよ。僕、ちょっと手を貸しただけなんだし」
ふざけた様子で肩をすくめる。ラグがこれ見よがしに舌打ちした。
消えかけた白光の方を向きつつ、リークが口を開く。
「道化」
「何?」
「一応確認しておく。
奴らは貴様らの手の者ではないな?」
「僕はこんなのを創るほど暇でも趣味悪くもないよ。
アスベルさんも違うと思うなぁ」
フィレットの纏う空気がはっきり分かるほど強い殺気と変した事に、宵闇は微かに息を飲む。
「彼らがああなった原因は、きっと僕の国から盗まれた欠片だ。
盗られた僕の力不足にも責任はあるし彼らには罪はないけど、こんな事に使われたのを見ると凄く腹が立つよ」
「ちゃんとした味方ってことか」
「今回に関しては、そーゆーコト☆
盗った馬鹿はアスベルさんが何とかしてくれてるはず。こっちもさっさと片付けちゃおう!!
『エアルスブレイド!』」
迫りつつあった数十体が風の刃に刻まれて宙に舞った。
「凄まじいな。これなら何とかなるかもしれねぇ!」
宵闇が喜面を浮かべるが、ラグとリークは険しい顔をしたままだった。
「ようやく五分五分になったかどうかだな・・」
「ああ。」
「何でだ?」
「あそこ、見てみ」
立ち上がりながらラグが差した場所を見て、宵闇は絶句する。
赤の1体が震えたと思ったら、3体に分裂したのだ。殆ど間を置かずにさらに3体が9体に増える。
「げ・・・」
「はは、数が減らねー疑問解決ってな」
「笑って言うことかよ。シャレになんねぇぞ」
「ちょい絶望的で逆に笑えて来たのさ。
ま、せっせと数減らすしか無ぇけどな」
「ねぇ、リーク」
「何だ。喋る口があるなら術を使え」
破砕の力と剣技で相手を地に沈めて行く青年に、周囲に氷の刃を従えた少年が問う。
「宵闇の力って、この遺跡にあったものと同じだと思うんだけどさ。
なら、こいつらをまとめて消す方法思いつかない?」
リークの動きが僅かに止まる。
「分の悪すぎる賭けだ」
「・・・・どっちでも分が悪い気がするけどねぇ・・。
ま、いいや。決めるのは君達だし」
少年に背を向けたままのリークには、苦々しい表情が浮かんでいた。




