強襲(4)
「・・・・!」
考えるより先に体が動いていた。大量の黒線を纏って一直線に走る。
牙と刃物でつけられた傷を負いながらも、何とか短刀で応戦している青年の傍に着くと左手を一閃。
周囲にいた八体を纏めて輪切りにした。
「てめーら・・」
月の瞳に明確な怒りが宿り、足元に黒い揺らぎを生む。
「近寄んじゃねえよ!」
輪切りにされた仲間の外側から殺到する赤が、少し進んだ所で黒い半透明の壁に自ら体を叩きつけて破裂した。
膝をついたラグが目を見開いて宵闇を見る。
「お前、それ・・・」
「?ああ、えーっと」
宵闇自身、今自分たちの周りに創られている壁を不思議そうに見る。
「あいつらに『来んな』って思ったら何か出た」
よく分からないと言った風に答えると同時、壁のすぐ外に怖気を誘うサークルが現れ、近くをとり囲んでいた異形をズタズタにした。
「危ねっ!」
剣を向けて佇む白い姿が視界に入る。
「無事か?」
「お前の使った剣の力とやらが当たりそうだった」
近づきながら毒づく宵闇に、「当たっていないのだからいいだろう」と、悪びれもせずリークが返して、2人を後ろに下がらせる。
『玲瓏たる光よ、護りの利をここに』
地面に刃で描かれていた円から白い光が立ち上がる。
「ごく弱い守護結界だ。長くは保たん。
今の内に青毛は足の傷を何とかしろ」
それから・・と背後に建つ建物の方を横目で睨み付ける。
「これ以上様子見を続けるならば、打ち落とすぞ道化!」
「!!」
驚いて振り向いた場所で微かに笑い声が漏れた。
『フリージング・ウェイブ!』
「おわっ!?」
聞き覚えのある幼い声と同時に空にオーロラが現れ、波が白光の奥で群がる赤に落ちて凍らせる。
「リーク聡すぎ~。
もう少し楽してたかったのにさぁ」
遺跡の影から現れたのはやはり宵闇を置いて逃げたはずのフィレットだった。




