強襲(3)
木々の間にびっしりと犇めく、
影・影・影・影・影。
軽く見ても100を越している。
「気持ちわり・・・」
「数に物を言わせるつもりらしいな」
異形はたどたどしい足取りでゆっくりと近づいてくる。
「奴ら遅ぇし、翔んだら逃げれそうだな。宵闇担いで麓まで行くか?」
ラグが背中から薄い光の翼を出して宙に浮かび上がる。
リークが首を振った。
「奴らが追って来て街に入れば大混乱になるし、更に最悪を考えるなら既に麓まで奴らがゾロゾロいる可能性もある」
「なら、ここで全滅させるしか無ぇってか
・・面倒臭ぇな!」
黒の外套がはためき、周囲の異形に線がからみつく。
「お前らの元が人だろうが、殺されてやるわけにもいかないんだ。悪ぃな」
輪切りになった赤が地面に落ちる前に、線の範囲より外にいた1ダースほどが割れる音と同時に体積を半分にして倒れ伏した。
『ヴォルト!』
少し離れた場所に電光。近場の針が刺さった何体かに落雷し炭と化す。
さらに上空から針と雷を降らせていくラグを宵闇が見上げた。
「翔べるってのはいいな。
今だけはその似合わねぇ羽が羨ましい」
「似合わねぇって言うなよ。
この状態、結構疲れるんだぜ?」
「貴様等、こんな状況で無駄口を叩くな!!」
「いや、だって延々こいつら倒してると気が滅入るって言うか・・・」
「全然数減らねぇもんなぁ・・・」
腕を振るいながら怒鳴るリークに、宵闇とラグは口々に返す。
愚痴を飛ばしながらも既に何十体と片付けているはずたが、相手は一向に減る気配がなかった
そのまま牙や刃物を避けつつ無心に腕を振るう時間が続く。
「本気できつくなってきた。
なあリーク、お前も白翼だろ?
空からその物騒な技をばら蒔いたら時間短縮にならねぇか?」
「お前が巻き込まれて死んでも良いなら考えるが?」
「良い訳ねぇだろ。あんなの食らうのは二度とごめん・・」
「ぐっ!」
「!!ラグ!?」
言葉を遮ったのは低い呻き声。
出所を慌てて見ると、疲労で高度を落としたラグの足に、飛び付いた異形の一体が噛みついていた。
そのまま、肉食魚に捕まった陸上生物の様に赤黒い影に引きずり込まれる。




