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元独裁者が異世界で生きる話  作者: みみみみやっち
1章 新たな世界での日常

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24話 炎華対影葉 二人の決着……?

炎牙と鉄真が脱落する数十秒前にアヘナは脱落していた。

二人が聞いた戦闘音はアヘナの放った魔法の音だった。

結果として炎牙と鉄真は最下位は免れたが

モノより下は確定した。




炎華視点




アヘナ、炎牙、鉄真が脱落する少し前。

炎華と影葉は出会っていた。


「あ、影葉」


「あ、炎華」


お互い索敵の範囲が同じくらいなので

森の中で姿が見えずとも同時に気づいた。

先に動いたのは影葉だった。


「消えられましたね」


影葉の魔力が索敵から消えた。

ここまできれいに魔力を隠されると

索敵で見つけることは不可能とまでは言わないが

かなりきつい。

対処法は索敵に頼らない純粋な五感、

そして経験に頼り確率を上げたギャンブル。


私は武器である木の棍棒で

横から飛んできた石を弾く。

だが、同時に飛んできていた二つ目の石が

頭に直撃した。


「痛っったぃ!二つ目……」


当たった部分を手で押さえしゃがみ込む。

投擲物に纏った魔力まできれいに隠して投げられた。

足音を完璧に消してたが影葉の足の速さから予測して

攻撃の軌道は完璧に読み切った。

二つ目が来るのは読み切れなかったが。


「この戦いにそこまでやる気はなかったんですけど……

とりあえず一発仕返しを……」


そして私は魔法で熱を一気に放出した。


「熱っつ!」


背後から気づかれないように間合いを

詰めていた影葉がその熱気に思わず声を出した。

その声に反応して振り向きながら棍棒を振る。


影葉は左手の木の短剣を刺して対処しようとするが

そのまま押し切られポーンと飛んでいく。

実際の音はポーンみたいなかわいい音ではなく

だいぶ重めの音がしてるので影葉は木に突き刺さるように

ぶつかりようやく止まった。


「とても親友にすることとは思えない……」


影葉は地面にへたり込んだまま

そんなことを抜かした。


「なら親友に石投げないでくれますか」


「えいっ」


影葉は私のツッコミを無視して

唐突に土を投げつける。

私はもろに土攻撃を受けさっきの熱攻撃もあり

汗と土で思いっきり汚れる。


「影葉……あなた一応私の忍でしたよね……

私は姫だったんですけど。

なに平気で土を投げつけてるんですか……」


「炎華……」


私の言葉に対し影葉は深刻そうに呟き。


「親友って対等だから」


笑顔でそう言い放った。

それを見て私は久しぶりに、目の前の親友に

対して軽く殺意を抱いた。


熱で周囲の木が溶け始める。

影葉は残っている右手の短剣に

しっかり魔力を纏い武器が溶けないように対策を固めた。


「足りませんね……」


「へ?なにが?」


「罰が」


モノより下のやつが馬鹿にされるだけなど割に合わない。

全力で後悔させる。


「罰?なんかいい罰でもあるの?」


「影葉は人の恋路を見るのが好きですよね」


「それが?」


「モノさんたちも少し迷惑してるでしょうし……」


「見るのをやめろっていうのは無理だよ。

それは関わるなって言ってるのと同じだから」


私の言葉に対し先回りで言い返してくる影葉。

それに対し私は笑顔で。


「そんなひどいこと言いませんよ。

ただ影葉にもみんなと同じ土俵に来てもらうだけです」


「同じ土俵……?」


「具体的には負けた方は好きな人に

告白してきてもらいましょうか」


「ひゅっ」


影葉から変な声が出た。

動揺で影葉が一歩下がる。


「いっいや!いないからできないって!

その罰はなし!相手がいないもん!」


「あ、影葉の相手は鉄真でいいですよ。

鉄真なら説明もしやすいですし」


「へぼひゅっ」


また影葉から変な声が、声というかもはや音が出た。

赤くなりながら下がっていく影葉に

私は笑顔で一歩ずつ詰め寄る。


「いっいや相手にも失礼だし!

そんな人の心をもてあそぶようなことはだめじゃない?!」


「大丈夫です。ちゃんと皆さんにも説明するので。

私たちはただ言うだけですよ」


「そうだ!ほんとに受けられたらどうすんの!

告白にはいって返事されたらさ!」


「良かったじゃないですか。

カップル成立ですよ」


影葉が下がりすぎて木にぶつかり止まった。

影葉は既に魔力も上手く纏えておらず

武器は半分ほど溶けていた。


「えっと……えっと……そう!

炎華は誰にするの!負けた方ってことは炎華も決めないと!」


「それは終わってから決めますね」


「ちょ!ズル……!」


その時、アヘナの魔法がモノに炸裂して

戦闘音が森に響くが影葉にはもはや聞こえていなかった。

影葉の脳はこの状況をどう切り抜けるかに全力を捧げている。

影葉の脳が出した最適解は……


「ほんっとにごめんなさい!

謝るんでそれだけはやめてください!

私が悪かったです!

調子に乗りすぎました!」


土下座であった。

直後、振り下ろされた棍棒を影葉は転がって回避する。


「ほんとにごめんなさい!

なんでもするんで許してください!」


「なら気持ちのこもった愛の告白を見せてください」


「ひゅえっ」


そんな音を漏らした影葉は立ち上がり全力で逃走した。

影葉の最終手段であるなんでもないことを

告白する、という手もあの様子じゃ通用しない。

逃げ場がないことを理解した影葉はそれでも逃げ出す。


(バトロワなら逃げてるだけで他の人が炎華を

倒すことがあり得る!

武器も溶けた今勝ち筋はそれだけ!

モノ……バトロワにしてくれてほんとにありがとう。

馬鹿にしてほんとごめ……)


影葉は現実逃避気味に思考していたが

それは唐突に途切れる。

普通に隣を炎華が並走していたからだ。


影葉はかなり動揺した状態なので

魔力操作がほとんどできていない。

そのため炎華から逃げ切れるはずもなく。


「謝るからほんとに許して!」


「親友の恋路を応援してるだけです。

許しての意味が分かりません」


「んぎゃー!」


そんな悲鳴を最後に影葉の意識は途切れた。

影葉は魔力をほとんど纏えてないため

炎華はちゃんと威力を抑えて意識を奪っている。


「さて。楽しみが増えたので

さっさと終わらせましょうか」


四番目に脱落したのは影葉だった。

モノより下が確定した影葉だが

もうそんなことは頭になかったのだった。

次回の投稿は10月28日です。

更新できなかったらごめんなさい。

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