四馬鹿
―――その後、城にて
「………」
「わぁ、可愛いね!名前は何ていうの?」
「し、シードです」
「シード君!も~ずるいよパル!すっごく可愛いじゃん!」
……どういう状況?えっ、このお姉さん美人だし最高なんだけど。え?天国ですかな?そうだよね、そうに違いない。
俺は別に中庭を軽く観察してただけ。そしたら三人が来て、その内の一人が容赦なく抱きしめてきている。…………理解不能。
「え、えっと…お姉さんは誰?」
「私はね、リームングって言うの!」
「確か…極淵シリーズの?」
「そうそう!物知りだね、凄い!」
マジかぁ。えっ、マジかぁ…。極淵シリーズと言えば好戦的の極みで大抵がコミュニケーションすら取る事が不可能なヤバい奴らじゃん。…でもいっか、この人優しそうだし…お姉さんだし。
「リーム、ぶっ飛ばすね」
「え~?駄目だよぉ。あのお姉さん怖いよね、でも大丈夫、私が居るから」
「う、うん」
「私怖くないよ!?ほらシード、おいで?数日ぶりでしょ?」
「…ん!」
「ムムムッ…!」
「シード、僕との鬼ごっこは終わりかな?」
「あっ」
声がする方を見ると、ルナテクスが無数の魔法陣を展開してこっちを見ている。そう、実は現在の時刻、彼女との修行時間なのだ。ただ死にそうになったから逃げていた。
「ん~お姉さんも無理!」
「ありゃヤバい」
「終わったな」
「じぇ、ジェネシス…助けて…」
「…しょーがないなぁ。代わりに今度の宿題増やすからね!」
ジェネシスはそう言いながら俺の前に立ち、飛んでくる無数の魔法を、全く同じ魔法を、全く同じ威力で放って相殺。
「凄いな…」
「…全く、どうして君達が居るのかなぁ。ってか久しぶりじゃん、リーム。起きたんだ」
「そうだよ!久しぶり!」
「なぁパル、ルナテクスって厄災シリーズ?」
「え?違うよぉ」
「極淵?」
「ノー!」
「何者…?」
「「変な魔術師」」
「僕も怒る事ってあるんだよ?」
「「すいやせん」」
「……まぁ良いや。ほらシード、戻るよ」
「は~い」
引き摺られながら四人に手を振り、途中で転移が発動して図書館へ。
「君ってお姉さん好きなの?」
「へ?!」
「いや、絶対そうでしょ」
「…否定はしない。ただお姉さんってより、時に厳しく、時に優しく甘やかしてくれるような人が好き」
「あ~なるほどね」
「ルナテクスは常に厳しいよねぇ」
「僕は…僕自身に厳しく生きてきたから、優しくする方法があんまり分からないんだよ。人からの愛を受けたのは8歳まで、それ以降僕は…あっ、辞めよう。ほら授業するよ」
「え?…わ、分かった」
疑問が残るけど、まぁ…仕方ない。何かありそうだし聞かないでおこう。
―――それからお昼まで色々と教えてもらい、その後はルナテクスと共に別室で待機してるらしい四人に会いに。
「パル!」
「シード!」
取り敢えず部屋に入ってパルに飛びつき、少しの間キャッキャしてから彼女の膝上に座って停止。パルの両腕ががっちり俺をホールドしてるので動けないし逃げれない。
「んで、彼に会いに来ただけ?」
「いんや、リームを此処に住まわせてあげて欲しいの」
「え?あぁ、別に良いけど」
「「え?」」
「え?断ると思ったの?僕、親友にそんな厳しく接した記憶無いんだけど」
「そう言えば確かに」
「何気に優しいよね」
「初対面で魔法ぶっ放されたせいで…」
「リームは一体アルマとどんな出会いしてるん…」
「海から浜辺に出たら釣りをしてるアルマと出会って、速攻で魔法をぶっ放された」
「師匠、それは怖いって」
「いやぁ、癖で…。ほら、パルに出会ったら先手必勝で魔法をぶちかますじゃん?だからさ、ついつい」
「私に対する殺意どうなってるの?えっ…どうなってるの?」
「魔法殺しは宿敵だからね」
「怖いて」
「むぅ…」
「でも今日何もしてこなかったね!」
「そりゃ弟子巻き込むのはあれでしょ」
「「人の心があるなんて…」」
「あ?」
「「………」」
「まぁ師匠は鬼畜だよね」
「そうそう、私の方が良いよね!」
「今度から私も教えてあげよっか~?海の魔物系統で私の右に出る人は居ないよ!あとあれも行ける、槍の使い方!優しいお姉さんが教えてあげる!」
「リームは槍の扱い美味いよね!槍ってか三叉戟だけど。まぁルナテクスより優しく教えてくれるよ多分!」
「四人共、外に行こっか。大丈夫、半殺しで終える」
「…シード、パル、ジェネシスの三人ですら私の手に余るのに、何故もう一人馬鹿が増えたんだ…」
「「馬鹿じゃないけど!?」」
――――その後、ぼっこぼこにされて水堀に浮かぶ羽目になった。他三名もしっかりぼこぼこにされて浮かんでる。
「いやぁ、酷い目に会った…」
「相変わらずや…」
「ピエン」
「超ピエン」
「僕を何だと思ってるのさ、全くもう」
「飽きれる生命力だなお前達」
「…ってかこの水綺麗だね、私好きかも!」
「僕の魔力を込めてあるからね。世界で一番綺麗な水だよ」
「昨日とかに何かしてると思ったら魔力込めてたんだ!」
「そだよ。この量は流石に疲れたけど、まぁ問題無し。ほら上がって」
「「は~い」」




