取り敢えず放置?
―――色々あったが取り敢えず屋敷に戻り、彼女を何時もの部屋に案内して座らせ、俺はワールスとエトワールを連れて別室へ。
「……どうすれば良いの?」
「何故聖女…」
「シードの考える事は難しい」
「あんまりにも煩いから連れてきただけだ…。えっ、お前等に任せていい?知っての通り毎日忙しいから」
「私だって訓練忙しいもん!」
「私も」
…殆どルナテクスとパルとジェネシスだけど、流石に毎日邪魔するのもあれだから偶に二人の相手してるんだった。流石に弟子放置もあれだしね。
その時にどんな感じで普段やってるかを聞いたらかなりハードスケジュールを組んでるのを教えてもらったんだった。
「……ラストは絶対無理、ボロスは忙しい、アザとバハは基本居ない。…さぁどうする」
「放置」
「賛成」
「んじゃ放置で行こう」
俺だけ部屋に戻り、取り敢えず彼女の前に座る。それから茶を啜って一息付き、部屋をゆっくり見渡してからもう一度彼女を見た。
「単刀直入に言おう。俺等は忙しいからお前は放置だ。勝手に過ごせ。死んでも俺には関係ない」
「!?」
「当たり前だろ。…勝手に来ておいて守るとかそんな都合がいい事あってたまるか」
「………」
「精々死なない様に努力するんだな。国の領土内なら適当に行ってもいい。屋敷も城も回りたきゃ好きに回れ。どんな対応をされるかは知らんがな」
それだけ言ってその日は別室で復習を行う事に。すると彼女は静かに部屋の中に入り、隣に座ってずっとそれを見てきた。
邪魔をしてくる気配は無いのでスルーしながら宿題を熟し、その後は皆と夕飯を食べる。その間も彼女は隣に座り、周りを見ながら普通に食べてた。
温泉は俺が入る時に一緒に入ってきたので、流石にタオルを腰に巻いてまったり。彼女もタオルを巻いては居たが、まな板だし要らないと個人的に思う。
―――翌朝
静かに起きて顔を洗い、着替えてから杖を手に取って図書館へ移動を開始。すると彼女は寝ぼけながらも俺の後を寝間着のまま付いて来た。
うぜぇと思いながらも無視してさっさと王城の中に入ると、衛兵は彼女が俺の小間使いだとでも思ったのか普通に許可して通しやがった。しかもそれを他の兵にも伝えてる。
後で減俸にしたろかと思いつつ、給料払うって言ったのは俺だったと若干の後悔をしながら図書館へ入り鍵を閉めた。
「僕は面倒事が嫌いなんだ」
「可愛い弟子が困ってるのを見て開幕一言目がそれかよ」
「事実を言ったまでだよ?僕は死ぬほど面倒事が嫌いなの」
「俺だって嫌いだぞ?」
「君は面倒事を持ってくるのが得意だよね?ってか生み出す元凶」
「泣くぞ」
「…泣いたら海に投げる」
「怖っ」
「まぁ良いや、さっさと移動するよ」
「は~い」
―――午前は無事に酷い目にあわされて終了し、一旦城に戻ってワールスとエトワールと雑談。それからタルタロスへ移動。
「うはぁ、放置プレイ!」
「ハードだねぇ。シードにやられて喜ぶのパルしか居ないよ」
「俺には関係ないもん!って喜ぶの!?」
「ん~ちょっとゴメンね、今ジェネシスを黙らせてるから」
パルがジェネシスの口を押え、ジェネシスがパルの頬を引っ張ってる。…物凄く可愛い喧嘩。なので何となく、本当に他意は無く二人のお腹を突いた。
二人はパワーこそ凄いけどそれに見合ってる筋肉があるわけじゃ無く、誰もが憧れるようなスッとした体躯。そしてお腹は…ちょっとだけプニッとしてる。
筋肉がある人だと硬いけど、やっぱ二人は筋肉系じゃなくて魔力で肉体を強化したりしてる系統だ。まぁ素で十二分に強いけど。何処からその力が出てるでしょうかね。
「「………」」
「………」
そう言えば俺もじゃね?別にこれと言って筋肉があるわけでもないけど、それなりに素の状態でも力がある。…う~ん、魔人って難しいね!
「………えっと…ごめん」
「超許す」
「めっちゃ許す」
「良かったぁ」
「ってか実際どうなの?あの聖女」
「面倒そうだよねぇ」
「放置してるから分からないけど、聖女だからって事で自由が無かったみたいだね」
「「大変だねぇ…」」
「それな~。でもそれが俺に関係あるのかって言えば無い。だから放置。まぁその方が良いと思うんだよね。人に縛られての生活と、人に見放されての生活。二つを味わえば色々と思う事もあるでしょ」
「超複雑な心境だろうなぁ」
「パルのシードを虐めたい欲とシードに虐められたい欲的な?」
「うんうん!…は!?」
「パル…」
「こ、これはあれだよ?その…ね!?」
「俺は…どっちも行けるよ!でも出来ればお姉ちゃん!とか言って甘えたいけど!」
「甘えて!」
「ズルい~」
「勿論二人に!」
「あ~もう本当に可愛い」
「私のだから」
――――その後は甘えながらも授業を受け、今日は夕食前に帰宅。あっちで食べようか悩んだけど、今日はこっち。
「そういやアルス」
「はい!」
「馴染めてきたか?」
「かなり!シードのお陰です!」
「ククッ…なら良かった」
「…シー君の隣は私」
「いや、私」
「私です」
「喧嘩すな…。だがそうだな、あと一人増えたら決闘みたいなのしても良いかもな。誰が一番か、みたいな?やる気も出るだろ」
「「お~!」」
「取り敢えず戦士が欲しいけどね。明らかに耐久枠が居ない。魔法の専門も居ないし」
「「確かにぃ」」
「悩みどころですね」
「ほんそれ。まぁ地道に集めて行こ。俺的にはお前等だけでももう十分だし」
――――そんな感じの生活を続けていたある日、ルナテクスが忙しくなるという事で週に三回だけに授業がなった。
あのルナテクスが謝って来たので流石に怒るどころか腰を抜かしたが、まぁ取り敢えず…きっと色々あるんだろうな。
だが午前からタルタロスで二人の優雅な私生活を邪魔するのもあれだから、図書館で一人勉強をする事に。すると扉が開き、例の聖女が。
「……隣、いいですか」
「好きにしろ」
すると彼女は俺の腕に抱きついて来た。胸を押し当てて来てるのは分かるが、なぜそうなるのかが理解できない。
「…聖女の体ですよ。惚れましたか?」
「一つ良い事を教えてやる。俺はどっちかと言えばお姉さんタイプが好みだ。それと一定以上の強者は集う事があり、そこで宴会をするらしいが…何故そいつらは全員誰とも付き合わないと思う?」
「え…?」
「理由は恋愛に興味がない、タイプじゃない、自分じゃ愛せない、そして…元々恋愛するなら研究、若しくは鍛えたい。…強者の大半は大体この四つのどれかだ」
「…そうなんだ」
「あぁ。そしてお前はタイプじゃない、あと絶対性格が合わない。お前は美人だろうけど、体が欲しいかと言われれば微塵も思わん。性欲はあるが個人的に無理だ」
「何か傷付く…」
「それと追加で一つ教えてやる。人ってそんな簡単に恋をしない」
「それはまぁ…。でも襲わないんですか」
「人による。まぁ兵に頼んでみれば?性欲はあっても多分誰も素直に受け止めず断るしキレるだろうけどな。…あぁ、残念ながら俺はお前に興味が無いから襲う気にもならん」
「………」
「何が目的なのかは知らないし興味も無いが、魔族をあんま勘違いするなよ。性欲しかない生物と思ってるなら酷いもんだ」




