フロルの師匠
「―――ふぅ、すまんな。私は鎧で構成されてる魔物故、脱げぬのだ」
結局、魔法で鎧を綺麗にしてから屋敷を歩くことになった。
「それは良いんだけど、本当に再生するんだね…」
見事に破壊されたのに、数秒後には何事も無かったかのように元通り。だが驚くべき点は最初からずっとある。
「…どうやって喋ってるの?」
「「…………」」
「なるほどな、誰も知らないし自分でも分かって無いのね」
「うむ。前は首を持っていたのだが、何処の強者によって消し飛ばされてな。そしたら首だけ再生しなかったのだ」
「ドンマイ」
「ドンマイ」
「似ているなお前達…。師弟か?」
「うん!剣は全部レイちゃんに教えてもらってる!」
「道理で…歩き方や殺気の向け方が似ているわけだ。何より似ているのはその目。…万物を見通し、全てを穿つ魔眼…」
「「…ただの目だよ?」」
「うむ、冗談だ。しかし親子みたいだな、お前達」
「いやぁ、そう言ってくれるのは嬉しいんだけど…僕には親がいるから!…自殺しちゃった……ん?」
「ん?すまん、最後が聞こえなかったのだが…」
「私もぉ。どうしたの?」
「…い、いや何でもない!うん、何でもないよ!」
「「?」」
「気になるんだけどぉ?…ってか戦うんじゃないの?闘技場、後でボロスが使うって言ってたよ」
「そうであった!では闘技場に参ろう!」
「シードの親は自殺では無い筈だが…。お前、本当は親か?」
「あっ、疑ってるな~?でも残念、私じゃないで~す。ってかデミもテンペストもでしょうが」
「何?…そうか、そうだった」
――――闘技場へと移動して数分後、戦いの舞台が整った。
「フィールド外に出ても良い。降参と言ったら負け、それまでは永遠に続けるぞ!」
「私の流派で勝っちゃって!彼の流派、多分フロルの使う剣技よ!」
「分かった、勝つ!!!」
「ふむ、やはり…貴方の弟子は素晴らしい」
見覚えのある構え、見覚えのあるオーラ。やはりこの人は正真正銘フロルの師匠だ。
「行くよ!」
「来い、シード殿!」
一気に接近し、剣を振るう。そして奴の大剣とぶつかった瞬間、闘技場の床が一段階下に下がり、衝撃波が巻き起こった!
「素晴らしい魔力、素晴らしい力だ!しかし…甘い!!!」
「マジか…!」
力だけで押し負け、思いっきり吹っ飛ばされてしまい、思いっきり壁に衝突。しかも…もう目の前に迫っていた!
「ハハハハハッ!」
「ちぃ…!」
転移で闘技場の中央に移動するも、奴は大剣を振り切ってからそのまま手を離し、こっちに飛ばしてくる!
そう、フロル、というか…この流派は自由をモットーにしているから厄介なのだ!とにかく動きが読めない!
技自体はある程度の型がある分マシだが、通常時の動きは野性的としか言えないんだよなぁ。本能のままに、思うがままに敵を翻弄する。
逆に俺やレイちゃんの流派は敵を殺すことに特化してて、相手の動きが読めれば結構直ぐ急所を狙って殺せる。
だからこそ結構面倒なんだよな、この本能型の流派は。レイちゃん程になれば考えず剣を振るうだけで万象を斬り刻めるんだけどね…。
「ふむ、シード殿を相手にするならば技を放つのは愚策とみた」
「…いやいや、放たれたらきっと俺はやられちゃうさ」
「フッ…どうだか」
ラスハントはいつの間にか大剣を回収し、俺の目の前に立ってその剣を振り下ろしていた。
「黒―――」
「させん!」
「炎!」
「ぬぅ…!」
黒戒を警戒するのは分かっている。どうせレイちゃんに一度それで武器か何かしらを消されたのだろう。
だから敢えての黒炎。これならある程度のダメージは稼げるはずだ、あの鎧が普通の鎧ならば。
取り敢えず一気に後退し、一度様子を見る事に。
「ふぅむ…中々悪くないのぉシード!」
あぁこれやべぇ、ラスハントは多分…生粋の武闘派だ。さっきまで殿だったがそれを付けてない。多分それは…戦いに脳が完全シフトしてるから。
ヴォイドみたいなもんだろう。んまっ、あっちよりは多分マシだろうけど。
「ホーリーレイ!」
「ぬぅ?!神聖魔法も使えるとは…!」
とか言いつつ、大剣で光線を思いっきり弾き、一気に接近してきた。
「やるでは無いか!」
「くっ…」
軽く跳んで斬撃を回避し、奴の頭上へ移動し、それから獄炎を放つ!
「ハハハッ!このラスハントに弱点は無いぞ!」
やっぱ実際には対して効いてないな。しかし如何すれば良いんだ…?
「行くぞ!」
「天月!」
一発目の斬撃は奴の大剣によって容易く弾かれ、二発目の斬撃は…驚くべき事に奴の残像にだけ当たり、逆に俺の首筋に後ろから剣を当てられた。
「…見事。私の鎧の肩部分を破壊したのだ、その速さ…誇るが良い」
「強すぎだよ…」
「あれがレイの流派の対みたいなもん?」
「そ。パラもやってきたら?」
「ヤダよめんどくさい」
「あの時勇者に負けて、もう負けたくないからかなぁ?」
「………」
「ご、ゴメン、そんなに傷付くとは思って無くて…」
「フフッ…私が死んで、ショックを受けながら努力したの知ってるんだからね。……仇、取ってくれてありがと」
「…お前らしくない」
「なに話してるの~」
「ん?ちょっと昔話をね~。今度シードにも聞かせてあげる!」
「お~!」
「シード、お疲れ様!」
「ん!」
パラちゃんに頭を撫でてもらうと、何処からともなくドヤ顔のラストが姿を見せ、フィールドの上に。
「私のシードを虐めたな!」
「な、なんだ…?」
「勝負しろ!」
「…いや、私はちびっ子と―――なっ?!」
「ワハハ!私最強!仇とったどー!」
「な、何が起きたの…?」
「踏み込んだと同時に大鎌を使って四肢を切断。それから結界魔法で切断面を上手く塞ぎ、後は思いっきり蹴り飛ばしてから背後に回って蹴り上げ、上に移動して踏みつけ…今に至る」
「パラちゃん見えたの?」
「そりゃぁ仮にも龍王だからね!」
「すごーい!」
「フフッ、そうでしょ!」
「私も褒めてよ!」
「ん!ラストも凄い!」




