初代魔王軍四天王筆頭
―――――翌朝
「…なぁ、こいつ首が無いんだが」
「デュラハンですね。しかし何処かで見たことがある名前の様な…」
「懐かしいな。私の時代の四天王の一人だ。この黒い鎧に大剣、間違いなく彼奴だろう」
「うわっ、懐かしいなぁ…」
デミちゃんがホログラムで映し出されてるデュラハンを眺め、暇そうに鼻歌を歌いながらやって来たレイちゃんがそれを見て嫌そうな顔をした。
「デミウルゴス様はもっと凄く!って叫びながら私の就任時に来てさぁ、二度と復活しない様に木端微塵にしたはずなんだけど…」
「あれでもアンデッドだ。浄化しない限りは鎧の欠片でもあれば復活するだろうよ、恐らく」
「ちぇっ…。まぁ悪い奴じゃないのは私が保証するよ。ただデミを信じて仕える奴だっただけだし」
「……あ、あのちょっと聞いても?」
「な~に?」
「なんだ?」
「今の四天王制度って…どうなってるの?六王しか居ない感じだったけど」
「分からんな。消えたのかもしれん。しかし必要な制度だと思うがな。セグルスは統括として、四天王は兵との交流を主として行動すれば様々な情報も手に入ってくる」
「その通り!四天王は強いけど滅多に最前線に行かないからね。普段は兵士との交流を主として、何を望んでるのか等々を私とかに伝えるの!」
「なるほどね…。結構厳しい所の前線で戦ってるイメージがあったや」
「簡単に私が説明しよう。まず我ら魔王が居て、大体一人統括と呼ばれる者か総司令官と呼ばれる者が居る」
「ふむふむ」
「その下に四天王と呼ばれる者がいるのだが、それらは先も述べた通りだ。最前線で主に戦うのは六王だな。勿論彼等は四天王と仲が良い」
「仲良いの!?」
「勿論。四天王と言えど前線に出ないわけではない。窮地に陥れば仲間の為に直ぐ動くのが四天王と言うものだ。分かったならシード、お前も今のうちに四天王の候補でも探しておくんだな」
「………」
「…エトワールは確かに合ってると思うけど、個人的には…ずっと俺の傍に居て欲しいかな」
「え、えっと…それは…」
「あっ、ち、違うから!その…告白とかじゃなくてね!?」
「ひゅ~!」
「流石はシードだな」
「どういう意味で言ってる!?」
…でも四天王だとどうしても距離が離れそうだから嫌だ。総司令官なら良いけど、それだとワールスはどうする?って事になる。
だから二人にはこのままで居て欲しい。ただ俺の直属の兵だとなんか味気ない気もするよね。
「…親衛隊とかどうよ」
「元々そのつもりだけど」
「……ゴメン」
「フフッ…まぁ改めて宜しく、シード」
「おう!」
すると突然激しい揺れが屋敷を襲った。かと思えばさらに揺れが激しくなっていく!しかしそれは突然収まり、逆に屋敷の結界を何かの魔力が包み始めた。
恐らく…外側から一気に圧力をかけて破壊する気なのだろう。一点集中での破壊は諦めたわけだ。
「誰なんだ一体…」
「ぬぅ、やはりこの結界はテンペスト殿のだな…。しかしどうしたものか」
「「あっ」」
「む?……おぉ、其方が今代の魔王のライバルである魔王だな!我はデュラハンと呼ばれる魔物だ!名はラスハントだ!」
「こ、此奴が…。あっ、俺はシードだ。…しかしどこまで情報を得ている」
「今のあれが人形と言うことは承知だ。そして本体が何処かに居る事も」
「そうか。…フロルと知り合い?」
「あの小娘が五歳の時に剣を教えていたからな」
「道理であんなに剣の腕が凄い訳だ…」
「というかその後ろに居るのは…」
「久方ぶりだな、ラスハント」
「で、デミウルゴス様!!!復活なされたのですか?!」
「うむ。シードの下手な死霊魔法でアンデッドとして復活し、手違いでシードを殺してしまった故禁術を使って復活させ、弟子として学んでもらってな。そしたら禁術も覚え、こうして…レイも復活した。他にも居るぞ」
「れ、レイ殿…」
「もう一回切っていい?」
「おやめくだされ!!…してその子は其方の妻ですかな?」
「「!?」」
「れ、レイちゃん…此奴切っていいよ!!」
「よ~し!」
「ま、待たれよ!!と、取り敢えずこの…結界をどうにかして頂きたいのだが」
「悪い、俺が認めた奴しか入れないんだ。そしてお前と一緒に暮らすのは何というか…」
「いや、私は王城生活が好きだから此方で住む気は無い。ただ話をしたいだけだ」
「おぉ、なら入って良いぞ」
「…おぉ、本当に入れるとは…。しかし想像していたよりは勇ましいな。私の殺気を受けても動じないとは。君もだが」
「私はシードの兵士。動じるのは恥」
「…今代の魔王は強いですな」
「そうだろう?しかし…よくぞ参ったな」
「ここ数代の魔王は腐っておりまして。五代目までは優秀で頑張っていたのですが、六代目の馬鹿は貴族制度などを導入し…」
「「六代目か…!!!」」
「?」
「いや、何でもないよラスハント。…それで早速なんだけど頼んでも良いかな?」
「……うぅむ、実力を見たい。話はそれからだな。我が忠誠心は永遠故、決めた相手には生涯尽くす。それ故にしかと見極めねばならぬ!」
「うん、それは当たり前だね。なら後で手合わせしよう」
「ほぉ…良い男ですな。王と臣下の関係を分かっている」
「此奴は今の魔族の在り方を嫌っていてな。我らの時代を好く、この時代では変わり者なのだよ」
「まぁ否定はしない」
「フロル殿と同じ目ですなぁ…。彼女もまた、強き者が覇者となるべきと謳っていた」
「そりゃ俺の永遠のライバルだからな、当たり前だ」
そう言いながら部屋に入ろうと思ったのだが…何となく足音が変なので後ろを振り返った。
「……土足…」
「いや、鎧故許してほしいのだが…。というか靴を脱ぐのか…」
「今日の朝の掃除当番って………レイちゃんじゃん」
「悪即斬」
「ぬぅぅぅぅぉぉぉおお!!!!」
あっ、鎧が砕け散った。




