枢機卿vs教皇
―――その頃、市街地にて
「全て焼き払え!」
「な、なんだおま――ギャッ!」
「―――プレアデス、貴様…愚行が過ぎるぞ」
「おや、これはこれは…。神聖王国から態々おいでになられたのかな?聖教会の枢機卿殿」
メインストリートで向かい合う我々。相手は枢機卿と護衛と思わしき武装兵。こちらは私と武装兵、信徒、神父、そして…保護してる奴隷。
「…敬虐な神父、信徒たちよ、奴隷を連れて戻りなさい」
「「ハッ!」」
彼等は転移ですぐに姿を消し、武装兵は魔力を解放して私の前に出た。敵の武装兵も同じく前に。
「こちらは20、そちらは10。プレアデス、何方が不利か分かって居るだろ?その身を俺に捧げれば許してやるぞ?」
「はぁ…。そう言えばお前には見せたことが無かったね、私の力」
宙に魔法陣を展開。勿論一つではなく20程。それらから一斉に魔力光線を放って敵の前衛を消し飛ばした。
爆風が周囲の瓦礫を吹き飛ばし、ちょっとすっきりした所で兵を後ろに下げる。
「…貴様……そうか、暗殺者だな…?」
「その通り。我等は主の名の元に悪を断罪する」
服を思いっきり脱ぎ、黒い暗殺装束を見せた。それから貰った黒い装束を羽織り、奴と睨み合う。
すると相手は魔力を解放して純白の鎧で自らを包み込んだ。恐らくデバフ等々に耐性があるのだろう。
「…もう良い、死ねプレアデス」
「邪神教はかなりの巨大組織。そのトップに立つ意味を…お前は知らない」
「聖教会はお前たちより大きい!!」
「魔を嫌うお前達は小さい。我々は魔界にもあるのだから」
そう言いながら直刀を二つアイテムボックスから取り出し、両手に握った。奴は聖の魔力を纏った細剣。
「死ね!」
「無意味だ」
地面を蹴って跳び上がり、その攻撃を躱すと同時に奴の頭を踏んで更に高く跳び上がる。
「黒雷」
「聖焔!」
ぶつかり魔法と魔法。衝撃波が巻き起こって周囲をさらに更地へと変えていく。
取り敢えず地面に足を着き、水で出来た竜がこっちに迫っていたので手早く凍らせてから直刀で砕いた。
「雷刃!」
「当たれば痛くても…当たらないと意味がない。だが…武器が無ければもっと意味がない」
互いに距離を詰めあい、私はそのままその細剣を直刀で破壊して素早く後退。
「……どうする」
「殺すだけだ」
聖魔力が集まり、純白の細剣が奴の手に。恐らく魔力がある限りあれは何度でも生まれるに違いない。
となると…うん、武器破壊はもう狙っても意味は無いか。やるべきは奴の首を断つ、それだけだ。
「閃!」
何度も飛んでくる斬撃を躱しつつ、どんどん距離を詰めていく。その間に魔力を全身に循環させ、直刀にも流した。
「聖刃!」
聖属性の刃が今度は飛んでくるが、それは避けても武装兵がどうにかできるとは思えないので直刀で破壊。
斬る度に爆発するが、その瞬間に踏み込んで加速してさらに距離を詰めていった。
「散れ、プレアデス!!」
「無駄だ」
本気で踏み込んで奴の背後に。それから罅が入って砕けて行く直刀を一瞥し、後ろを向いて奴を見た。
「……ま、まだ…終わってないぞ」
奴の鎧は砕け、ただの赤いカソックが露わに。しかしその赤色には…奴の血の色も混ざっていた。胸元から徐々に溢れ出る鮮血、それを眺めて一笑。
「何をするの?」
「天使様、どうか我らにお力を!!!」
すると神々しいゲートが開き、複数体の天使が出現。
此奴等の厄介な点は普通に強い点と、魔法がかなり強力な所。近接系もかなり強い。
「―――此処は我の出番か」
「お願いしても?」
「無論。…仕事のストレス発散には丁度良い」
そう言いながら姿を見せたのは悪魔界の魔王と呼ばれるサタン様。現職の魔王であり、悪魔の頂点。
シード様のご友人であるらしく、悪魔でありながら代価を払わずとも我々に力を貸してくれることが多い。しかし下らないことを頼めば当然殺される。
まぁそんな馬鹿な事を言う奴が悪いので私としては正直殺してくれて有難いとも思っている所存。
「さ、サタン…だと?何故お前が!?」
「選べ天使共。さっさと帰るか死ぬか」
「お前が死ね!ホーリーレイ!」
聖属性の光線が天使の生み出した複数の球体から放たれるも、それらはサタン様の目の前で屈折して別方向へ。
「残念だ」
天使達の体が変に捩じれ始め、やがて絞られてる雑巾見たいになってから一気に圧縮されて肉球に。
「しかしシードの奴、遂に魔王になる為に動き始めたのか?」
「いえ、一先ず王国…というかこの王都を陥落させるだけの様です」
「そうか。…王国とばかり聞いていたがやはり王都を一旦攻め落とすのだな」
「王都を落とせば王国を倒したも同然です。何せこの国はこの地にしか兵を集めていないので」
「その通りだな。…あの男はどうする、腰を抜かして立てないようだが」
「枢機卿なのに情けない…。あれは私が始末しますのでご安心を」
「そうか。…しかしあんなに平和だった王都も今や火の海か。太陽が昇って目覚めたら火の海、笑えるな」
「フフッ…最高ですね」
「うむ。では我は一旦失礼する」
「はい、有難う御座いました」
サタン様が姿を消すと同時に短剣を投げ、枢機卿の息の根を止めた。それから再び街の破壊を続ける事に。
「…プレアデス様、何故自ら出向いたのですか?」
「もし私がいなければ信徒は枢機卿を相手することになる。…出来ますか?」
「む、無理です。…それと…彼等は魔族の領域に教会を作っていましたがなぜなのでしょうか」
「魔を嫌う聖教会ですが…フッ、金の為ならば何でもする愚者ばかりなんですよ。それに死体を見ましたか?彼等は皆…魔族です。魔族と協力してる、良い事ですが…信仰心が無いものがやっても意味は無い」
聖教会が実際何を考えているのかは分からないが、魔族と協力してやってるとなれば領域はかなり拡大している。
だが一部の上層部しか知らないのだろう。何せ今戦った枢機卿は知らなかったのだから。
「…そうだ、奴隷を見つけたら保護、そして報告をしてください。私は一度城に向かいます」
「「御意」」




