魔王を目指した男
――――エトワールが手助けする少し前
「何だ、トイレでも行きたいのか?」
「は?違うしそうだとしてももう少し包んで言え!」
「こ、こっわ…」
「何の声だ?!」
「こっちからだ!」
「はぁ…。私、ワールスが心配なので見てきます」
「えっ、俺が危ない事になるんだけど」
「知らない」
「えぇ…?」
「侵入者だ!…し、シード=レブレンスだぞ!?気を付けろ!」
「クソが!応援を呼べ!」
「…後で説教してやる」
そう言いながら王城で死んでる死体を使ってスケルトンキングを生成。骸骨王と呼んでも良いだろう。
「これが死霊魔法か!?」
「我が王よ、如何なさいますか………えっ、喋れる…」
「驚くな、その顔が怖いわ。…良いか、俺が生み出す存在は意思を持てる。それが表す意味…お前、答えろ!」
「俺?!え、えっと…消滅しない?」
「そうだ。死霊魔法で生み出した骸骨やら、召喚魔法で召喚した魔物やらは消滅するが…俺が作った奴、召喚した奴はその時点で意思を持ち、個体として世界に認知される」
「…ふむ、では……今後ともよろしくお願いします、マイロード」
「あぁ。早めにスケルトンロードに進化しろよ。ノーライフキングでもいいけどさ」
「精進させていただきます」
「名前は…うん、スケスケだ」
「ハッ…!」
それで良いんだ、そう思いつつ骨の玉座を作ってもらったのでそれに座る。すると次々と骸骨兵士や骸骨将軍が召喚された。
その中でもぶっとい骨で構成されてるでかめのスケルトンが骨で何かを作り、その上に玉座を乗せて持ち上げる。
「…ふむ、悪くない。つき進め」
「「御意!」」
「わ、私が生み出した配下も意思が…」
「俺の固有スキルとでも思えば良い。普段は隠してるがな。魔の創造主とかいう固有スキルが意思を持ってお前等を作るのに必要なスキルで、主の為にとか言う固有スキルが、俺が生み出した存在にのみ一つ目のスキルが与えられる」
ただし忠誠心を失えばそのスキルは自動でそいつから消滅してくれるらしい。要するに裏切り者には与えられない、主の為にならないという事だろう。
「勿論意思を与えずに生むことも可能だからな」
「…なるほど」
そうこう言ってる間に骸骨将軍達が先導して次々と敵兵を倒していってくれた。すると…プレアデスから念話が。
『我が主よ、複数の奴隷を発見しましたがどうなさいますか』
『保護しろ』
『御意に』
暫く移動を続けると、その場にいた全員が巨大なパーティー会場らしき場所に強制転移させられた。
「…Sランクの冒険者共か。やるじゃねぇか、財務卿」
「フッ…。無様に死ね、シード=レブレンス」
「スケスケ」
「ハッ、如何なさいますか」
「俺の活躍をその目に焼き付けろ。……その頭蓋骨に焼き付けろ」
「御意に。お前達もしっかりと見ておけ!!」
「「御意!」」
「シード…」
「悪いな。お前等がそっち側にいる以上、俺はお前等を殺すしかない」
そう言いながら剣を引き抜き、黒雷を纏わせてから財務卿を睨んだ。
「その髪の毛、今日で全て消し飛ばしてやる」
「ッ…!ぜ、全員殺れ!彼奴を無惨に殺せ!!!」
「そうそう、それとお前等は俺に何か思ってるらしいが…俺はお前等の事を何とも思ってない。そもそも俺は…ソロだったしな」
基本的な攻略スタイルが自分一人で受注して、最下層付近でデミちゃんとかを念話で呼ぶっていう卑怯系だったから。
ボス退治した後のお祝いの時も、皆におごって一言言った後はこっそり姿を消してたからね、冒険者友達いません。
「お前はただの財布にしか見えねぇよ!」
「同感だ!」
「…そう言われるとムカつく」
軽く剣を振るって雷属性の斬撃を飛ばすも、流石は熟練冒険者だ、一瞬で破壊しやがった。
厄介なのはチームで来てる所だな。連携を取られると怪我しそうだから困る。
「………」
面倒なので一旦そのまま突っ込んで行き、ソロで来てる奴と相対。剣をぶつけ合ったが、左手で素早く心臓を貫いて後退。
即座に死霊魔法で魔物化させ、近くの奴を攻撃させた。ゾンビ化させてみたが、後で…うん、圧縮しよう。
「人の心が無いのか貴様!!」
「無いな。魔族だし」
「聖魔法でアンデッドを全て浄化するわ!」
「馬鹿が…」
一人の聖職者がそう言いながらホーリーフィールドを生み出した。聖属性の巨大な魔法陣を生み出し、聖なる魔力で浄化させる技だな。
「案ずるなお前達。あのゾンビは死ぬが、お前達は問題無い。何せ俺の配下だからな」
聖なる魔力がゾンビを瞬間で蒸発させたが、スケルトンたちの体は闇の魔力によって見事に守られた。
「…う、嘘でしょ…?」
「残念だったな」
「―――すいません、遅れました」
「大丈夫って…スケルトンキング!?」
「仲間だ。名前はスケスケ」
「「………」」
「何だよその顔」
「余所見を―――!?」
俺の傍まで迫っていた魔剣士。しかしエトワールは両腕を素早く斬り落とし、剣を回収。
「殲滅ですか?」
「あぁ。…とは言え俺がやるから気にするな。あっ、そいつはそのまま殺してくれ」
「はい」
首の角度が90度を超え、そいつは即死した。それから彼女はワールスと共にスケスケの前に。
「な、舐めるなよシード!」
「…破壊魔法を見せてやろう」
そう言いながら飛んで来た炎球を手で消し飛ばす。
「魔力分解ってやつだな」
MPを消費して魔法は放たれるが、MPってのは言ってしまえば魔力の保有量だ。ステータスにある魔力は、分かりやすく言えば魔力をどれだけうまく扱えるか。
「便利な魔法でさ~。人の身体に触れて魔力分解を使えば…こんな風に消せるんだ」
先程エトワールが殺した奴の肉体に触れ、魔力分解を使ってその体を消し飛ばした。驚く面々を見て俺は笑いつつ、スケスケたちの方を向く。
「普通は使えないが魔王の幹部、即ち将軍クラスになると使える。戦う時があれば気を付けような」
「「はい!」」
「こ、小僧が…!いい加減にしろ!!!」
「っし…そろそろ真面目にやるか」
そう言って思いっきり踏み込み、正面に居た女戦士の胴体を蹴り飛ばした。その反動でくるっと宙を回転してから着地し、剣を使って魔法使いの腕を切断。
「てめぇ…!」
「その大盾は飾りだな?」
魔力を腕と剣に流し込んで大盾諸共その巨体を切断し、リーダーらしき冒険者の体を一刀両断。そして後ろを振り向いて短剣を飛ばし、最初に蹴った戦士の喉元に―――うん、見事刺さった。
「次は…っと、危ない危ない。怖いなぁ聖職者さん」
「…み、皆…気を付けて、彼奴はヤバい」
「だろうな…」
「た、助けて…く…れ…」
「皆、前に!大丈夫?直ぐに回復を―――あっ…」
指をパチンと鳴らし、魔法使いの体を斬った瞬間に仕込んでおいた魔法陣を起動させる。
すると一気に奴の体は光り、そして思いっきり爆発!少し離れた場所には黒焦げになった何かが居る。恐らく聖職者だな。
「おーおー派手に爆発したなぁ」
序でに前に踏み出してた連中は爆発によって背中が焦げたらしく悶えている。なので短剣を投げて息の根を止めた。
「はい、残りはお前とお前と…財務卿だけだ」
「…ふっ、どうだろうな」
すると財務卿の後ろの壁が壊れ、明らかにヤバい巨漢が姿を見せる。
「狂戦士か」
「如何にも」
「―――――――――――!!!」
「それじゃ、頑張りたまえ。…あぁ、お前等は役立たずだから死ね」
奴は冒険者にそう言ってから転移で姿を消した。
…つくづく屑野郎だな。そう思いつつ、冒険者が一瞬にして殴り飛ばされるのを見届けた。
「狂戦士は理性がぶっ飛んでる系だ。精神攻撃は無意味だし、デバフ系統が一切効かない」
「えぇ…?」
「気絶させるか殺すかの二通りしか基本は止められない。…一応狂戦士が進化していけば、狂戦士化しても理性を保てるようになる」
「お~」
「……それでどうするの?」
「俺はスケスケと共にヘイトを買う。エトワールは急所を、ワールスは取り敢えず斬れ」
「了解」
「分かった!」




