脳みそまで筋肉vs暗殺者
「―――ここで寝ろ」
「嫌だ、一人が良い」
「良いから」
「ヤダ」
「お前…」
「…冗談。これ以外に服は無いの?」
「浴衣ってのがある」
「…何それ」
「銃は知ってるのにそう言うのは知らないのか」
「武器の事が頭に入ってるだけ」
「まぁこれは浴衣って言うらしい。それ以外はよく分からん」
「んじゃ貰いますね」
「おう。それじゃお休み」
「……何処に行くの?」
「やる事があるから隣の部屋でやる。それだけだ」
「なら私も起きてる。…私は君の部下なんでしょ、守ってあげないとね」
「誰も来ねぇよ…。まぁ…うん、好きにしろ」
隣の部屋に入り、魔道具ではなく蝋燭を付けてペンを手に取る。それから適当に書類を眺め始めた。
提案書やら色々とあるが、サインをするのは稀だ。基本下らん要求ばかりだからな。舐められてるんだろう。
「…待って、それ見せて」
「これ?…あぁ、死んだ将軍の件か。残党がふざけんなって言ってるだけだぞ」
「決闘でしょ、受けておいて損は無い。明日の朝でしょ、行けるじゃん」
「……嫌だよ面倒だ」
「…はぁ、いいから行くよ。朝食後でしょ、この時間なら」
「一応俺の方が上なんだけど」
「黙って」
「……はい…」
――――翌朝
レイちゃんと朝練をやりつつ、彼女の事について話をした。仲間が増えるのは良い事だねと言っていてくれたので安堵。
教育等々をする気も無いらしく、全部俺に任せてくれた。ワールスの方はボロスとかが色々と教えてくれてる。知識不足な面があるからね。
それに比べれば此奴は確かに優秀だ。異世界の事は知らなくても、大体の事は知ってるっぽいから。
序でに彼女は一人で温泉に入りに行った。まぁ彼女らしいと言えばらしいが、やっぱ誰かと馴れあうつもりはないらしい。
―――朝食後、闘技場にて
「クソガキ…殺してやる!」
「君達以外のいじめっ子は全員精神を病んで自殺しちゃったそうだね。あぁ残念だ。しかし…将軍には魔人以外も居たけど皆しっかり精神は病むんだね」
「黙れ!お前等、もう容赦なんて要らねぇ、全力で殺すぞ!」
「「おう!」」
「……殺れるのか?本当に」
「名前を付けてくれれば」
「それは寝てる時に考えた。エトワール、どうだ?」
「………本当に付けてくれるんだ」
驚いたような表情でこちらを見つめてくる彼女。しかし直ぐこっちを睨んできた。
「睨むな」
「…違う、私視力が悪いの。眼つきが悪いのはそれが理由」
「そ、そうだったのか。それはごめん」
「別に」
そう言いながら内ポケットに手を入れ、素早く短剣を数本取り出して投げ飛ばす。それは見事、将軍達の額に突き刺さった!
「「!?」」
「暗殺者っぽいな」
「暗殺者なんだけど」
素早い踏み込みと同時に宙へ舞い、闇で刀を生成してから宙を蹴って地面に降り立ち、同時に周囲の敵を木端微塵に。
「刀、待ってる」
「あぁ」
あの強さなら専用のを渡したほうが良いな。美味く扱えそうだ。独特な扱い方だが。
「が、ガキ!お前が死ねば解決だ!」
「俺を狙うのは良い案かもね。でも…エトワールは速いよ」
刹那、迫っていた巨漢の足元が割れ、そこから獄炎が噴き出す。そして黒焦げになった直後に閃光の如き斬撃がそれを木端微塵に。
「……意外と俺を守ってくれるんだな」
「うっさい」
「怖いなぁ…。んで、お前はやらないのか?」
「我々は虐め関係では無いからな!君のマッスル度を見ているだけだ!」
「えっ、別の意味で怖いんだけど」
「セグルスさんに言われて良きマッスルを集めて来たぞ!」
「…えっ、いい人なのがもっと怖い…」
「我ら一同貴公に従うぞ!!!」
「あっ、ど、どうも~」
「…私あれ無理、生理的に」
「悪いが俺もだ…。ヴォイドに任せないと…。お前等騎士団の方に行け!」
「「了解!」」
「残りは…どうする?」
「また見せしめにする」
「また…って事は前にもあるんだ」
「腐ってる騎士団連中をちょっとな。今度は将軍級だ、楽しい事になるぜ」
「……そう。シードが楽しいなら良いや」
「何だ、お前らしくないぞ。昔はあんなに俺を殺したがってたのに」
「一回しか会ってないでしょ」
「それもそうか…。でも何かもっと殺気放ってるヤバいキャラだと思ってた」
「私を買う人は大体容姿を見て買うんだけど、シードは能力を買ってくれてたから」
「お前ほど優秀な暗殺者は居ないと思うんだが」
「どうだろう。まだ初歩的な技術しか知らないし。スキルを習得できればいいんだけどね」
「…何時か覚えるだろ。さっ、仕事だ仕事」
「何をするの?」
「優秀な奴らをスカウトする。ゴミは処理だ」
「理解した」




