チョコレート
ゴツゴツとした勇ましい手に高級なお菓子をのせて見せてくる王子サマは俺の事を幼子だとでも思っているのだろうか。でも名前知ってたし家まで来たから年齢も知ってると思うんだけど。
とりあえず目の前に受け取れと差し出された高級菓子を受け取る。受け取るが生憎と甘い物は好きではなく失礼だとわかっていても菓子を開ける手が動かない。
それでもじぃっと見つめてくる王子サマがいるから食べずにいるなんて事はあり得ない。例えそれをすれば目の前にいる狼に噛み殺されてしまう。
意を決してすぐに溶けるであろう小さめなチョコレートの包みを開け口に入れる。普通の人ならば甘くて美味しいと感じるであろうその味も俺にはキツイとしか感じない。頭をハンマーで殴られているような甘みの暴力に頬を引き攣らせる。
「も、勿体ない物をありがとう、ございます。」
美味しいです、と頭を下げる。今のうちに噛み砕いてこの甘みから逃げたい。
「口に合わなかったか?」
「……え?」
俯いて生理的に出る涙を押さえ込んでいれば骨ばった手で顔を上げられた。驚きに硬直してる俺の唇を王子サマの指がなぞる。開けさせるような動作に無意識に口が開いた。
「……可愛いな。」
王子サマはそう呟いて顔を近づけた。どんどん近づいてくる王子サマの顔に頭は焦りを浮かべるが身体がうまく動かない。
「んんっ。」
王子サマの薄い唇と重なる。間抜け面で空いていた口はそのまま王子サマの舌の侵入を許してしまう。舌でチョコレートを掬って遊ぶような舌の動きに身体の力が抜ける。
王子サマの舌の動きなのか甘い甘いチョコレートが口の中に広がったからなのか頭がクラクラする。そんな抵抗出来ない俺をよそに王子サマの遊ぶようなキスは口の中のチョコレートが無くなるまで続いた。




