解明されるのは、だいたい嫌な予感の方が先だ
「出力制御、全然効いてないじゃん!」
えんちゃんはモニターを見て叫んだ。
みなちゃんが椅子を回しながら言う。
「だから言ったじゃん。試作兵装は現場投入しちゃだめだって」
「言ってたね!? うん、今すごく思い出した!」
赤坂部長はすでに二回目の説教モードに入っていた。
「どうなってる!」
「原因はたぶん、対象認識です!」
えんちゃんは慌てて画面を切り替える。
試作支援剣の管理画面には、現在の判定基準が表示されていた。
使用者生存率:最優先
周辺脅威評価:高
未知環境補正:最大
保護対象:単独
みなちゃんがのぞき込んで、あっと声を出す。
「あー、これか。世界への適応完了前だから、周囲の全存在を広義の脅威として取ってる」
「え?」
「つまりあの剣、今の涼花ちゃんを森に放り出された非適応個体って認識してるから、だいたい全部に対して過剰防衛する設定になってる」
えんちゃんは三秒ほど固まった。
「……要するに?」
「ちょっと振るだけで強い」
「ざっくり!」
赤坂部長が机を叩いた。
「ざっくりで済ませるな! 早く修正しろ!」
「はい!」
えんちゃんは慌てて制御項目を書き換える。
ただ、完全に弱めるわけにはいかない。主人公が序盤で死んだら元も子もない。
けれどこのままだと、町の物干し竿を払っただけで家が半壊する可能性がある。
「最小出力を下げて……環境適応補正も再計算して……あっ、でも伝説武器フラグが乗ってるから基礎値自体が高い……」
「何で伝説武器フラグが乗ってるの」
みなちゃんの声が冷たい。
えんちゃんは目を逸らした。
「なんか……盛り上がるかなって……」
「盛るな」
「すみません」
そこへさらに追い打ちをかけるように、別モニターに警告が出た。
現地主人公、ギルドにて注目度上昇中
「注目されるの早くない!?」
「そりゃあの火力ならなるでしょ」
「まだ一日目だよ!?」
赤坂部長はゆっくりと椅子に座り直した。
怒りすぎて逆に落ち着いた時の顔をしている。怖い。
「えん君」
「はい」
「今日は徹夜だな」
「ですよね……」
「主人公の火力補正を自然な形で説明可能にしろ。
ギルド側に違和感の少ない受け皿も作れ。
ついでに衣食住の初期安定化も急げ」
「業務量が多い!」
「君が増やした!」
それはもう、完全にその通りだった。




