第四十七話 遅刻の途中に
ゴールデンクラッシャーから2時間、ようやく動けるようになった智秋とボクは久しぶりに姉弟で学校に遅めの登校をして歩いていた
「まだズキズキするわ・・親父には叩かれるし・・とんでもねぇ一日の始まりだわ・・」
それを横で聞いてるボクは苦笑いをして智秋に言う
「あはは・・ごめんね?お掛けでボクは怪我しなくて済んだけどね、折れなくて良かったね?」
その言葉を聞いた智秋はボクの顔を一瞬見ると少し怒ったような表情をして喋りだした
「ホントだよ!たくっ!寝坊を起こしてやったのに危うく俺も女子になるところだったわ!姉ちゃんに股間蹴られた挙げ句にプレスされて遅刻しましたなんて言えねぇよ・・」
冗談交じりに話し、股間の辺りを擦る智秋
ボクも初めての寝坊の原因を話してやることにする
「だからごめんて・・しょうがないじゃん、久しぶりに中学の時のチビの嫌いな奴の夢見ちゃったんだから!目覚めが悪くて当然でしょ?ボクも遅刻する羽目になったんだからおあいこだよ」
ツンとした顔でそう言ってやるとボクの前の方からこんな時間なのに歩く学生の姿が目に止まった
ボクは智秋に目で合図を送って言ってやる
「ねぇ・・あのちっちゃい学生も遅刻だ・・のんびり歩いちゃって・・ありゃきっと遅刻魔だね・・堂々としてるもん」
それを聞いた智秋も少し笑って歩く学生を見て話しだす
「ほんとだな!堂々とし過ぎだわ!俺らの遅刻なんてかわいいもんだな!」
そうだ、智秋の智秋押し潰しは事故だ!
不意の事故だから遅刻はしょうがない!
神だろうと鬼神だろうとこればかりは予測出来なかっただろう!
だが歩いてくる学生はどうだ?
ポッケに手を突っ込んで一昔前のヤンキーのように堂々としているではないか!
あれに比べたらボクの遅刻など無いに等しい・・
あんなヤンキーと一緒の部類に仕分けされては困るのだよ・・
脳内で初見チビヤンキー学生を偏見のディスりで叩きのめしてやったところで、ボクはいたずらっぽくニヤッとほくそ笑んでやるとチビヤンキー学生とすれ違いざまに無意識に言葉を発してしまうボク
「万年遅刻魔チビヤンキーめ・・クワバラクワバラ・・」
ボクはとっさに両手で口を押さえたが時遅く、声がチビヤンキー学生に聞こえてしまったようでボクはチビヤンキー学生に呼び止められてしまった
「おい!お前今なんつったよ?遅刻魔だと?」
今にも突っ掛かって来そうなチビヤンキー学生
朝の一件とチビヤンキーが重なり、少しイライラしたボクは一言申してやった
「聞こえてるじゃん・・遅刻魔じゃないよ?万年遅刻魔だよ?堂々としてたのに心は狭そうだね?友達いないでしょ?」
ボクは本音を堂々とチビヤンキー学生に伝えてやる
それを見て慌てた智秋がボクとチビヤンキー学生に割って入って話しだす
「姉ちゃん!朝から喧嘩吹っ掛けるなよ!相手はヤンキーでチビだぞ?ほっとけっての!」
火に油を注ぐアホ智秋、チビヤンキー学生が智秋に掴み掛かろうとしたところでチビヤンキー学生がボクをガン見して話しだす
「おい・・お前・・松元か?松元千秋だよな?」
チビヤンキー学生の癖に話し掛けてきた事にイライラ限界突破寸前のボクは、唇に指を当て首を傾げてやって言ってやった
「えっ?何で知ってるの・・?君もしかして・・ストーキングチビヤンキー・・・きもっ・・」
心の声も少し出たところでチビヤンキー学生が怒ったのか手をボクに向けてワキワキしている
それを見たボクはハッと今朝の夢を思い出し、イライラが腹立ちに変わったところで無意識にピッと思いっきり指を指してその指でチビヤンキー学生のおデコを突付いてやりながら言ってやった
「あっ・・!君チビの嫌いな奴だ!よくも朝から夢に出てこのボクを遅刻させてくれたな?お前なんかこうだ!!」
そう言って突付いた指でグリグリと頭のテッペンをこねくり回してやったボク
チビヤンキー学生も腹が立ったのかボクの指を払うと生意気にも言い返してきた
「やめろ!俺はチビじゃねぇしお前の遅刻とは関係ねぇだろ!それに俺は上松雅人だ!忘れたとは言わさねぇぞ?
それより松元!俺にはずっと男子だとか言ってたのにやっぱり騙しやがったな?!」
一人で興奮して訳のわからない事を喋り散らすチビヤンキー上松
それを聞いてボクはキョトンとした表情でチビヤンキー上松に言ってやった
「なんの話??ボクは女子だよ?胸もあるし・・制服もスカートだし・・見える?」
そう言ってクルッと廻ってスカートをなびかせ見せびらかせてやったボク、それを見たチビヤンキー上松がフルフルと震えながら話しだす
「あんなに俺はアプローチしたのに・・男子とか言って嘘つきやがって!どう見てもやっぱり女子にしか見えなかったのに!!許さねぇ!!」
勝手に一人で怒り出すチビヤンキー上松
女子のボク相手にこぶしを作って構えてきた
それを見たボクは腹が立ちゲージが貯まり女子の秘技、ご機嫌斜め千秋ちゃんを発動して言い返してやった
「上松君・・?ボク今日は朝から君のせいで機嫌悪いから・・遅刻はするし・・会いたくない人には会うし・・・
絡んできたからには・・ただで帰れると思うなよ?」
紗良ばりの威圧感で言ってやったボク
少しチビヤンキー上松は怯んだが、ボクを舐めるように見るとニヤッと不敵な笑みをこぼしてボクに向かって言ってきた
「ただじゃ返さねぇって・・俺と遊んでくれんの?ひひ!じゃあとりあえず女かどうか確かめねぇとな!今度こそ俺の女になれや!!」
そう言ってこぶしを作った手をワキワキすると、ボクの胸一直線に手を伸ばして寸止めしてきたチビヤンキー上松
ふっ・・
かかったな!
ボクを女子だと思って甘く見ていたようだな!
チビのワキワキで怯むようなボクではない!
食らうがいい・・
女子の雷を!!!
脳内で伝説の雷を発動したところで、ボクは少しだけ胸を前に出すと、そのワキワキした手にボクの胸を当ててやった
その刹那
「いやー!!痴漢です!!この人痴漢ですぅ!!わたしの胸触ってきましたぁ!!拐われるぅ!!助けてください!!」
ボクの悲鳴に道行くサラリーマンが集まって人だかりが出来る
胸にワキワキの手をつけたままフリーズして顔が青ざめていくチビヤンキー上松
それを見てボクはニヤッとほくそ笑んでやると女優顔負けの演技をお披露目してやった
「この人に急に・・女になれとか言って・・無理やり触られて・・」
両手でヤンキー上松の手を払い除け、そのまま胸を隠すと、ボクはフルフルと震えてみせ、切ない表情をサラリーマンとチビヤンキー上松に見えるようにみせてやる
そんな一瞬の出来事に一人ドン引きして顔を引きつらせる智秋
暫く静粛の時間が流れたあと、智秋がチビヤンキー上松の前に立ち塞がるのであった




