第三十九話 校長の趣味?
10月の初旬、中間テストも終わり、学校の次の行事まで時間が空くこの期間に校長先生から受けたパンフレットの制作をすることになった
ボクは放課後、エキストラに指名された生徒達と教室で待機している
教室には、ボクの事務所の社長兼専属カメラマンのアホ若槻が学校が用意した専門会社のプランナーと打ち合わせをしていた
ボクは自分の机でアンナさんに総合スタイリングを受けながら、アホ若槻とプランナーの会話に耳を立てて暇を潰していた
「やはりこの学校の光る部分を全面に押しだす風景が欲しいですね、モデルさん在籍の学校としてのプランを組んでとの要望も・・」
「私は構わない、ウチのモデルから頂いた話だ、学校側でakiを全面に押し出す構成にしたいのならそれに合わせましょう」
光る部分ね・・
うちの学校は県内でもトップの方の進学校みたいだけど・・
頭が良いやつが多くて有名な大学に進学してる以外に推せるものないんじゃないか?
校長が言い出したことだから仕方なくこうなったわけだが、ボクをパンフレットに使おうと何かがすぐに変わるわけじゃないのにな・・
やはりこれは校長の趣味としか思えないぜ・・
そんなことを考えていると教室に校長が入ってきて、何やらアホ若槻とプランナーに笑顔で話をし始めた
それを見た瞬間、ボクの背中がゾワゾワと寒気が走る
な・・なんだ・・この感覚・・
まずい・・これは・・
女の勘だ・・
しかも悪い方だぞ・・
何を企んでやがる・・校長め・・!
ジトッとした目を3人に向けてボクはまた聞き耳を立ててやって話を聞いてみることにした
「新たな特色として新設するつもりです、その為にわが校のモデルをakiさんにお願いした」
「そうでしたか、では全面に押し出す構成で組み立てましょう、校長も思い切ったことをしましたね、高校でモデルの専門課程のクラスを来年度から新設するとは」
なっ・・なにっ!?
モデルの専門課程クラスだとっ?!
なぜ急にそんなことになった!?
このボクは一言も聞いてないぞ!?
趣味のモロ出しも権力で押し通すだと!?
この国がそんなことを許すとでも思っているのか!仮に国が許したとしても、このボクは絶対に許さんぞ!
脳内で千秋流六法全書をお披露目したところで、校長がスタイリング中のボクを見て寄ってくる
そしてダンディな笑顔をボクに見せると話しだした
「全て松元さんのおかげだ、来年度からわが校に日本初のモデル育成に特化したクラスを新設する運びとなった、それに向けて良いモデルと良い教諭を確保できたことは我が校にとって輝かしい未来への第一歩だ、本当にありがとう、今日も頑張ってくれたまえ、松元さん」
ボクにモデルを依頼したのはこれが狙いだったのか・・
趣味とモデルクラスの新設の両立・・
完全に校長の趣味だ・・
エロ校長め・・!
それに良い教諭って誰だ・・?
まさかとは思うが・・
それにしたって上手いことボクをハメやがったな・・
完全に頭にきたぞ・・
ここは一発ハッキリとものを申させてもらうぞ!
脳内で怒りを爆発させたボクは、キッと校長に視線を送ってやってズバッと言ってやる
「モデルのクラスが新設・・凄い!画期的です校長先生!それでボクにモデルを依頼したのですね!わかりました・・今日のお仕事全身全霊を掛けて撮影に望まさせていただきます!」
仕事モードに入りつつあるボク、完全に自分の意志とは関係ないことを口走ってしまった・・
世渡り上手のモデルのakiちゃんのリップサービスに愕然と肩を落とすボク
そんな半分白化したボクのところに紙袋を持ったマネージャー紗良がやってくる
ガサガサと紙袋を漁るとバサッとボクの机にあるものを置いたマネージャー紗良、ニヤつきながらボクを見て話しだす
「新着の制服です、来年度のモデルクラスのデザインです、akiならとっても上手に着こなせると思いますよ」
そう言ってボクの前で真新しい制服を広げて見せてくるマネージャー紗良
ボクは両目を見開いてガン見してしまった
な・・なんてデザインしてやがる・・
ミニフレアースカートのタイトワンピースだと!?
それに太めのベルトと丈の短いジャケット・・
これでは完全に・・
激しいダンスをバリバリこなす、どこぞの女子アイドルグループの衣装のようではないか!
校長め・・
ダンディの裏の顔はドスケベだったか・・
これで登校した女子が校内を歩く姿を見て欲求を満たすつもりだな?
生徒からも絶対注目度マックスな作りだ・・生徒の目も使って上手くカモフラージュするつもりか!
こいつは・・アブねぇ趣味だぜ・・
脳内で校長の危ない趣味をディスったところで、ボクはもう一つの可能性にハッと気づく
いや・・これはこれで見られる仕事のモデルにはもってこいの制服なのでは・・
一見身体のラインが手にとるように見えてセクシーな印象だが、実はモデルの身体の使い方を常に確認できる優れたデザイン・・
学生として色気が全面に出ないようにジャケットで爽やかさとカッコ良さを両立出来る最善の組み合わせ・・
そう、ボクはモデルをして色々なファッションを目の当たりにして、どんな形状のものが女子をカッコよく輝かせるかを知っている
それは自分の身体の形を余すことなく曝け出すこと・・
胸も、ウエストも、ヒップも、腕や脚に至る全てのパーツ・・
人目など気にしない、堂々と曝け出すことで何倍にも女子はカッコよくなる、そして自信と言う最高のエキスを周りの人間から吸って更にカッコよくなっていく
ボクはお母さんの教えの一流モデルの鉄則を思い出し妖しくニヤッとほくそ笑んでやった
そしてボクの前にいるマネージャー紗良に言ってやる
「いいじゃん・・最高の出来栄えだね・・モデルの着こなし・・魅せてあげるよ」
そう紗良に言って、制服を手に取ったボクはスタイリングが終わると真新しい高校の戦闘服に身を包むべく隣の控え教室へ赴くのであった




