第三十八話 ナンパと嫉妬
久々のお休みも今日で終わり、今日は朝からリキに映画に誘われ、大好きなジャンルのスカイアクションを観終わって大興奮のボク
余韻もそこそこに、ボクはリキと映画館の敷地にある大型ショッピングモールに入った
休日でお客さんも沢山いる中、ボクはリキに話しかける
「ねぇねぇリキ君?お腹空かない?ボク映画観たらお腹減ってきちゃって・・なんか食べようよ?」
ボクの言葉にリキは少し考えてボクに言う
「わかった千秋さん、確かこの先にフードコートがあったから行ってみるか」
そう言ってボクの手を引いてエスコートしてくれるリキ
男子友達としてはリキはなかなか優秀
と言っても他の男子と言えば智秋くらいしかいないが・・
元男子のボクでも女子の手を引いてエスコートなんてできないかもしれないな
やるな!リキめ・・!
そんなことを考えて少し顔が熱くなるボクそんなボクの顔を見逃すリキ
人混みを抜けてしばらく行くとフードコートの辺りがさっきよりも熱気を帯びている
それを見たリキがボクを引き寄せて話しだす
「すげぇ混んでるわ・・千秋さんどうする?列んで待てるか?」
ボクの目をちらっと見るリキ、ボクはドキッとしたがそれを隠すように話した
「えっ!?うん!待つよ!お昼時だもん!仕方ないよね!あっ!じゃああそこの店列ぼうよ!」
そう言って和食のチェーン店を指差すボク
それを見てリキはボクの手を引いて店まで行くと名簿に名前を書いて列の最後尾に列んだ
結構列んでるな・・
順番が来るのが先か・・
ボクのお腹がエンプティになるのが先か・・
そんなことを考えて、一応リキに聞いてみたボク
「ねぇ、やっぱり時間かかるよね?」
それを聞いたリキは頭をかきながらボクに言う
「千秋さん・・まだ列んだばっかだよ?ちょっとの辛抱だよ・・まだ前に10人以上いるからな・・気長に待とう」
それを聞いてボクはため息ついて薄オレンジ色のトートバッグを漁りだす
いつサバイバルになるかわからないからな
こんな事もあろうかと、非常燃料を持ってきて正解だったぜ・・
これさえあれば、長い列など目ではない!
脳内で自分の用意の良さに惚れ込んだところで、トートバッグから小さい包装された物を取り出したボク
それを見てたリキがボクに恐る恐る聞いてくる
「千秋さん・・なに・・それ・・」
リキの言葉にボクはニヤッとほくそ笑んでやって答えてやった
「ん?茎わかめだよ?酸っぱくてコリコリしてて美味しいんだ!リキ君も欲しいの?しょうがないなぁ・・」
そう言ってボクはリキの分も取り出してやるとニコッと笑顔で茎わかめをリキに渡そうとする
それを焦り気味に見ていたリキがボクに言う
「や・・千秋さんモデルさんでしょ?流石にこんなところで間食するのは駄目だ、戻しといてね、千秋さん」
そう言われたボクは首を傾げてリキに言ってやる
「だから目立たない茎わかめにしたの、隠して食べたらわかんないし!ボクもちゃんと考えてるよ?凄いでしょ?」
そう言ってドヤ顔をリキに見せてやるボク
リキは少し呆れ顔でボクに言った
「そう言う問題じゃない、イメージってもんがあるだろ、仮にも企業イメージのモデルもやってるんだから茎わかめなんか人前で食べちゃ駄目だ!」
そう言ってボクの持ってる茎わかめを没収してくるリキ
そんなリキの行動にボクはご立腹だ
ボクは少し腹が立ったのでリキを少しいじめてやろうと話し始める
「じゃ・・リキ君ちょっと列んでてよ、ボクちょっとトイレ行きたくなっちゃったから行ってくるね、もし順番来たら連絡してね」
そう言ってボクはリキを残してトイレへ行くことにした
トイレに入って20分、そろそろリキも心配して連絡をよこすに違いない・・
ボクの茎わかめの恨み・・
思い知るがいい!
と思って10分だったが一向に連絡を寄越さないリキ、ボクはふとあることに気付いた
もしかして茎わかめを外で食べようとしたボクに愛想が尽きて黙って帰ったのか?
もしそうなら連絡をよこさないのも頷ける・・・・・・
やだ・・ボク何してるの・・?
茎わかめなんかでサヨナラとか悲しいじゃん・・
せめてそこは可愛げがあるなとか言ってよ・・
茎わかめで破局なんて・・
嫌だよぅ・・
ボクは居ても立っても居られなくなって、慌ててトイレを出ると、リキの待ってる筈の和食屋さんに小走りで向かう
すると列にリキの姿が見えてボクはホッとしたが、あるものがリキの隣に見えてボクはドキッとして思わず立ち止まってしまった
な・・なんだと・・
あれは・・女子・・
しかも二人いやがる・・
なんで知らない女子がリキの隣にいるんだ?
その瞬間、何故かボクの胸がギュッと締め付けられるような息苦しさを感じたが、頭をブンブンと振って気を取り直すと、ボクは女子が気になって列の最後尾に並びリキと女子に聞き耳を立ててやることにした
「キミ一人なんでしょ?背大きいし身体も鍛えてそうだし和食なんかじゃ絶対足りないって!ご飯私達と一緒に食べよ?あっちにお肉屋さんあるから!」
派手な格好をしたどう見ても大人女子がリキに絡んでいる
その横にもミニスカ女子がリキを見て何かリキに話している
「いいじゃん、お姉さん達が奢ってあげるから!その代わりちょっと遊んでくれたらいいから!ねっ?いいでしょ?」
男子のリキがいつの日かのボクと同じ目にあってるだと・・!?
ていうか、リキってもしかして結構カッコいいのか?
いや・・元男子のボクから見ても確かに爽やかで高身長の筋肉バカには見えていたが
・・・
もしかして・・女子ウケが良すぎる容姿なのか?
イベントのウケが良かったのもリキがイケメンだったってことなのか?
くそ・・なんだか腹が立ってきた・・!
あの忌々しい大人女子め・・!
よし・・仕方がない・・
ボクの秘めたる女子力を見せつけて追っ払ってやる!
脳内で打倒大人女子を誓ったボクはトイレへと戻り鏡の前で自分に魔術をかけることにする
女子の神具・・口紅とアイブラシ・・
そしてヘアアレンジ・・
元モデルのお母さんから叩き込まれてて良かったぜ・・
見てやがれ!糞大人女子め!
わたしとすれ違う老若男女がその場に皆立ち止まり目でわたしを追う
ふふ、今のわたしは尖ってるわよ?なにせ汚いメス猫にわたしの彼がちょっかい出されてるんだから・・
とばっちりでわたしの姿を見たお客さん?ごめんあそばせ?
白いタイトパンツを見せつけて白いショートブーツのヒールを気高く鳴らしランウェイウォーキングでリキに近寄りカッと直前で止まり無造作にしたロングヘアの目に掛かる長い前髪をスッと手でかきあげてニヤッとクールなほくそ笑みを魅せてやる、黒のオーバーニットトップスが腕に吊られフワッと踊ると同時にかきあげた前髪がサラッとほくそ笑む真っ赤な唇をかすめた
そしてわたしはリキに言ってやった
「リキ君おまたせ・・またせちゃったかしら?ごめんね?駄目よリキ君?わたし以外に色目使うのは・・お姉さん達が困ってるじゃない」
そんな変貌を突如として遂げたボクに目が点になるリキ、リキに纏わりつく大人女子達も驚きの表情をしてたじろぐ
その表情を見たわたしはペロッと唇を舐めると妖しい微笑みとともに大人女子に言ってやる
「あら?何してるのあなた達?わたしの彼見ててくれたのかしら?それはごめんなさいね?彼とてもシャイだから大勢の前だと何も言えなくて・・でも、もういいわよ?わたしが来たから彼はもう大丈夫なの、用事はもうないから何処へでも行ってもらって良くてよ?」
ボクの大人メイクと威圧的な発言にすっかり大人しくなる大人女子達
そそくさとリキのそばを離れて人混みに紛れて見えなくなった
わたしはフゥと息を吐くとリキの方へ顔を向ける
その時丁度リキと目が合って驚きが隠せないリキがボクに喋りかけた
「千・・akiさん?なんか髪型違う・・てか・・メイクも・・どうした・・?」
そのリキの言葉にボクはさっきの胸がギュッと締め付けられる感覚を思い出して無意識にリキの腕に絡まるように抱きついてしまった
そして腹が立ったので一言申してやる
「ばか・・もうご飯いらない・・帰ろ?」
それを聞いたリキがボクの頭に手を載せて言った
「もしかして・・嫉妬ってやつかな・・千秋さん?」
それを聞いたボクはなんだか小っ恥ずかしくなってギュとリキの腕を強く抱きしめて顔を隠してやる
そんな行動を見てリキがボクの頭に何かを被せてきて話す
「オレの帽子貸してやるから、ほら周りのお客さん千秋さんに気付いてる人もいるし、それに折角列んだから食ってこう」
リキの気遣いに嬉しくなってしまったボクは、上目遣いでリキを見上げてやると優しくほくそ笑んでやった
それを見たリキは頬を赤らめて暫くフリーズしてしまったが店員さんに名前を呼ばれて我に返るとそっぽを向いてボソッと何かを言った
「反則だよな・・その笑顔・・」
ボクはよく聞こえなかったが、そのままリキと和食屋さんに入りお待ちかねの昼食を堪能してやった




