第四十話 モデルと現場
良い制服だわ、でも・・なにか足りない気がする・・
モデルモードに変貌したわたしは、別教室に用意してもらった鏡の前で戦闘前のチェックをしている
ポニーテールは学生らしさがあって清楚で活発な感じがいいわね、でもこれだとインパクトが少し強すぎる気がする・・
わたしの笑顔はどんなシチュエーションにも合わせる自信はある・・
でもこの仕事の趣旨は学校の紹介・・
わたしがこのままで撮影しては、恐らくわたしの為だけのファッションショーになってしまう・・
パンフレットは学生が見るもの、またはその親御さんが参考とする為の資料・・
この撮影・・わたしがモデルとして出ているが、わたしが前面に出過ぎない配慮が必要だわ
鏡の前のわたしは顎に手を添えて最善策を探る
すると後でドアを開ける音が響いて、わたしのいる教室に誰か入ってきて声を掛けてきた
「わあ!これって制服ですか?可愛いじゃないですか!デザイン重視だって聞いてたからもっと凄いの想像しちゃってました」
その聞き覚えのある声にわたしは驚いて振り返る
「えっ?ゆず・・?どうしてここに・・?」
わたしの驚いた表情を見た結月も何故か驚いた表情をして話す
「え〜!パパから聞いてませんか!?結月今日の撮影ちーちゃんとするんですよ!」
その言葉にわたしはまた校長の危ない趣味を思い出してしまったが、それがきっかけでモデルモードが少し和らいだのを感じハッと気付く
和み・・学校は楽しいのが前提・・
モデルのクラスを新設するからモデルを使うのではない・・
あくまでわたしは風景の一部であり生徒・・それであれば・・!
わたしはニコッと笑顔を結月に向けて話しだす
「ゆずと一緒に撮影は聞いてないけど・・そのほうが好都合ね、ゆず?ちょっとスタイリング変えるから手伝ってくれる?」
それを聞いた結月は不思議そうな顔をしたがニパッと微笑むとわたしに話す
「はい!何だかよくわからないですけどちーちゃんが言うなら何でも手伝いますよ!で?何したらいいです?」
良い返事をしてくれた結月、わたしはニヤッとほくそ笑んで言ってやる
「来て早々で悪いけどこれと・・これ、アンナさんてスタイリストに言って一緒に探してきてくれる?撮影してる教室に居ると思うから」
わたしがスマホで検索したアイテムを結月は確認すると小走りで出ていく結月、わたしはそれを確認して鏡の前で
独り言を言った
「アンナさん・・折角ヘアメイクしてもらったんだけど・・ごめんなさい・・今日は許してください」
そう言うとわたしはポニーテールにしてもらった根元のヘアゴムに指をかけるとスルッとそのゴムを髪から抜いてやった
暫くしてわたしのいる教室に結月と一緒のアンナさんが戻ってきた
わたしを見るなりアンナさんがニコッとして言った
「akiちゃん!やっぱりヘアスタイル気に入らなかった?実はそのスタイル・・校長先生の指示だったんだよね、クライアントさんの意向だったから私にはどうしようもなくて・・」
そう言ってアンナさんはクスッと笑うとわたしの髪に触って話す
「akiちゃん上手くなったね!後ろの方をもう少しこうすれば・・」
アンナさんは手際よくわたしのアレンジしたヘアスタイルを手直ししてくれた
鏡を見ると自分でやるよりもずっとキレイに仕上がっている
やっぱりスタイリングはプロに任せるのが1番ね!わたしも頑張ってもっと勉強しなきゃ!
「ありがとう、アンナさん、このスタイルのほうが学生感が出てるでしょ?」
フッと笑って前髪を作ったロングの無造作ヘアを、手でサラッとなびかせてやる
それを見たアンナさんが親指をグッと立ててウインクをした
どうやらアンナさんも気に入ってくれたらしい
それにホッとしたところで、両手にアイテムを持っている結月がわたしに話しかける
「ちーちゃんこれ!アンナさん準備がいいんだよ!話ししたらすぐ出てきた!」
スッと手に持ってるアイテムをわたしは受け取ると、それを装備して鏡に姿を映した
「完璧!アンナさんにゆず、ありがとう!これならきっとわたしが写ってても強すぎな色は出ないわ」
鏡越しにニヤッとほくそ笑むと、鏡越しにアンナさんが言う
「akiちゃんならきっとそうするかなって思って、ちゃんと準備して持ってきてたんだよ?さすが専属スタイリストでしょ?」
その一言にわたしはクルッとアンナさんの方へ向き直してアンナさんに言った
「モデルは一人でするんじゃないからね、いいカメラマン、いいスタイリスト、いい仲間、そしていい現場があって初めてモデルの仕事が成り立つわ、わたしは恵まれてるわね」
ウインクをしてアンナさんと結月に感謝をすると、わたしの教室に出番を伝えるスタッフが入ってきた
わたしはギュと手に力を込めると撮影する現場へと向かった




