まだ見ぬ夜
グレカロイドとシフォン、クレアの三人は食料を倉庫に納めると、それぞれのランプを用意し、廃棄物埋め立て地へ向かって歩き出した。
廃棄物埋め立て地までには幾つもの廃棄された工場が立ち並んでおり、夜の静寂がその不気味さを、いっそう際だたせていた。
三人は途中からグレカロイド、シフォン、クレアの順に並び、それぞれが周囲を警戒しながら歩いた。
「二人とも、気をつけろ。最近じゃあ夜中に外を出歩いてて後ろから刺されたなんて話はざらにある。一応、簡単なシールド魔法は張っているが、二人とも女の子だから本格的にねらわれたらまずい。何か周囲に異変があったらすぐに教えてくれ」
「は、はい!」
「・・・」
シフォンは勢い良く返事をしたが、クレアは黙ったまま、俯いていた。
警戒しながら歩いた三人は、何事もないまま10分ほどかけてようやく廃棄物埋め立て地へたどり着いた。
「普段は夜にこんなところ、絶対に来ないからちょっと新鮮だね」
シフォンがクレアに向かって言った。すると、クレアはちらっと前を見た。そこには、夜空に輝く星に照らされてきらきらと光る、鉄くずの山が無数にあった。
「き、きれいね」
「えっ!うーん・・言われてみれば、そうかも」
「そうか?俺にはただ単に鉄くずが光っているようにしか見えんぞ?」
グレカロイドは振り向いて言った。それを聴いたクレアは、また俯いてしまった。それを見たシフォンが、慌ててグレカロイドに言った。
「な、何言ってるのよ!グレカロイドさん!ほら~綺麗でしょ!ね、見てみて!もう一度!よく!」
シフォンがグレカロイドの体を鉄くずの山の方へ向ける。
「ん?あ、ああそうだな」
グレカロイドは、シフォンの言動から何かを感じ取ったのか、口裏を合わせた。すると、クレアは俯いたまま、顔が少し赤くなった。
「それにしてもクレア、お前大丈夫か?さっきからずっと俯いたままで。本当はどこか具合が悪いんじゃないか?」
「え!い・・・いや・・・その・・・大丈夫です。」
クレアは顔を上げ、恥ずかしそうにしながら答えた。
「そうか?まあ、無理だけはするなよ。」
「は、はい・・・・。」
クレアは視線を外したが、少し嬉しそうだった。それを見て、シフォンは安堵の表情を浮かべる。
「よし、それじゃあ行くか。二人とも、襲われたところはどこだ?」
「えっと・・・このまま」
「このまま真っ直ぐです!グレカロイドさん!私が先導します!」
シフォンが答えようとすると、クレアがいきなり前に出てきて言葉を遮った。
「そ、そうか・・・頼む。」
顔をひきつらせながら、グレカロイドは答えた。クレアはグレカロイドの前に出てくると、そのまま歩き出した。
グレカロイドは、鉄くずで敷き詰められた凸凹の上を歩きながら、シフォンに耳打ちをした。
「おい・・・クレアはどうかしたのか?何か変だぞ。」
「そ、そうですか?いつもあんな感じですよ」
「そ、そうかな・・・」
シフォンが答えると、納得したようなしないような顔をしながら、グレカロイドは前を向き直った。
しばらく、周囲にある鉄くずの山を避けるようにして、三人は歩いた。周囲を見渡すと、そこには無数の鉄くず。普段、飽きるほど見ているはずの光景が、ランプの光を通して見ると、三人は改めてその数に驚かされていた。黙々と進んでいくと、突然、シフォンの足が止まった。
「あ!あった!」
クレアはスーパカーを見ると、すぐさま駆け出した。その姿を見て、残りの二人も走り出した。スーパカーのところまで来ると、クレアは左手に持っているランプでボンネットを照らした。
「これよ、これこれ。この赤色にコーティングされた車体。覚えているわ」
「お、こりゃあなかなかイカすじゃねえか。マジで、なんでこんなところにあるんだ?」
グレカロイドは、しゃがんで車体のいろいろなところを触りながら言った。
「あ、そこに何か書いてあるよ」
シフォンが、車体の側面にあるフェンダーを指して言った。
「ん?本当だ。少しかすれているな・・・。えっと・・・ロッジハイハー105・・かな?」
「ロッジハイハー・・・ロッジ・・・ロッジ!?それって、あのロッジのこと?」
「え!嘘!」
クレアとシフォンが、驚いたように言った。
「何?これ、お前の知り合いのものか?」
「知り合いも何も・・・ロッジはうちの従業員ですよ」
すいません。時間がなくて、どうしても書ききれませんでした。次回、続きから始まります。




