No. 97 不審者と遭遇
「で、あの幼女はなんだ?」
裏路地に入り、オレはさっきの幼女についてアダマスに聞く。
「お前の知り合いってことは、少なくともオスカのいた時代からいたってことだろ?それでいて見た目は幼女。どう考えても普通の人間じゃない」
オレが会ったことがなくて、アダマスの知り合いっていうのはそういうことだ。
アダマスは基本的にオレから離れないしな。
『聞かないほうがいいわよ。絶対後悔するから』
「何で?」
横で聞いているスピカが反応する。
今、アダマスはオレ以外にも声が聞けるようにしている。
スピーカーみたいなものだな。
『あいつ、真性の化け物だから。化け物以外の何者でもないから』
嫌そうな口調で淡々と告げるアダマス。
「そんなにヤバイ奴なのか?見た限りじゃ害は無さそうだったが」
無邪気な子供にしか見えなかった。
••••••ワインをがぶ飲みしてることを除けば。
『あれは見た目だけよ。中身は悪意の塊よ』
「でも、別に人を襲ってたわけじゃないし••••••」
『それはやる気が無かっただけよ。てか、あいつにとって人間はオモチャみたいなものだから。気が乗ったら遊ぶ程度のものよ』
「••••••って、ことはあいつ、人間じゃないな」
まあ、何と無くそうじゃないかと思ったよ。
『そうよ。具体的に何かは聞かないで。ていうか、私もよくわかってないから答えられないわ』
なるほど、つまり知らないだけだな。
『うっさい!』
怒鳴るアダマス。
そんなアダマスに、オレは暖かい目を送ってやる。
••••••傍目には、自分の右手を暖かい目で見つめる変態にしか見えないが。
「シュウヤ、今凄く怪しい人だよ」
「それは言ってくれるな。自覚はあるんだ」
サッと辺りを確認し、誰もいないことを確認する。
うん、誰もいない••••••ん?
「誰だ!」
誰もいないと思ったら、表通りの方から一人、誰かがいた。
顔は見えないが、体型から見て、おそらく女性。
どうしよう。
どう言い訳しようと考えていたら、突如その女性が、オレ達に向けて何かを投げてきた。
反射的に避ける。
そして、投げられたものを見てみると、それは一本のナイフだった。
「何すんだ!?」
オレの言葉には反応せず、続けてナイフを投げてくる。
「チッ••••••アダマス!」
アダマスでナイフを弾く。
「この人が不審者かな?」
「だろうな。そうでなくてもいきなりナイフを投げてきたんだ。捕まえるには充分な理由だろ」
とりあえず一発殴る。
そう思ってアダマスを構えたところで。
「危ない!」
スピカに押し倒される。
「おい、何す••••••って、おい!?」
スピカの背中にナイフが刺さっていた。
何処から投げられたと思い、辺りを見渡して気付いた。
『いつの間にかに囲まれてるわよ』
どうやら、そのようだった。
背後に一人、両脇の建物の屋根に二人。
不審者の影があった。




