No. 88 ラウト着
「ここがラウトか」
割と早く着いた。
この街はアイギスからは比較的近い場所にある、とついさっき聞いた。
先に言ってくれよと思わなくもない。
オレは馬車から降りて、辺りを見渡す。
「••••••なんというか、賑やかそうな街だな」
なんて言うのだろうか?
大道芸人?
そういう系の人達が見えてる範囲にもかなりいる。
芸人の街かここは?
「あはは、ラウトは賑やかさが最大の特徴だから。••••••夜もこんな感じだから寝るのは難しいけどね」
前半は楽しそうに、後半はげんなりとした口調のスピカ。
しかし、夜もこんな感じとは、確かにあまり寝れなさそうだな。
「••••••この街にいる間は寝不足が深刻」
ティアもスピカと同じような顔をしている。
「••••••明るい時は別にいいけど、夜中は邪魔」
どうやら、相当うるさいらしいな、この街の夜は。
••••••オレ、寝られるかな。
「安心しろ秋矢。いざとなったら街の人間全員を眠らせてやるさ」
「お前が言うとまったく冗談に聞こえないんだよな。••••••やるなよ?絶対にやるなよ?」
「••••••ネタ振りか?つまりはやれと?」
「違うから!いくら寝れなくて困っても、街ごと眠らせるなよ!」
こいつの場合、出来るか出来ないかで言えば、間違い無く出来てしまうというのが恐ろしい。
そしてやるとなったら何の躊躇いも無くやるだろう。
「心外だな。これでも私なりに気を使っているぞ?眠らせるにしても夜の間だけだし、後遺症なども無い」
「あってたまるか」
てか、夜の間もするなよ。
「善処しよう」
「つまりアテにならないってことだな」
オレは半眼でリオンを睨む。
「そう怖い顔をするな。冗談に決まっているだろう。そもそも、静かに寝たいのであれば音を遮断すればいいだけだしな」
「それもそうだな」
こいつの選択の幅は広い。
いや、広過ぎる。
無限にも等しい量の魔導書を管理するということがどういうことか、それがよくわかる。
ぶっちゃけ、やろうと思えば何でも出来るだろう。
逆に出来ないことを探す方が難しい。
「そこまでではないがな。一部の魔導書は、一応の上司に当たる神から封印指定を受けているからな」
「え、そうなのか?」
「ああ、流石に世界そのものを破壊しかねない魔導書は使用出来なくなっている。終末論などはまともに触れることさえできん。まあ、それならそれで使いようがあったりするのだが」
スケールデカッ!?
世界がどうこうレベルとか、そりゃ使えんだろ。
てか、こいつ実はやり方によっては神とか普通に殺せそうだな。
ゴッドスレイヤーリオンだな。
「残念ながら無理だろう。前にも言ったが、天使と神霊ではスペックが違う。殺すことが出来る魔導書は確かにあるが、使う前に殺されるだろうな」
「そういうもんか?」
「そういうものだ」
真顔で断言するリオン。
反則めいた図書館でもダメとか神霊って一体どんだけ強いんだ。
••••••てか、何でこんな話になったんだろうか?
「二人とも、話してないでそろそろ移動しようか」
スピカに言われ、オレ達は馬車に戻る。
「••••••遅い。いつまではしゃいでいるの」
「そういう君こそ楽しそうに街を見渡していただろう」
馬車に戻って早々何やってんだ。
とりあえず、二人の仲裁に入ることにした。




