No. 72 ケイローン
「アダマス、あの弓が神器だよな?」
矢を避け、避けきれないものをアダマスで切りながら尋ねる。
『そうよ』
「名前は?」
『”ケイローン”よ』
「••••••それが神器の名前なのか?」
ケイローンって、ケンタウロスの一人の名前じゃないのか?
『それを言ったら、アステリオスも同じでしょ?』
それもそうか。
今はそんなことに拘ってる場合じゃないしな。
「で、ケイローンの機能は?」
これが大事だ。
神器であるなら、何かしらの機能があるだろう。
それによって、対応の仕方を考えなくてはならない。
『安心しなさい。ケイローンは、アステリオスみたいな攻撃系の機能ではないわ』
お前も攻撃系だけどな。
『黙りなさい。それで、ケイローンの機能だけど••••••それを話す前に避けなさい』
「おっと、危ない!」
話に集中し過ぎたな。
「大丈夫か、秋矢!」
リオンが心配そうな顔をしている。
ちなみに、リオンの周りには結界のようなものが展開されている。
その中に、アインスが入っている。
あいつもアインスには優しいよな。
「オレは問題無い!そっちは大丈夫だな」
「大丈夫だ。しかし、大丈夫か?ではなく、大丈夫だな、とは」
だって、心配することが無いじゃん。
お前より、自分の身のほうが圧倒的に心配だって。
他のメンバーを見る限り、真冬とツバキさんは余裕そうだ。
クレイも矢を避けるのは余裕そうだが、近づくことは難しそうだな。
「それで、ケイローンの機能は?」
攻撃を凌ぎ切った後、再度尋ねる。
そして、答えは簡潔に返って来た。
『”大賢者”よ』
「••••••どういう機能だ?」
アダマスの”万物を切り裂く”、アステリオスの”雷光”なら、文字通りなので簡単だ。
しかし、”大賢者”?
それはそもそも機能なのか?
クラスじゃなくて?
『機能よ。効果は極めて簡単、契約者が大賢者になるのよ』
「具体的に!」
『神話に出てくるケイローン、その力、というより、知識が使えるようになるのよ』
「••••••それって」
『英雄を創り出せる機能と考えなさい』
それは••••••結構なぶっ壊れ機能じゃないのか?
いや、戦闘面ではそうでもない?
『そんなわけが無いじゃない。あらゆる武術の知識も手に入れられるのよ』
オレがアダマスとの契約で鎌の使い方を押し付けられたのと同じことか。
『そうね、その認識で間違い無いわ』
そうか。
まあ、大体わかったし••••••。
「後は、倒してから、考えますか!」
そう言ってオレは、アダマスを構え直した。




