No. 70 ファンタジーだからだ
「えーい」
気の抜けた掛け声と同時に、前方の敵が吹っ飛ぶ。
「てーい」
気の抜けた掛け声と同時に、前方の敵に向かって雷光が降り注がれる。
当然、敵は全滅である。
••••••。
「はは••••••俺達全く居る意味無いな」
「言うなクレイ。せっかく考えないようにしてたのに」
野郎二人でため息をつく。
「気にすることは無いだろう。君達が役に立たないのではない。真冬が強過ぎるだけだからな」
リオンが励ましてきた。
「マフユ、さん、凄い、です」
アインスは、真冬を尊敬の目で見ている。
「••••••私の出番が」
剣を構えてはいるものの、特に何もしていないツバキさん。
うん、なんて言うか••••••真冬以外のメンバーは特に何もしてねぇ。
現在、真冬無双中です。
前回もそうだが、真冬は雑魚狩りがお得意らしい。
「弱すぎない?」
首を傾げる真冬。
いや、お前が強過ぎるだけだよ。
ここにいる全員がそう思っただろう。
「しかし、何というか••••••森にいそうな連中が多いな」
遭遇している魔物は、兎や熊などの獣と、巨大化した昆虫系。
森の生き物だらけだった。
「森にあるダンジョンだからだろうな。ボスもそういう系の何かだろう」
そう言って、オレの右手に視線を移すリオン。
しかし、そこにいるアダマスは何も反応しない。
ダンジョンに入ってからずっとだ。
「無視か」
リオンは肩を竦める。
「アステリオスも何も言ってこないよ。ダンジョン内では神器は喋っちゃダメみたいなルールでもあるのかな?」
真冬がコンコンと斧を叩く。
しかし、何の反応も無い。
「てか、アステリオスって喋れるのか?」
「ああ、うん。凄いカタコトだけどね。一応は、喋れるみたいだよ」
そうなのか。
••••••しかし、当たり前のように武器が喋るってどうなんだろうね?
「ファンタジーだからだ」
「急にどうした?」
「いや、なんでもない」
確かにファンタジーではあるが、それで納得出来ると思うなよ。
「しっかし、イイな、喋る武器。AIBOって感じで。俺も欲しいぜ」
羨ましそうにするなよ王子様。
「ダンジョンの奥にあるだろ。そいつと契約でもすればいいさ」
オレはテキトーに返す。
しかし、ゲームでも、現実でも、伝説のアイテム系は、何でわざわざダンジョンの奥にあるんだろうか?
「ファンタジーだからだろう」
「リオン、実はお前、言いたいだけだろ」
「否定はしない」
何だか、リオンが凄く楽しそうなんだけど。
大変満足そうなリオンであった。




